水産会社、加工品図鑑: 2008年3月アーカイブ

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 島後は隠岐諸島でいちばん大きな島。だから島の周囲にはいくつもの集落があって、いちばん北にあるのが久見である。
 風光明媚なところであるとともに定置網で様々な魚があがる。その代表的な魚がホソトビウオである。島ではこれを煮干しや干物にするのだけど、『久見特産』ではもっと食べやすく燻製にして売り出している。

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久見特産の社長、八幡久恵さん。社長自ら燻製作りの陣頭指揮にあたっている

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 これがなかなか乙な味なのだ。燻製の香りはやや控えめ。ホソトビウオのクセのない味わいに、ほどよい甘味があって、これから暖かくなると、ビールのともとして最適なもの。

 一袋200円という激安値段で手作りの地魚加工品が手にはいるというのもうれしい。
 しかもきっと食べ始めると、一袋では足りないはずだ。

ふるさと五箇村便
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島根県庁
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 大阪市鶴橋はボクにとってスワンダフルな場所だ。早朝に地方市場を見てから、昭和30年代を思わせる商店街のトンネルのようなアーケードをくぐり、そしていちばん引き寄せられる韓国食材、キムチなどを売る場所へと来てしまう。そこで目に付くものはマダラ、スケトウダラ、シログチにフウセイ、アカエイ。魚貝類も独特なものがある。
 ボクは韓国食材には疎くて、知識がない。だから鶴橋を歩くたびにわからない食材に出くわし、歯がみする。
 そのためなんとか韓国の食材の知識、料理法などを取り入れたいと、現在無手勝流ではあるが勉強している最中である。
 まずは最初に水産物から。しかも大好きなチャンジャのことをとりあげる。

 チャンジャは材料はスケトウダラの胃と腸だろう。本来はここに鰓を加えるのだという。これを細かく刻んで、塩を加えて少し寝かせ、タレで和える。タレは憶測だが、粉唐辛子、ニンニク、醤油、リンゴかナシのすり下ろしたものに、ゴマ、ゴマ油というものだと思う。思うが我が家に基本的なものを記す韓国料理の本がなく、想像するしかないのが残念だ。

 これをある程度寝かせるのだろう。とするとチャンジャは漬物のたぐいだろうか? その昔、「キムチの一種」と思いこんでいたのだが、間違いだろう。

 鶴橋の市場内で買い込んだチャンジャは絶品である。腸のコリコリとして、噛みしめると旨味が浮き上がってくるところ。そこにまとわりつくタレの甘味と旨味とゴマ油の香り。食卓にあると、ついつい箸が延びてしまうほどに魅力的だ。

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 また、チャンジャはご飯に合う。ボクはあまり酒の肴にしたことがなく、思い返すと、ご飯のおかずであることがほとんどである。たまにエゴマの葉(青じそでも)があると、それと和えて、これまたご飯にのせる。

 さて、大阪に行くことがあったら必ず鶴橋に立ち寄り、出来うる限りたくさんの韓国の食い物を買い込んできたい。そして「韓国料理の基本」を学びたいと思っている。

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 隠岐水産高校の「さば味付け」缶詰を食卓の中央に置く。子供達は缶から直接食べるなんて初めてなので楽しそうだ。
 缶から箸でつまんで、いきなりご飯にのせて食べる。
 まずは、ボクがうなる。子供も真似をしてうなる。
 あとは中身の取り合いになり、汁も残らない。そしてもうひと缶。
 どうしてこんなに食べても、食べてもうまいんだろう。

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 よくよーく味わって考えてみると、「うまい」の原因は「甘い」にあるようだ。この「甘い」が単純ではない。例えば、市販のサバ缶と隠岐水産高校のものでは「どちらが甘いか」というと、明らかに普段買い求めているものの方が甘い。それなのにより「甘く」感じる、甘さのなかにマサバの旨味が加わり、しかもたぶんマサバの多種多様なアミノ酸がこれまた加味されている。新鮮な材料を使っているのだろうか、苦みや雑味がない分、その甘さは上品なものでもある。
 このご飯にサバ缶をのせて食べる幸せは、久しぶりに感じたもの。

 材料は砂糖と本醸造の醤油だけ。プロはついつい酒とか味醂とか入れるが、缶詰などは出来るだけ単味に近い方がうまい。この日本海のマサバを材料とした、缶詰ならではの無添加の味わい。きっと企業では真似の出来ないものに違いない。

 隠岐水産高校製のものには「水煮缶詰」もある。こちらはずばり、原料のよさから苦みが無く。マサバの旨味も濃厚なものだ。これほどえぐみの少ない水煮缶はめったにみつけられないだろう。

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 我が家では、サバの水煮にタルタルソースを加えて、パンとともに食べている。家族がいちばん好んで食べる水煮はマグロ類を使ったもの。でも自然保護や栄養的にはサバ属マサバの缶詰の方が上だと思っている。

 味わって楽しいというのもあるが、面白いのは缶に学校のマークがあって、裏側に生徒自身がモデルとして登場しているのだ。「このコが作ったのかな」なんて考えるのも、また「隠岐の高校生も今風にオシャレだな」なんて思うのもなかなか楽しいものだ。この写真ラベルのせいで大量買いする人がいそうで恐い。

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 さて、隠岐水産高校の缶詰はあくまで生徒の実習で作り出されるもの。当然数に限りがある。一般人でも飛行場などで手に入れることは可能だが、なかなか手に入れがたいものだという。この絶品缶詰を多くの方に味わってもらいたいが、ボク自体が次回手に入れられるのが何時なのか、神のみぞ知るなのである。
●この缶詰を送ってくれた幼なじみカンイチに感謝。
 
隠岐水産高校
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 徳島県人が島根県浜田市の「赤てん」を食べて、「懐かしいな」と思った。そんなバカなと思われるかもわからないけど、本当なのだ。
 話は逸れに、逸れるが、ボクが育ったのが徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)という山奥の町。山間部なのでなかなか新鮮な魚は手に入らなかった。また当時は片田舎なので洋食、トンカツなんてものは知らなかったのだ。実はこの手の洋食で唯一知っていたのがコロッケ、そして「かつ」。この「かつ」がトンカツでもなく当然ビーフカツでもない。現在では「フィッシュカツ」と呼ばれている、ようするに魚のすり身にカレーや香辛料で風味をつけフライにしたものなのだ。
 この「かつ」に似たものは他には山口、大分などでの「ギョロッケ」が有名だが、島根県にもあったのだと驚いて、しかも似通った味わいから、しみじみ懐かしさがこみ上げてきた。

 外見はまったく違う。だいたい土台となる練り物が紅色で、それがパン粉を通して赤く見える。
 特徴はその柔らかい土台(練り製品)の部分にある。味つけはしっかりしたもので、唐辛子のピリ辛に、塩と甘味がしっかりついている。特に魚肉というような風味はほとんど感じられない。
 味わいは素朴だけど、今時のマック(マクド)やケンタッキーを好む世代にも受け入れやすいものとなっている。ボクもこのような、わかりやすい、その地ならではの惣菜が大好きである。

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一袋2枚入りというのがとてもいい。日本橋「しまね館」でもできたら、この形で置いて欲しいものだ

 さて、『江木蒲鉾』に「赤てん」の歴史を問い合わせると、「赤てん」は戦後(たぶん1950年代)、魚肉ソーセージが本格的に生産されるようになって、練り製品の売上が落ちたときに、それに対抗すべく浜田市内の蒲鉾屋が試行錯誤の上で作り出したものだとのこと。ソーセージという西洋的なものに「フライ(揚げる)」で対抗したというのも面白い。
 初めは単に「フライ」、もしくは「ぴりから天」と呼ばれていたのだという。そして、元祖「赤てん」というか最初にこれを作り出したメーカーは今では判然としない模様だ。
 現在では浜田市内の数社、また同様のものを市外のメーカーも作っている。ただ、やはり「赤てん」の本場は浜田市であり、また「赤てん」は浜田市の隠れた名物ともいえそうだ。

 ちょっとここで時代考証。
 魚肉ソーセージの研究は大正時代から始まっていたようだ。それが第二次世界大戦などで中断。戦後、クジラやマグロ、スケトウダラなどで研究が再開。徐々に生産量が増えてくる。そして1950年代始めにはマルハなどが本格的な生産を開始した。ボクは1956年生まれなのだが、子供の頃、魚肉ソーセージは缶詰などと比べて、なんだか安っぽいように感じていた。また同時に徳島特有の「かつ」も存在していて、小学校低学年の頃から好物だった。魚肉ソーセージも、浜田市の「赤てん」も、徳島県阿南市の「かつ」も、練り製品の西洋化(洋食化)という流れの中で同じように生まれたものに違いない。

『江木蒲鉾店』によると、大量生産が難しい「赤てん」は県外向けに大々的に売り出すことはできないらしい。とするとやはり浜田市や島根県内で手に入れるしかない。関東では都内日本橋の「しまね館」にも置いてある。
 これを買い求めて、子供のお弁当に入れてやるとか、慌ただしい朝の食卓にあると、とても便利である。
 きっと浜田市で生まれ育った人たちにとって「赤てん」は、懐かしい記憶の中にたびたび登場してくるのではないだろうか。
 浜田市での「赤てん」の思い出や、『江木蒲鉾』以外にもありそうな“うまい赤てん”の情報を求む。

赤てん本舗 江木蒲鉾店
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