寝床にもぐり込み、ウトウトと甘い眠りに落ちた途端に、姫にドツかれる。
「お父、起きんかい。こら!」
「すみません、すみません、直ぐ起きます」
と時計を見たら6時を回ったところ。まだ睡眠時間は30分でしかない。仕方ないな、と姫の方を見ると、なんともすやすやと気持ちよさそうに眠っているのだ。どうやらボクを起こしたのは、「夢の中で」ということらしい。くすぐっても、少々、揺っても起きない。
もう一度布団にもぐり込むかどうか、迷った末に、パソコンを起こす。最近、メールがあまりこない。そう言えばケータイすら、あまり鳴らない、孤独感を感じる、寂しいな。
ここで五十路男が泣いても、「どうにかなるって」ワケでもでもないし、まあとにかく市場に向かう。まだ朝も早いというのに、ジワジワと気温が上がってきている。そのせいなのか頭が痛いし、目がジクジクと痛い。時刻は7時近く、駐車場が心配なので八王子魚市場は通り過ぎる。
クルマを運転しながら、改めて「腹が減っている」ことを思い出した。昨夕以来まともな食事をとっていない。猛暑でも、残暑でも、暑くても寒くても、食欲は落ちない質なので、押っ取り刀で『市場寿司 たか』のボクの座席に座り込む。
ここでヒモマキバイさんを待つべきか悩んだ末に、ケータイを入れると、あと数秒で着くとのこと。待つほどもなく不幸のどん底にいる、“もうすぐ五十路男”がやって来た。
ここでボクは「豪海ブツブツ丼」、ヒモマキバイさんはお任せ握り。
この毎回変容する「豪海ブツブツ丼」の、この日の“キュウリ入りバージョン”が素晴らしい。マグロ、大黒サンマ、壷づけタクワン、玉子焼き。ボクの「カニ、イクラいらないからね」という縛りをして最高の出来である。
「たかさん、今日のブツブツ丼は素晴らしいね」
「ブツブツ丼って言うなよ。メニューにないんだから」
食後、海老名の海老さんがたっぷりとニガウリを抱えてやって来た。その持ってきたニガウリがデカイ、他にミニカボチャ・プッチーニ、柚。最近、ニガウリは海老さんのものに限ると思ってきた。海老さんありがとう!
場内を巡ってもあまりめぼしいものはない。海老さんがコリアンフーズでナムルを買っただけ。為すすべもなく土谷食品でお茶を飲んでいると、ヒモマキバイさんが「あの牛すじあるかな」というので『河辺ハム』へ。
ここで、八百屋の『神定』の前で八王子の食いしん坊釣り師浅やん(八王子大和田のそば屋「まつ浅」)を発見。「おーい、今日は遅くまでいるね」というと「なにを言ってるの。この時間はいつもここにいるだろ」と立ち話。その内、「アユをやろうか?」となって相模川のアユをたっぷりいただく。浅やんありがとうね!
ヒモマキバイさんが河辺ハムで牛すじを予約。ボクも上州牛のコマを買い求める。
9時近くなってもお目当ての『高野水産』がもどってこない。もう諦めようか? と思った9時過ぎにやっとトラックが店の前に回り込んできた。
それから1時間ほどはてんやわんや、店の前は喧噪を極める。魚貝類は店に並んだ途端に売れていく。とにかく安い安い。
ボクが買ったのがケンサキイカ、タチウオ、トビウオ。このところツクシトビウオ、ハマトビウオばかりで、トビウオは久しぶりの入荷。
ヒモマキバイさんも、海老さんも、ヒモマキバイさんの同僚の女性も、かなりたっぷり魚を買い込んだ様子。ボクは家人が風邪でダウンしているので、ここでお別れして、帰途に着く。
風邪をひいている家人のために、八王子ふれあい市場で卵、岩本製麺でうどん、神山豆腐店で木綿豆腐、セブンイレブンでポカリスエットを買って帰宅する。
帰ってからは病人がいることもあって、疾風怒濤のごとく時間が過ぎ去る。
それでもケンサキイカ、トビウオ、セイロンバイ、相模川のアユを撮影。壊れてしまった甲殻類の目次の修復、サバ科サワラ属の改訂に着手、画像整理。
午後3時に疲れ果ててうたた寝。3時半に近所に買い物。
4時過ぎから撮影ミスしていたセイロンバイをもう一度撮影。
夕食は相模川のアユの塩焼き、ケンサキイカの刺身、タチウオの酢の物。
毎味水産からいただいたフトミゾエビ、ブラックタイガー(ウシエビ)、イリアンタイガー(クマエビ)、インドエビをフライに。家人にうどん。ツルムラサキのお浸し、さらしニガウリ、トマト。後いろいろ。
夕食後、疲れ果てて姫とアニメ映画「ミヨリの森」を見る。この映画、出来はともかく、意図するところは自然破壊はあかんよ、ということ。しかもあからさまにダム建設(今現在ダムを造る必要性は皆無だ。そんなときダムを造ろうなんてヤカラは現代にあっては鬼とも例えるべき)の悪質さを明示している。未だに意味のない自然破壊が進行しているときにこの手の映画が作られるというのは素晴らしいことかも。
11時過ぎにダウン。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/