お魚三昧日記: 2012年5月アーカイブ

タコの「卵焼き」

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兵庫県明石市に卵焼き(明石焼きとも)というのがある。
タコ焼きのルーツのひとつで、見た目もタコ焼きではあるが、
粉の比率が低く、所謂「粉もん」という感じがしない。
が、タコが主役と言うことではタコ焼き以上。
この卵焼きを調べ始めるとメチャメチャ色々ありそうなのだが、
ここでは書かない。
肝心なことは、3月明石で非常にうまい卵焼きを食べた。
そのうまい卵焼きから得たものは多かったが、
最大の収穫は「タコと卵は出合いのもの(故辻嘉一はよく使った言葉)だ」
ということをしっかり頭にたたき込めたこと。

先日、『聞書き 兵庫の食事』を見ていたら、
明石の食事に「タコの卵焼き」というのがあって、
ようするに単に卵焼きにタコを入れただけの料理だった。
昭和30年代以前の食に関する話なので、
「卵はなかなか高価なもの」で、当然ごちそうだろうが、
漁村のおっかさんの作るものだから、
割烹料理店のするがごとく、
だしを使ったり、酒を入れたりしていない。

簡単なので作ってみた。
味を想像するに難くないが、
実は料理は必ず作ってみないとダメダメ、ダーメなのだよ。
卵は2個、タコは3月に明石で買った地物を冷凍保存していたもの。
他には塩少々とサラダ油だけ。

takotamago2222.jpg

準備することもなく、卵焼きにタコを巻き込んでいく。
出来上がりまでの時間は、あっと言う間の、
タコの解凍時間を含めての10分であった。

面白いことにタコを入れると、タコから水分が出て、
それが卵に混ざり合わさるのだけど、
まるで茶碗蒸しのような味わいになっている。
そのトロっとした部分にタコ足の食感と旨みが加わり、
卵焼きの表面はちゃんと香ばしいので、
非常に完成度の高い味というか、
想像以上の味わいが生み出された。

明石の旅での発見に「卵焼きにソース」というのがある。
一般に流布している「卵焼きにだし」という形は、
いろいろある食べ方のひとつでしかない。
実際、生粋の明石っ子は勝手放題、自分の好みで食べているわけだ。
ボクは四国徳島(山間部の貞光町)生まれなのだけど、
ソースと醤油の使用頻度は同じくらい。
全国的に見ると、たぶん「ふんだんにソースを使う地域」になるはず。
根っからのソース好きなので、迷わず中濃ソースをかける。
ちなみにボクが知る限りで、中濃ソースは関東だけのものじゃないかな?

朝、深夜の2回作って2回とも、箸が止まらなくなるくらいにうまい。
朝はごはんの友として、
深夜はノンアルコールビールをチェイサーにして
山梨県の地ウイスキーを飲んだのだけど、
このアテとして、横綱級の味わいであった。

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