お魚三昧日記: 2012年2月アーカイブ

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三重県尾鷲、松阪などへの旅で得たものは思った以上に多い。
ボクの旅が、所謂「旅行」と違うのは
例えば民俗学のフィールドワークなのであって、
見たもの、聞いたことが総て後々ディスクワークの素となるからだ。
今年に入っての旅である長崎県佐賀県だけではなく、
昨年の熊本県、鹿児島県の旅に関する
後始末(帰宅後の整理)が終わっていないというか、
旅先で持ち帰った情報が、
その土地や、料理を体系化する素粒子のひとつなのであるから、
旅の重さは宇宙的に思えるほどだ。

三重県の旅は一泊旅行で、比較的気分の軽いものであった。
が得たもの、情報の素が巨大だった。
そのひとつがサンマに関すること。
例えば『秋刀魚の歌』の
佐藤春夫は和歌山県新宮市出身であって、
詩は「幸薄い妻がとってきた青いミカンをしぼって食べる」、
その食卓の情景をうたったものだが、
これは熊野地方全体の食習慣だ。

さて帰宅後、『聞書き 三重の食事』を読む。
一度軽く読んでいても、十分に読むことはできない。
その土地に行ってから、課題を持って読んでこそ意味がある本だ。
三重県でも伊勢平野の料理に『かど飯』がある。
「かど」は伊勢平野でサンマのこと。

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秋に売りに来たサンマの尾を目に通し
円く輪にして、「かど先」(この場合の「かど」は「庭」のこと)で
藁の火で焼く。
この身をほぐして、ご飯に醤油味で炊き込むのだ。

ここに問題があって秋に売りに来たサンマの産地と、
無塩ものであったのか、塩物であったのか、
もしくはぬか漬けであったのか。
ボクの推測では、サンマは伊勢湾でとれたものではなく、
熊野灘から来たもので、
無塩ではなく塩物もしくは干ものだったのではないか?

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そこで試しに北海道産塩蔵サンマを焼いて、
ご飯に醤油味で炊き込んでみた。
これが予想以上に簡単で、しかもうまかった!
青魚を炊き込んだのに、あっさりしている。
しかも味わい深く、ついつい食べ過ぎてしまうくらい。
その上、そのまま食べるよりも、お茶漬けにして
もっともっと、もっとうまい。

普段の料理(食事)のヒントは
意外にも伝統料理にあり、などと思うのだ。

作り方
北海道産塩蔵サンマ1本。
醤油小さじ2分の1(サンマの塩加減によって違う)
胡麻少々、青じそなど
作り方
1 塩サンマを焼き、一度冷やす。冷やしたほうがやりやすい。
2 炊飯の用意をし、ほぐしたサンマの身を乗せ、醤油を入れる。
3 後はたくだけ。
臭みが気になるならせん切りのショウガを。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑 サンマへ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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1時半を過ぎている。
長崎に来たらチャンポンと皿うどんを食べようと思っていたので、
近くにあった普通の中華料理店で皿うどん。

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一度、ソースをかけて食べてみたかったので、
ちゃんとテーブルにあったのをまわしかけて食べてみる。
皿うどんとは、ようするにチャンポンの具を
あん(片栗粉で)にし、揚げた麺にかけたもの。
当然、そのままでもうまいのだが、
この酸味のあるウスターソースをかけるのもよろしいな。
長崎の中華料理で重要なのが、獣肉と海産物の出合い。
これが福建省からの華僑がもたらしたものであるとするなら、
本当に明治期にきたものなのか、安土桃山までさかのぼれるものなのか?
 
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帰り道、カステラを売る店で桃カステラと
普通の竿型のものを買い、数軒先の酢屋ですし酢と酢を買い求める。
カステラの『松翁軒』で、佐世保で買った
「こうさこ」が「口砂香」であることが判明。
漢字がわかったのはいいが「口砂香」とは何か?
例えば落雁との違いは?
和菓子の歴史本は我が家にあったはずだが。
ちなみに東京ではこのような仏事用の菓子を「打ち菓子」という。
商店街の端っこまで来て、どっと疲れが襲ってきた。
午前4時から、現在の時刻は1時半過ぎ。
とにかく市電で西浜町まで。

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念のため浜屋デパートの地下食品売り場を見たが
めぼしいものはなにもない。
浜屋デパートは地物に力をそそいでいないようだ。
地下からエスカレーターに乗ったときに
なんとなく腹に痛みが走る。
それにやたらに寒い。
マフラーでも買おうか、と思案するが諦めて長崎駅へ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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途中、天満市場の『山下くじら店』の前に
クジラの湯引きがあり、なんともうまそう。
「ここで食べられますか?」と聞くと、
「どうぞ」というので狭い入り口におなかを使えさせながら入り込む。

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おかみさん二人でやっている店で
ゆでたクジラを大振りに切り、橙をしぼってくれる。
冗談で酒が欲しいなんて言ったら、なんとちゃんと冷や酒が出てきた。
このゆでたクジラがうまい。

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長崎では「ゆかけ」などと言うらしいが、
いろんな部位を使って、またクジラの種類によっても味に違いが出る。
「これも食べて」と出てきたカキとともに
冷や酒がくいくいいけてしまう。
お代をたずねると、とってくれない。
恐縮しごくに店を後にする。

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この新大工町の小さな市場群が面白い。
歩いていて楽しい。
長崎に来てグラバー亭や大浦天主堂などを見るというのも悪くないが、
新大工町や築町を歩いてみると、
長崎で長崎らしい観光をするのがくだらなく思えてくる。

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ご夫婦でやっていた小さな店で
ブリの内蔵の湯引きを買い、その場で食べる。

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これもいい味で、こんなものを売っているところが
長崎なのだろうな、なんて考える。
住宅地直結の市場なので、刺身や総菜類など非常に多彩で、
旅人であることが残念でならない。

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青果店、乾物店も見ていて飽きない。
ここで干しゆず、カマスの子の煮干しを買う。
長崎の水産物で重要なもの、ベニサシ(ヒメジ)の
南蛮漬けを見つけたら店の人がいない。
結局買えなかったのが残念だ。
『魚和』という店も大きくて品揃えが魅力的だった。
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1月18日ホテルを出て長崎駅へ。
市電の一日乗車券を買い、長崎駅から築町まで、銅座市場を探す。
ぐるぐる回ってたどり着きはしたが、すでにほとんどの店が閉まっていた。

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市場と言っても商店街に近い。
入り口に豆腐などを売る店があり、猫がのんびり毛繕いしている。
ここで新大工町の市場がにぎやかだと聞き、
西浜町から市電に乗り諏訪神社まで。
停車場に「シーボルト記念館」の文字を見つけて、
ここが鳴滝に近いことがわかる。

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電車通り(新長崎街道)に平行に商店街があった。
人が歩いてほどよい幅と、商店が密集して楽しい。
高度成長期以来の市街地開発担当者と建築家の愚か過ぎることは
実はこのような商店街を見ればすぐに気づく。
人類はほどよい密集、密度が好きなのであり、
広すぎる、大きすぎる空間が必要なところは限られているのだ。
秋田市の市街地開発をしたヤカラは明らかに能なしだし、
愚か者である。
また三重県松阪市のメイン通りを広く空疎にして
便利にしたつもりで街を台無しにするヤカラもバカである。
ついでに書いておくが市街地の再開発というのは
最低でも100年単位でやるべきで、短期間でやってはいけない。

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通りから商店街に足を踏み入れると
酢屋(製造販売)があり、和菓子屋があり
老舗らしいカステラを売る店がある。
そして無数の市場。
一番大きい市場「新大工町市場」に入ると残念なことに休みだった。
がその奥にあったのが長崎玉屋というスーパー。
魚売り場など、なかなか品揃えがいい。
一度出て小さな市場をしらみつぶしに歩いてみる。
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1月18日午前4時に起き。大急ぎで着替えて飛び出す。
タクシーはすぐに拾える。
魚市場のある京泊まで20分前後。
場内に入ると魚市場の片山さんが迎えてくれる。

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地物だけではなく、以西底引き網、
沖縄海盆への遠征もある巨大な水揚げ港。
冬枯れのときなのに並んでいる魚貝類の量ははんぱではない。
佐世保同様珍しいものはないが、その種類と量に圧倒される。
並んでいる魚をとにもかくにも総て撮影する。
 
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山に一の印「山田屋」というトロ箱を見つける。
これは明らかに以西底曳き網漁の獲物だろう。
国内の食生活を大いに変えたこの漁のことは
もっともっと知っておく必要がある。
 
ウチワエビ、ガザミ、サルエビ、キシエビ、アカエビ。
アオリイカ、ミミイカ、ジンドウイカ。
コウイカはすべて内臓を取り去って外套膜を開いている。
マダコ、イイダコ、クロアワビ、メガイアワビ、テングニシ、アサリ。

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マナマコはやはり大村湾産。
カスザメ、シロザメ、ナヌカザメ、ホシザメ。
ウツボ、ハモ。
マエソ、マトウダイ。
アヤメカサゴ、カサゴ、オニオコゼ、マゴチ、ホウボウ。
ホウライヒメジ(?)、クロダイ、キダイ、マダイ、ヘダイ、コショウダイ、ムツ、シログチ、シロギス、マアジ、カンパチ、ブリ、シイラ、イトヨリ、ソコイトヨリ、アカアマダイ、シロアマダイ、ハマフエフキ、タカノハダイ、メイチダイ、チカメキントキ、アラ(クエ)、アラ、アカハタ、アオハタ、オオメハタ、アカムツ、ヒラスズキ、スズキ。
マサバ、ゴマサバ、サワラ、スマ、タチウオ、クロマグロ、マルソウダ。
ウマヅラハギ、カワハギ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、シロサバフグ。
メイタガレイ、ヒラメ。

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サンマがトロ箱に入って小山をなしている。
東シナ海に入った群だろうかか?
 
競り場を一通り見て、仲買の棟に入る。
各店舗が大きい。
魚種の多さもさることながら、やはりここでも量の多さに驚く。
ここにもサメが並んでおり、なかでもカスザメらしいのがあり、
「売ってほしい」と交渉したが先客がいた。

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長崎ではナヌカザメ、ホシザメ、カスザメ、オオセなどを
湯引きにしてさかんに食べるのだ。
ヒョウモンコウイカとマツバガニ。
ヒョウモンコウイカはまず関東では手に入らない。
 
6時半過ぎまで見て回り、
場内の食堂でウチワエビのみそ汁をメインに朝ご飯。
7時前にタクシーで市内築町を目指す。
7時を超えると市内への道路は渋滞する、というのでバイパス経由で行くがやはりところどころ混んでいる。

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2012年1月17日
長崎駅まではシーサイドライナー。
長崎駅には2時半過ぎに着く。
駅のカフェでメモをテキスト化して時間をつぶし、
午後3時過ぎに東横イン長崎駅前にチェックイン。
少し休んでホテル前からタクシーを拾って大波止にある夢彩館紀伊国屋書店へ。乗ってみたら歩ける距離、馬鹿なまねをしてしまった。
紀伊國屋で長崎・九州関連の新刊書を買う。
長崎にこのような大型ショッピングセンターがあるなんて、少々がっかりする。

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夢彩館正面からまっすぐ山の方へ、
坂を上ると文明堂本店を右に見る交差点。
どんどんまっすぐ上っていく。
古書店『銀河堂』にケータイをかけ場所を教えてもらいながら
まっすぐ坂を上る、坂を下る。

観光通、思案橋あたりをうろうろ。
地元の方らしい乳母車を押していた女性に聞くと、
親切にも連れて行っていただいた。
あやしい風体のオヤジなのにご親切にしていただき
「ありがとうございました」。

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にぎやかな商店街のなかにある『銀河堂』で長崎本を数冊。
『銀河堂』で大正堂という古書店を教えてもらい、
ここで掘り出し物多々。
 
大正堂の方においしいすし屋の在処を聞き、
観光通りにある「小吉」へ。
カウンターだけのこぢんまりした店で、店の方は男性ばかりで
飾り気がなく、なかなか雰囲気がよろしいな。
この店のおつまみに、ゆでたクジラがあった。
魚もうまい。

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活けウチワエビの握りに、この殻などで作ったみそ汁がうまい。
 
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そこから「吉宗」まで歩き、茶碗蒸しと蒸しずし。
「吉宗」は老舗なれど、洗練されず、店の方の対応も気取らず、
周りを見渡すと地元の方も多いようで、
観光客相手の今時の店ではないよさがある。
これで今回目的とした「すし」は完了。
 
食べ疲れてホテルまで帰る。
できるだけメモをテキスト化し、
11時半であることを確認してダウン

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店の前に川が流れていて、橋を渡ると商店街になる。
アーケードがあり、まことにきれいな商店街だけど、
やはりあまり活気がない。
スーパーを見つけて入る。
魚売り場を見ると「諫早名物 福田屋のうなぎ蒲焼」があり
見たところかなり黒く焦げている。
いなりずしを見つけると、やはり「きつねずし型」。
入り口近くにムツゴロウを形どった「むっちゃnまんじゅう」のがあり、
当然、2つ買う。
 
物産館のようなものがあり、
野菜などなかなか見るべきもの多々。
アミの塩辛がある、クジラがあるのが特徴的。

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また長崎では「かまぼこ」ではなく「かんぼこ」なのだ
というのも実際に見てみないとわからないものだな。
古いウナギ屋さんがあって休業日だった。

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ここで諫早名物だとある「森太白飴」を買い求める。
商店街をぶらぶらして書店を見つけるが地元本はなし。
諫早の商店街の路地に魅力的な食堂などをみつける。

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島原鉄道本諫早駅に至り、JR諫早駅まで一駅だけの鉄路。
諫早から来た列車に少女が赤ちゃんを
ねんねこで背負っているイラストが描かれている。
これは間違いなく宮崎康平の島原の子守歌を模している。
 
島原鉄道諫早駅は終点にあたり、ホームは諫早駅の一部のよう。
切符を渡すと、諫早駅に入り、ぺらっとした紙切れを渡され、
それでJR駅を出る。

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諫早駅前にある西友に入ってみるが、思った以上に魚貝類がない。
諫早駅軒下に赤い提灯が下がっている。
これなんだろうね。

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1月17日12時50分諫早着。
佐世保駅前からタクシーでうなぎの老舗「北御門」まで。
諫早は九州ではうなぎで有名だが、特にこの「北御門」では
楽焼きの器で供するところが珍しい。

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古い建物だろうと思っていたら3階建ての近代的なビル。
二階にどうぞ、と上がると1時を過ぎているせいか、閑散としている。
小上がりに座って竹ご膳1950円。
窓の外には川が流れていて、
犬の散歩をしている人がいるが寒そう。

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ほどなく膳が運ばれて、楽焼きの独特の舟を思わせる容器の上にウナギが5切れ。
ウナギの下に醤油色の汁があるが、これがタレなのだろう。
ご飯にみそ汁、香の物、余計に思えるデザート。
松竹梅とあると中を選ぶことにしているが、梅で良かったのかも知れない。
 
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焼いたウナギを蒸すというのは柳川と同じだ。
でも諫早市内総ての店が蒸しているわけではないようだ。
なぜ蒸すのか?
考えてみるに合理性からではないだろうか?
大量にウナギを焼いて置く、
例えば東京なら蒸すところまでやっておくのと同じ。
それを客が来るたびに蒸す。
 
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さて焼いて蒸したウナギはやけにあっさりとして、
脂が抜けて上品である。
嫌みのない味とでもいうのだろうか。
なかなか食い過ぎの身には優しい限りではある。
ただしウナギに求めるしつこさというか、
野性味はかなり薄くなってしまっている。
例えば柳川の『本吉屋』の場合、ご飯にのせて蒸している。
ウナギの脂は濃厚なタレとともにご飯にしみて、
なかなか豪快な味わいとなっているのだ。
そこへいくとこちらは味に特徴がない。
 
関東などでのウナギに対する一種思い込みがなければ、
これはこれでいいように思える。
夜など、酒の肴としてはむしろこの軽い味わいがよいのかもしれない。
小一時間もいたろうか、レジで諫早の地図をもらって橋を渡って商店街へ。

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佐世保駅で駅弁売り場を見つけて「平戸のあごめし」700円を買う。
10時26分のシーサイドライナーで佐世保に別れを告げる。
大村湾を右に見ながら「あごめし」を食べる。

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包装紙を取ると干ものだろうか、
アゴ(ホソトビウオ)に皮付きが数片ちらばり、
飛び子、青じそがその間に散らばる。
素朴ななかに「あごのだうまみ」の風味が生きている。
ホソトビウオの煮干しをだしにして、
その煮干しをほぐしたものか、と思ったが、
どうにも皮付きの身が柔らかい。
原材料を見ると「飛び魚(一夜干し)」とあり、
干ものを薄味で煮て、その煮汁でご飯を炊きあげたものかも知れない。
素朴な味わいのなかに佐世保(製造者の『松僖軒』は佐世保)という
地域性が感じられる。
なかなかよろしいなー。
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6時半過ぎ、米倉鮮魚店の米倉宏太郎さんに
佐世保朝市まで送っていただく。
佐世保魚市場から15分ほどで
『佐世保朝市』の看板が見えた。
 
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九州北部にある佐世保はまだ夜明け前。
非常に寒い。
暗闇からのぞく朝市は屋根だけでがらんと広く、
床面の6割がたしか出店者がいないように思える。
いつもながらに市場歩きの前は
うきうきふわふわして落ち着かない。
あたりはまだ暗く、市場の中の明るさとの対比が大きく、
入り口近くにあった水仙の花の前で
一息ついて浮き立つ心を静める。
 
台に板を渡しかけたくらいの簡単な店舗ばかりで、
なかにはちくわを入れた段ボール、かごだけという人もいる。
野菜、相物、練り製品、魚などが売られている。
寒さのせいだろうか、野菜の種類は少なく、
お客もまばらで閑散としている。

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花やさんを見ていると「沖縄菊」という文字を見つける。
たぶん厳冬期、沖縄から菊の切り花が送られてくるのだろう。

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練り製品が豊富なのも長崎県の特徴である。
今回気になったのが高島竹輪。
高島という島には竹輪やさんがたくさんあり、
どれも味がいいのだという。
1本だけ買い、食べて見るととてもうまい。
なんといっても表面のやや強い焼き具合が、
いい風味を作っている。

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魚店はそれぞれ大きく地魚中心で魅力的だ。
野田鮮魚店、松本鮮魚と魚屋が二軒並び、品揃えが豊富だ。
イカが並んでいて、スルメイカ、アオリイカ、
ケンサキイカ、メガイアワビ、アサリがある。
マガキは地元九十九島産で小振り。
これがまことにうまそう。
九州ならではのもので「びら」というものがある。
タイラギの貝柱以外の部分で
ヒモ(外套膜)が「びらびら」しているのでこの名があるのだろう。
これが実はまことにうまいもので、
関東で売っていないのが残念でならない。

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ウチワエビ、キシエビ、サルエビ、アカエビ、イセエビ。
ヒラマサ、マダイ、シマアジ、イサキ、サヨリ、スマ、
ホウライヒメジ、サワラ、スズキ、アカムツ、クロダイ、
アオハタ、キジハタ、メイタガレイ、マイワシ、キビナゴ、
マサバ、マアジ、キダイ(レンコ)、カサゴにメバル。
活魚槽のなかもにぎやかそうである。
場内には他にも鮮魚を売っている店がある。
佐世保に観光に来たらホテルの朝食の前にここを散歩して、
素晴らしい魚をお土産に自宅に送ってはいかがだろう。
わざとらしい観光客目当てのものよりも
数倍魅力にあふれていると思う。
 
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さすがに長崎にはアゴ(ホソトビウオ)の干ものが多い。
乾物などを売るお母さんのところで
「あごのみりん干し」、「あご丸干し」を買い、
和菓子などを売る店で白い餅状の生地に
あんこを巻き込んだ「けいらん」
仏壇などに飾るという鯛をかたどった
「こうさこ」というものを買う。

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「こうさこ」の意味、漢字は売っている人も知らなかった。
地納豆があったので買い求める。
 
朝市内の食堂でうどんとおでん。
うどんを食べていると市場で店を出している人だろう、
「今日のおかずは?」なんていいながら顔を出す。
8時前、疲れが足に来て朝市を後にする。
この朝市、厳冬の季節なので、
この寂しさなのかもしれない。
また来なくてはならない。
 
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さて、朝市の食堂で昔の写真が貼っていた。
昭和30年代ではないかというその白黒写真が魅力的だ。
路上にそのまま置かれた野菜。
たくさんのトラック。
木造家屋の上にある空が広い。
朝日がまぶしく、差し込んでいて早朝なのがわかる。

こんな写真を見ると、最近の街作りは
空間を作りすぎていると思う。
実は人類には密集が心地よいのだ。
密集する場がないと心が空虚で攻撃的になる。
この密集した市場の健全な空気感と
無味乾燥な大阪駅・京都駅周辺とを比べてみて欲しい。
時代はすでに縮小、密集に変わりつつあり、
堺屋太一などのいうコンパクトな街作りを行うべきなのだ。
まったく最近の街作りをするヤカラ、
建築家の頭にはコンクリートが詰まっているに違いない。
その作り出す物には腐敗臭がして困る。
 
午前8時、ホテルに帰り、少々休息。
メモの整理。
10時前に戸尾商店街に向かう。
魚屋でクジラとマントの湯引きと
すぼかまぼこを買い、送ってもらう。
高島竹輪とともに平戸でつくっている
「すぼ蒲鉾」は非常に興味深い。

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「すぼ」とは「わらすぼ」のことで
「わらすぼ」とは「わらしべ(藁蘂)」のこと。
すなわち魚のすり身を板にのせるのではなく、
棒状にして藁(わら)をまとわせ、
くっつかなくして蒸したものだ。
ちなみに関東でお馴染みの板にのせた蒲鉾を
西日本では「板つき」もしくは
「板つけ」ということが多い。
後でアミガレイ(コケビラメ)の干ものを
買い忘れたことに気がつく。
長崎でもコケビラメのことを「アミガレイ」ということ、
アミガレイの干ものが珍しくないことがわかったのはいいが、
非常に残念。

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