最近チカの入荷が増えてきている。根室、網走など北海道のチカは大きくて立派だ。
我が家では、チカは焼き物にするのだけど、ほとんどが素焼きしてしょうが醤油をつけるという単純なやり方。これをアレンジして「つけ焼き」を作ってみる。
チカはまず醤油に浸す。焼く10分ほどつけて、この醤油は一度捨てる(所謂醤油洗いに近い)。ここに島根県松江市米田酒造の「地伝酒」を入れて甘味を加える。
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チカを醤油に漬け込んでいると、微かにキュウリのような臭いがする。これがキュウリウオ科である証拠だ。
この酒は味醂(みりん)のように使えて、味醂よりも甘味が薄く、むしろ醸されたときに風味や、灰汁を使って酸を中和しているためにカラメルのような一種独特の渋みを感じる。
ここに醤油を新たに加えて、数時間寝かせる。
後はとにかく強火で焦がしながら短時間に焼き上げる。焼くときは一気呵成に躊躇なくやるのがいい。
食べるときも同じく、熱い内に食べるのがよく、冷めると旨さは半減する。
このように、阿吽の呼吸で調理し食べないとダメなものは、家庭でしかできない。
皿に盛るのももどかしく、手でむさぼり食うべし。
チカにはほとんどはらわたらしきものはなく、骨もワカサギと比べるとしっかりしているが、柔らかい。とにかくチカを食べるときに箸は無駄だ。
口に入れた途端、チカの皮目の香ばしさに地伝酒、醤油の香り、次に白身のキュウリのような香りと甘味がほんのり浮き上がる。と、そのまたまた次に旨味と繊維質のほどけるようなホロホロ感も楽しめるわけで、とにもかくにも短時間に口の中をチカの旨味が満たして消える。面白いのは、地伝酒と醤油を使うと「魚を食べただけではなく醸造香を味わった」ように思えることだ。
最近食品偽装なんて言われて、「アブラガニをタラバガニ」、「アブラボウズをクエ」、「ヒラメの縁側はアブラガレイの縁側」だったなんて喧しい。これに「チカをワカサギ」と偽って販売した例もあるとマスコミに出ていた。
私、かねがねチカはうまい魚で、チカの見方であることを自認している。チカを悪者、偽物扱いにするなかれ、「チカはワカサギに劣らずうまいのだ。チカをワカサギだと偽る必要はない」と改めて宣言しておきたい。
豊の秋 米田酒造
http://www.toyonoaki.com/jiden.htm
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、チカへ
http://www.zukan-bouz.com/kyuriuo/tika.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/