お魚三昧日記: 2006年6月アーカイブ

 久しぶりの晴れ間、こんな時に限って忙しい。やるべきことは多く、しかも寝坊してしまって寝床から抜け出したときには、すでに夜は明けている。こまったことだ。
 まあ、やっと6時に画像整理をすすめて福島県相馬市原釜港の保存を始める。思ったほどに収穫はない。むしろ、画像を見るに原釜漁港で働く「女達(こう表現するしかないのだ)」の魅力に圧倒される。彼女たちを見て街に出ると、そこら辺の女性達が色あせて見えてしまう。いい女を見たければ早朝に原釜に行くしかない。
 朝食を作り始めてテレビをつけると、ワールドカップが行われているのを改めて知る。日本クロアチア戦引き分けなんだ。ははん? という感じ。
 朝食は塩銀鮭、納豆、漬物、炒り卵、若布のみそ汁、ご飯。
 明らかに手抜きだ。

 八王子魚市場には8時半。驚くほど静かだ。まあ業者は帰った後で仕方がないか? 『源七』から『海老辰』にくると面白い物発見。なんとウミニナ、ヘナタリなどが発砲に蠢いている。「大分だよ」としかわからないが荷でウミニナなどを見るのは初めて。
 八王子綜合卸売センター、八王子総合卸売協同組合でいろいろ買い物。魚貝類にめぼしいものがなくて『ビックリ屋』で赤ジソを見る。季節はまさに夏なのだ。『ビックリ屋』で水菜(旬ではないが)、博多長なす、厚揚げ。その前の『ケン水産』で麦いか(スルメイカの小さいもの)。
『市場寿司 たか』で無駄話をして帰宅する。

henatari002.jpg

荷としてヘナタリ、ウミニナなどを見るのは初めて。ヘナタリなどは年々減少していて、大分は凄いなと思う

 帰宅後、ウミニナ、ホソウミニナ、フトヘナタリ、ヘナタリを撮影。麦いかをさばいて、「いしる」と塩で漬ける。これを干すつもり。
 昼食は麦いかをコチジャンで和えて、出汁をかけ回したもの。面倒なときはこれ便利。

 11時過ぎに外出。蒸し暑くて自転車をこぐと汗ばむ。タケニグサはもうかなり大きくなっている。中央線では熟睡。気がつくとお茶の水の緑が目に飛び込んでくる。文化学園は工事のための覆いが造られ、解体間近のように見受ける。これでお茶の水の文化がひとつ消えるのだなと不愉快な気分になる。

 お茶の水には9時前まで。やっと豊田に帰り着き、近所の『開花』。なんとこれが超満員。
「腹減ったな。ポテサラと刺身なにがある」
「さあ、なんだろうね」
 奥の団体さんからたっぷり注文が来て無視。女将さんが
「近頃、こんなに混んだことないから、慣れないのよ。ごめんね」
 やっと帰ってきて
「めじがあるじゃない」
 顔で「ダメダメ」。
「ポテトサラダ」
「もうないよ」
「じゃあ、このトマトソースはなに」
「これ使ったのだす?」
「まあ、よろしくお願いします」

makaroni003.jpg

 出てきたのはマカロニと鶏肉のトマトソース和え。さすがに洋食系はうまいな。でも後が続かない。なんとか冷や奴が出てきて、そこでまた出てこなくなる。
「ごめんね。ほんとにこんなにお客が来たの、久しぶりなのよ」と言われて帰宅する。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 目覚めたら7時過ぎというのは深夜に一度起きているとはいっても寝過ぎだ。
 姫に起こされて市場に出かけるが天気がいいので自転車をこぐ。我が家から八王子魚市場までは自転車で飛ばすこと40分。到着すると汗びっしょり。かるく場内を回ると坂本君に「昨日のハナサキうまかったでしょ」と声がかかる。

 8時半、八王子綜合卸売センターに入って麺の『南京軒』の前に自転車を置いて『光陽』に向かう。
 八王子総合卸売協同組合を抜ける間に知り合いからやたらに呼び止められる。『丸幸水産』のクマゴロウから「これな〜んだ?」と言われてみるとアミモンガラを手にぶら下げている。「銚子からの荷に混ざっていたんだな」というので「ありがとう」と言って確保。

『光陽』で姫はラーメン、煮カツで朝ご飯。やや大盛りのご飯、それでももの足りない。お母さん(『光陽』の)の顔を見て、姫を見てお代わりを諦める。まったくオヤジは寂しいぞ!
『光陽』の隣の『三恵包装』で水ようかん。水ようかんを買うと「夏だな」と痛感する。しかもなんだか懐かしい気分に浸ってしまうのだ。『河村青果』をのぞいてスダチの値段を見る。お姉さんがニコリと笑うので高そうだな、と勝手に解釈。『丸幸水産』でアミモンガラをタダでゲット。銚子で大量にとれるアミモンガラは皮が硬いのですぐに丸裸にされてしまう。この丸のアミモンガラは貴重なのだ。ありがとうクマゴロウ。
 八王子綜合卸売センター『高野水産』には「ヤ印」八巻水産からナガバイ。キロ/1000円で3個514円で購入。

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福島県松川浦港の八巻水産は「ヤ印」と言った方が市場では通る

『ビックリ屋』でつくね芋、オクラ、ニンジン、青じそ、はんだま(水前寺菜)。『伸優』で徳島県池田、「天真」のみりん。『大商ミート』で豚トロ。

 浅川縁を大荷物を抱えて自転車をこいでいると姫が思いきり転倒。どうして転んだのだろうと思ったら頭上に実をたっぷりつけた桑の木。姫は泣かないでボクの背中に乗って桑の実を3房。当然のごとく、ひとつも分けてくれないで一度期に口に放り込んだ。グラウンドでは泥んこのラガー、野球少年、風に乗ってハムシが飛ぶ。

 帰宅は10時前。坂道が多くて疲れ果てる。帰宅後、少しダウン。
 お昼はサバの文化干し入りの炒飯。

 2時過ぎに高知の永野廣さんからのマダラトビエイが到着する。解凍を待って4時前から撮影。2時間ほどでマダラトビエイ、アミモンガラ、ナガバイをじっくり撮影。

 マダラトビエイのヒレを取り、煮つけに。アミモンガラは昆布締め、ナガバイは刺身。トンとろを焼いて、はんだまのごま和え、マダラトビエイと一緒に入っていた浦戸湾産のカミナリイカを湯引きにする。
 マダラトビエイの煮つけ、アミモンガラの昆布締め、ナガバイの刺身、カミナリイカとはんだまのごま醤油、ゆでそら豆、ご飯。酒は福井市田嶋酒造の「福千歳 山廃仕込み」ワンカップ。

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マダラトビエイのヒレ、皮を剥ぐのが至難。煮つけにすると軟骨が硬いのが欠点だがまずくはない

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アミモンガラの昆布締めは美味。さすがにフグ目

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浦戸湾産カミナリイカ(紋甲いか、高知では真いか)は木の芽時から初夏までが旬。はんだまと合わせてごま醤油というのが、うまくて取り合いになる

 食後、画像の整理・保存。スズキ目ハゼ亜目のページを整理・改訂。11時過ぎに眠くなってダウン。


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 しかし、年をとるごとに忙しくなる(これは実質的なものだろうか? ちあみにお金とはまったく縁がない)なんて思いもしなかった。確かに30代なんて徹夜も日常茶飯事であり、机の上で寝たこともある。でも休日は千葉県勝浦の防波堤や磯でのんびり釣り糸をたれる時間はあったのだ。50歳を前にして加速度的に分刻みの生活の時間が増えている。この深夜も2時間ほど机に向かって雑事をこなして、朝っぱらから強烈な頭痛に悩まされている。これは海の極道さん、沼津の飯塚さんなど先輩方に50代の生き方を学ばねばならぬと思う。

 朝方、朝食を作っていると築地の尻高鰤さんからケータイ。2日の木更津のバーベキュー一緒に行きませんか? というのと河合智康さんの死の話。一瞬、「河合……」と思い浮かばないのが真横の本棚に『日本人とさかなの出会い』があり、「イワシの予報官」の河合さんのことだと気づく。押っ取り刀で朝刊を見るとお子さんに奥さんともども殺害されたと掲載されている。これで一気に眠気がさめてしまって、朝食作りは家人とバトンタッチ。河合智康さんは水産関係だけでなく分野を広げて今もっとも良質な本をだしておられる。残念と思うとともに痛ましい。

 朝食を済ませて市場で一時間ほど。いろんな人に声をかけられて、立ち話ばかりしている。八百屋の『ビックリ屋』で家人のために今期初のアメリカンチェリー。

 帰宅は10時。せっせとメールの返信。ブログ・掲示板に悪質ないたずらが相次いでいて、世の中こんなバカがいるんだな、と嘆く。人としてまともに、誠実に生きたらどうだい、大バカ野郎。そうしたら人に悪口を書く暇なんてないだろうに!

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 正午過ぎに外出。よしなしごと8時台に終了。うれしい。あんまりうれしいので四谷の『鈴傳』で立ち飲み2合。高知の「しらぎく」、石川の「獅子の里」ともにウマイ。肴は鶏肝の甘煮、そら豆。これで1800円也。

 帰宅は10時。風呂に入って第一回目の眠りに落ちる。


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