お魚三昧日記: 2007年9月アーカイブ

 朝方、5時過ぎには目が覚める。気分爽快だ。これはこの一週間、ほとんど都心に出なくても済んだことによる。やはり片道1時間半の往復、しかも魔の中央線に乗って、というのは疲れる。
 仕事的には暇であったのだが、サイトの改訂は膨大であった。壊れた甲殻類の目次はまだ半分しか出来ていない。ハタ科、ネズッポ科、フサカサゴ科メバル属の一部、カレイ科の一部、海藻の褐藻類、輸入魚の目次の改訂。新しいページ形式を考えたのはいいが、2000ページを作り直すのに何ヶ月かかるのだろう。
 また時間があると『海藻』(宮下章 法政大学出版局)を読み直している。これを読むということは古典も、また広辞苑も出して置かなくてはならない。その上、『水産加工品総覧』まで広げると机の上は危険な状態となる。暇が出来たら買いに行こうと思っているのが「流転の海」第5部『花の回廊』(宮本輝)なのだが当分無理だろう。貧乏なので文庫本が出るまで待つか? そう言えば『流転の海』の3部『血脈の火』など、もっとも新刊本が早く登場する荻窪ブックオフまで、わざわざ買いにいったのだった。どうしてそんなことが出来たのだろう。

 7時前まで市場魚貝類図鑑の改訂をして姫と外に出る。

 八王子魚市場、静かだったな。面白いもの皆無。もの凄い量のマアジ、サンマ、イワシ。ここで『魚茂』さんにつかまり立ち話。ようするに「最近は背の青い魚が安くて脂がのっている。自家製の干物もうまいよ」ということ。八王子市並木町『魚茂』の干物をよろしく。昨日は『源七』には塩釜からの生ばち(メバチマグロ)が入荷してきていた。その切れっ端がないかな? と探すがどこにもない。本当につまらないなー。

 とにかく腹が減ったので八王子綜合卸売センター『市場寿司 たか』。店の前に3人ほど待っている。かなり待ってやっと姫と朝ご飯。ボクは『市場寿司 たか』名物「豪海ブツブツ丼」、姫はイクラとカッパ巻き。「豪海投げ込み丼」は島根県産のエチュウバイ、大分県産のサヨリが入っていたが、タクワンが欠けていた。ボクはタクワンの入っていない「ブツブツ丼」はイヤなのだ。それに「みそ汁はいらない」っていったのに。たかさん反省するべし。

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 土曜会のメンバーが来ないのだなーと思っていたら、海老名の海老さんが柚を持って登場。ほどなく不幸なヒモマキバイさん、稚鮎と銀子さん一家。ヒモマキバイさんたちと交代で店を出て、総市水産、『土谷食品(トコロテン屋さん)」まで歩く。

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『土谷食品』ではできたての竹輪麩、トコロテン、コンニャクが買える。

 本日の『総市水産』の凄いこと。サンマ10本がなんと380円しかしない。マイワシが同じく350円。まだ早い時間なのに店の前に人だかりがしている。

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『総市』の土曜激安市は新しい八王子綜合卸売センター名物になりそう。この安さは本物

 八王子総合卸売協同組合をぐるっと回って、9時前には『高野水産』が帰り着く。こちらの品揃え、はたまた値段の安さも半端ではない。それからの1時間ほどが戦場と化したのはいうまでもない。ヒモマキバイさんたちはクロムツ、「白貝(サラガイ)」、「えぼだい(イボダイ)」などを買う。ここでヒモマキバイさんがイボダイを「バターフィッシュ」と呼ぶのには参ったな。バターフィッシュを加工品以外で見るのは本当に難しいのだ。
 我が家はソコイトヨリ混じりで入荷してきたイトヨリ、スルメイカ1ぱい、『綜一水産』のサンマをみんなと分け合って二本を買い求める。午後北海道からの魚貝類がくる可能性大なので買い控える。

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『カワベ』の上州牛薄切り、非常にうまかった。コマちゃんやるなー

 帰宅は10時半過ぎ。午前中はサイトの改訂。とくにヒレグロのページに粘液の窪みの画像を加える。画像の整理。

 八王子総合卸売協同組合『肉の菅原』の名物ハムカツでお昼ご飯。そう言えばヒモマキバイさんはシュウマイを買っていたっけ。たまにはそちらにしてもよかったかな。

 帰途TBSラジオ「永六輔の土曜ワイドラジオ東京」を聞いていると、ボクが童謡だと思っていた大好きな「里の秋」は戦後、南方から帰ってくる父を思う歌であったというのを知る。しかも最初に唄ったのが川田正子である。ボクは戦前戦後の歌謡史に興味があって関連書を読んでみたいと思っているのだけど、川田正子はその中心部に存在する。またサトウハチローの「もずが枯れ木で」が反戦歌であったりするわけで、このあたりの入門書をなんとか探さなくては。

 午後からは仕事。画像の保存。合間に換気扇の修理やら、電話がなんどもかかってくるやら、なんだかどっと疲れが出るほどに忙しい。

 夕食は八王子綜合卸売センター『土谷食品』の竹輪麩とスルメイカ、メークインの煮物、サンマの塩焼きと刺身、ホヤ、牛肉の塩コショウ炒め、キャベツとミョウガとニンジンと大根とキュウリのスダチサラダ、シラモ、ワカメの酢の物。疲れると和食系になる。
 肴は『土佐の廣丸』の酒盗。酒は「常山 冷やおろし」。

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竹輪麩(ちくわぶ)、メークイン、スルメイカの煮つけ。とにかくスルメイカを出汁代わりに作る我が家の定番料理

 食後、北海道からの荷物が届いていないのを思い出す。たぶん航空便ではないので中一日かかるということだろう。
 9時からテレビ東京「アドマチック天国 石見銀山」を見る。この島根県西部は本当に見所満載。浜田のことが思い出される。温泉津を始めもう一度行きたいな。

 夜11時過ぎまで仕事。以後記憶無し。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 昨日4日、6時半に沼津佐政水産の青木修一さんからケータイがはいる。
「ぼうずコンニャクさん、お久しぶりです。あのー、今、目の前にタチウオが5本あるんですが、顔が丸くて体が長いんです」
 これをボクはぼんやり聞いてしまった。釣りでとれた、体が長いということで深海のタチモドキだと早合点したのだ。タチモドキは食用としては、ほとんど認知されていないが魚類額の世界では平凡である。
 ケータイを「切り」にした途端に青木さんの初っぱなの「顔が丸くて」というのが浮き立ってきた。タチモドキではない。考えられるのがヒレナガユメタチ、ユメタチモドキ、ナガユメタチモドキだ。しまったと激しく後悔。大急ぎで返信。競り場での数十秒は大きいのである。幸いに青木さんとはすぐ連絡をとれた。
 このときボクは失念していたのだ。青木さんは仲卸、荷主、水産会社に勤めているサラリーマンとはいえ、静岡県でももっとも魚に詳しい人であると言うことを。青木さんの琴線にふれたものは間違いなく「珍しい魚だ」。
 とにかく1本だけ確保してもらった。これを競り落として、急いで送ってくれる手はずをしてくれたのが菊地利雄さんである。この菊地さんが沼津における魚貝類の師とも言える人である。

 それが4日の夜に届いた。帰宅して発泡を開けてみると間違いなくナガユメタチモドキだと思われた。もちろん我がデータベースにはないものだし、魚類学的にも希少なものである。

 翌6日、すなわち今日。撮影がてら背ビレ軟条を数えたら、はっきりしない軟条を切り捨てて115本ある。これでナガユメタチモドキと確定した。これを市場に持っていく。自宅では長すぎて体長が量れないので市場で横たえ巻き尺で190センチ、計りに乗せて1700グラムであった。

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『高野水産』でまな板を借りてワタを出すと小さいけれど卵巣があった。そして4等分。

 これを『市場寿司 たか』で握ってもらう。これがどうにもうまくもなんともない。まあ珍魚とは決してうまいものではないという典型か。

 帰宅後、ボタンエビ、エゾイシカゲなどを撮影。
 昼食はボタンエビ、エゾイシカゲの刺身。ナガユメタチモドキの塩焼き。
 ナガユメタチモドキは塩焼きでもうまいものではなかった。

 ここまで書くと順風に事は進んできたように思われるかも知れない。それが大間違い。この6日は豪雨、落雷、そして異常な高湿度。じっとしているだけで息苦しい。しかも家庭のごたごたもあって、外出後の中央線内では熟睡、そして東京駅までの乗り越し。午後3時までで一日分以上の疲労が溜まったのだ。


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 土曜日は朝方6時過ぎには八王子綜合卸売センターに到着。姫が一緒なので手間取るかと思ったら、むしろ「父ちゃん早うせい」と叱られる。
『市場寿司 たか』の前に来たら既にjasminさん、海老名の海老さん、まささんなどが到着していた。その内、鮟鱇一家、稚鮎と銀子さん一家も到着。土佐の「エガニ試食会」の用意を始める。永野廣さんの送ってくれたエガニはかなりの量、残念ながら2匹だけ死亡していたが、それでもカセットコンロ3台で蒸す、茹でる。超小食の海老さんに茹で鍋の面倒を見てもらって、その間に『市場寿司 たか』で腹ごなしをする。ボクは土曜日恒例の「豪海ぶつぶつ丼八の身バージョン」。このお寿司とエガニでお腹がパンパンになる。
 試食会の後は場内を案内。『高野水産』でお買い物。またコリアフーズではキムチなど。
 最後に八王子魚市場に立ち寄り解散。

 帰途、、宅急便に立ち寄り、鹿児島県南さつま市、わかしおさんからの魚貝類を受け取る。

 昼食はいたって簡単に。

 午後から笠沙の魚を撮影。ニジョウサバ、エビスシイラ、ドクサバフグ、ミナミイケガツオ。撮影に2時間。
 午後4時になってどっと疲れが出てうたた寝。夕方まで『市場魚貝類図鑑』の改訂。

 夕食は大商売ミートの三枚肉でしゃぶしゃぶ。これが今期初の鍋。後はニジョウサバの刺身、しめ鯖、毎味水産のトリガイ。

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珍魚ニジョウサバは、その貴重さほどにはうまくなかった

 午後9時からテレビ東京の『アドマチック天国』を見ている内にまたまたうたた寝。はっと気がついたら10時を回っている。11時半まで画像の整理。

 日曜は寝坊する。目覚めると8時を回っていた。こんなに寝坊したのは久しぶりだ。朝食も摂らずに、『市場魚貝類図鑑』の改訂。ブログを書く。画像の保存。

 朝昼食は御前11時過ぎ。毎味水産のエビとエビスシイラのフライ。サラダ、焼きなすび、刻みミョウガ、海老名の海老さんにいただいたニガウリのサラダ。ご飯に夏野菜いっぱいのみそ汁。

 午後から鹿児島県南さつま市笠沙の無脊椎動物の撮影。クモガニ科2種、サメハダホウズキイカ、ヒョウモンダコ、和名がわからないタコ、クラゲエボシ、ニシキガイ。撮影後、標本として沼津の飯塚さんに送る。

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これが危険度最大級のヒョウモンダコ

 夕方まで画像の整理、ちょっとだけ仕事。

 夕食は夏野菜とアサリのスパゲッティ、ニジョウサバの塩焼き、エビスシイラの塩焼き、しめ鯖、海老名の海老さんのニガウリ、永野廣さんにいただいた酒盗。日本酒の後に、ハイボールを3杯飲んだのが悪かったのか眠くなる。それでも11時過ぎまで画像の保存。ニジョウサバのページを校正する。後は記憶無し。


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