昨日のことから。
朝方6時に起きて画像の整理にかかる。「市場便り」をアップして八王子へ。黒のジャージーに30年前に買ったL.L,ビーンのトートとという出で立ちだが、豊田駅前で知り合いにあったら「これじゃ、電車に乗って雑誌集めている人みたい」といきなり指摘される。
雨の中、9時半に病院着。受付を済ませて内視鏡のブースに入る。そして目の前に置かれたのが2リットルの下剤。昨日一日検査食、そして朝起きて水を軽く一杯。ここにきて目の前にこれがあるのが、また悲しい気分に思えて涙が出る。これを2時間半で飲み、トイレに行くこと5回。
1時になって看護師に連れられて4階の病室に。検査するのに1泊するというのが私的には理解できないのだ。案内されて4人部屋に入り、小一時間もすると周りは総てガン患者なのがわかる。そして窓側の二人がうるさいのなんのって。
「10年前に大腸ガンになりまして、そして今回は胃ガンなんですけどね。これは転移ではないようなんです。原発性というやつですかね。それでも胃は3分の1残すことができたんです」
こんな話聞きたいか「おおばかやろう!」。その大バカ2人に相部屋の住人がもう一人いてこっちはベッドでじっと動かない。
2時過ぎに点滴をされ、また一階に下りていく。そして今度は注射を一本打たれて内視鏡検査。これが尾籠だがお尻の孔からつっこまれていて、軽い麻酔のようなものを受けているのに痛たいのだ。疲労困憊して部屋に帰り着くと病室ではガンに関する自慢話大会がこんどは一人増えて始まっている。内容を聞きたくないのでテレビカード1000円とイヤホン300円を購入。せっかく山口瞳の『男性自身 傑作選』を持ってきたのに。不愉快極まりない。でも夕方のニュースでは田村高広の逝去を知る。好きな俳優さんなので、まことに寂しいことである。
夕食は6時。まあ病院食など見たくもないだろうが参考までに。今日一日でこれが唯一腹に納まるのだ。でも彼の第二次世界大戦、そして敗戦ときて多くの人たちの食事はこれ以下だったのだろうな? この頃、どんどん右傾化しているように感じるのは我一人ではないだろう。脳天が麻痺して戦争の恐ろしさを忘れている小泉首相、安倍官房長官(なぜかヒットラーに似ている。コヤツも若いのにやたらに軍国主義的である。よほど戦争が好きなんだろうな)、民主党(もっとリベラルで「民主」的な考えを表に出せよ)、お前らこんな食事を食って歴史を再認識しろ。
細長い煮魚はキンメダイである。味つけは悪くない。でもこの空白の多さは空しさを助長する
そしてなぜか消灯は9時。
翌朝、食事時からまた窓際のバカがガン自慢話を大声でやらかしている。そこに医者が来て「ポリープは3つありました。これを検査して後日診察のときにお知らせします」といって去っていく。そして看護師が来て午後の検査の説明。この病室の看護師(女性である)がやたらに丁寧で親切。これも考えてみると不気味だな。
10時過ぎてエコー。これはお腹にゼリー状のものをぬりぬり当てて「大きく息を吸って、止めて」と言われて、すぐ終了。そして胃カメラのところに移動。まず小さなコップに入った白い液体を飲む。そして口を「あ〜ん」と開けて注射器でぴゅーっと喉に液体を吹き出す。それを「喉の奥で2〜3分飲み込まないでいてください」。そんなことできないだろう。すると喉がしびれてきて、またまた注射。
呼ばれて部屋に入るとベッドに横になるように言われて、マウスピースを噛まされる。
「楽にしてくださいね。肩を落として。息を吐いて、吐いて」
そして胃カメラが入って来るのだがこれが気持ち悪い。吐き気がなんども来て、そのたびに「げー」となる。涙とよだれ、胃液がこみ上げてくる。目の前のモニターにはその胃カメラの画像が見える。これ見たい人と、見たくない人といるだろうな。後者なんだよオレは。ちなみに我が胃には赤いザラザラしたイボイボがあるものの、これは胃のただれであって「ガンではありません」という。
そして会計で支払、テレビカードの精算(なんと使わなかった時間分お金が返却されるのだ。うれしいな)をして病院を出たのが正午過ぎである。このし払いが26000円。もったいないな「ガンじゃなければ」。外は曇り空。
胃の活動を鈍くする注射を打っているので1時間ほどは食事をとってはいけないというので八王子駅で駅弁を買って帰宅。一度八王子の大文字とある売店の弁当を食べてみたかったのだ。意外に自宅近くの駅では弁当を買う機会もないわけで、ちょっと期待する。
さっそく帰宅後、開いた幕の内だが、これが面白くもなんともない。まずいかというとコンビニ弁当と同じようなものだが100円高い。作っているのは「日本レストラン」という会社。これもJRの関連企業だろうか? 作っているのが埼玉でも、八王子で売っているのだから、どこかにご当地らしさを出さないとつまらないんじゃないかな。考えてみると埼玉と八王子には食文化の共通点も多いわけだし。そこにヒントはないのだろうか。逆に言うとコンビニがいかに優れた弁当を提供しているかを再認識するに終わる。
どこにも悪いところはないが、いいところもない。コンビニ弁当と同じだ
食後、思った以上に疲れていたようで猛烈な睡魔が押し寄せてきて、家人が敷いてくれていた布団に倒れ込むようにダウン。家人の「岡山から貝がとどいている」と言う電話で目覚める。時計を見ると3時近い。チルドには岡山の武内さんから岡山県倉敷市児島の貝がたくさん。中身を確認してすぐに寿司ネタになりそうなアケボノキヌタとアカマテガイを持って『市場寿司 たか』に向かう。
午後3時の八王子綜合卸売センター、河辺ハムの店長、琴矢さんなんかがバーベキューの準備をしている。「クルマが邪魔だよ。どかせろよ。酒もってこいよ。一緒にバーベキュー食べようぜ」なんて言う。琴矢さんなんか「おめーガンだったんだってな」なんて、よくも言ってくれるよ。脇ではたかさんがニコニコとそんな二人を眺めているのだ。ちょっと惹かれるが、なんだか熱が出てきて、それどころじゃない。
アケボノキヌタとアカマテガイの握りを撮影。家人が「卵を買ってきて」というのでビックリ屋に行くとママがまだ野菜の整理をしている。この人、いつ寝るんだろうね?
帰宅途中で移転した「あずま魚や」でミナミマグロの中トロ1さくを買う。
帰宅したらまた眠くなってうたた寝。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/