“徳島の魚”とはなんなのだろう? これが意外に明確ではないのである。例えば九州の宮崎、大分、兵庫県明石の魚まどは所謂ブランド化されているとも思える。これと比べると徳島の魚には、あったく何の名称も冠されていない。では魚に乏しいかというと、まったく逆で遜色ないどころか多彩過ぎるくらいだと思える。
例えば瀬戸内海の魚である小魚、小エビもとれる。また名物のハモもあり、吉野川の天然ウナギにアユも他を圧倒した旨さを誇っている。そこに黒潮がもたらすカツオやトビウオ類、はたまたマグロやムロアジなども加わる。この豊かさをどのように表現していくかが水産豊かな徳島県が抱える課題だろう。
競り場を歩いていて先ず目に付いたのが吉野川、那賀川などの天然ウナギ、アユである。ずらりと並ぶアユの見事さはその味の良さとともに特筆すべきだ。7月、8月と県内どこの町に行っても飲食店の店先には「あいの塩焼きできます」という札が下がっている。
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ネットに入っているのがウナギ、右にアユ
また江戸時代に築かれた第十堰下流域応神でのヤマトシジミも味の良さでは天下一品である。このシジミの漁獲量も年々減少しているという。
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一キロネットで1800円という高値。でも食べてみて納得するはず
吉野川といえば「川えび(テナガエビ類)」も水揚げされていた。見たところテナガエビとミナミテナガエビであるように思える。
徳島市からいちばん近い海がそれこそ鳴門、小松島、そして市内津田沖である。鳴門には釣り漁もあるし、小松島で有名なのが「ちりめん」である。この日は浅い場所を曳く底引きの獲物が目に付いた。
海の幸としては最初に目に飛び込んできたのが活けのハモ。もともと徳島ではハモをあまり食べなかった。それが近年徳島を代表する魚となったのは海を挟んだ大阪や京都の影響だろう。
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左には天然クルマエビ、そしてハモ
またもっとも箱の数が多いのがクルマエビ科のエビたち。「さるぼ(アカエビ)」、「ぬきえび(サルエビ)」、「足赤(クマエビ)」、クルマエビ。「赤えび(クダヒゲエビの仲間)」は徳島ならではのもの。クルマエビに近い同じ根鰓目のクダヒゲエビ科のエビを「赤えび」というのも今回の収穫。
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これはアカエビで徳島では「さるぼ」
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「赤えび」。これは本来のクルマエビ科アカエビ属のアカエビではなくクダヒゲエビ科のエビ
カニでは「わたりがに(ガザミ)」、「がざみ(タイワンガザミ)」。片隅に北海道から陸送されたのかズワイガニとケガニがひっそりと置かれていた。
貝では、淡路からコシダカガンガラ、「にし(アカニシ)」、ハナツメタ、ツメタガイ、ヤツシロガイ、ボウシュウボラ。このハナツメタは瀬戸内海を代表する食用貝でもある。
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メガイアワビ、クロアワビ、トコブシ。鳴門からはイワガキも入荷してきている。そしてマダコ、イイダコにケンサキイカ、カミナリイカ。
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活け魚の多彩だ
魚では見事なマダイ、「ちぬ(クロダイ)」、アイゴ、シロギス、マアジ、スズキ、カイワリ、「いさぎ(イサキ)」、「ぼうぜ(イボダイ)」、マナガツオ、「柳(サワラ)」、メバチマグロの小振りなのもあるし、カツオ、マサバ、アカカマス、コロダイ、クロホシフエダイ、マアナゴ、ヒラメ、メイタガレイ、ヒラメ、クロウシノシタ、カサゴ、コチ、トラフグ、カワハギ。
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文章が乱雑になるがここで「ぼうぜ(イボダイ)」について書いておきたい。徳島では姿寿司をよく作るのだ。「さば(マサバ)」、「あじ(マアジ)」、「かます(アカカマス)」、サンマはよそでも見るが、珍しいのが「ぼうぜのすし」。ボクはその昔、市内の親戚や知り合いの家でよく食べたものだ。この美味は徳島ならではのもの。
競り場に並んだ魚貝類をただただ書き上げてきた。それにしても地ものだけなのにいかに多彩かがわかっていただけただろうか? ちなみにこの日、台風4号が北上、近づきつつあった。当然出船は少なかったはずである。
徳島中央卸売市場 徳島県徳島市北沖州4の1の38
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徳島大水魚市
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徳島魚市場
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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