食べる貝・イカタコ学: 2009年10月アーカイブ

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アカザラガイを知っている人は少ないだろう。
見た目は、何と言ったらいいのだろう、ホタテガイに似ていなくもない。
ただ、全体が薄汚れている、地味な色合いなので、どうにも目立たない存在となっている。
東京湾などでもとれている二枚貝にアズマニシキというのがある。
これは各地で細々と食用となっているものだが、非常にローカルなものでしかない。
アズマニシキの三陸地方形がアカザラガイである。
見た目が著しく似ている。
三陸では、この目立たない貝を養殖しているのだ。

アカザラガイの産地は主に三陸、岩手県、宮城県に限られている。
気仙沼などでは民宿などで定番の味わいとなっているようだ。
滅多に関東へは来ないものだから、見つけたら必ず買う。
たぶん種がわかって買うのはボクくらいだろう。
買い込んで、『市場寿司 たか』で寿司図鑑用に撮影。

持ち帰って、焼いてみた。
残念ながらホタテカザリムシがついていて、なんとも厄介だったが、思った以上に美味であった。
入荷量が多いと、やはりホタテガイと比べられてしまう。
とても太刀打ちできそうにないが、たまに見かける程度なら、需要はありそうに思える。
見つけた、八王子綜合卸売組合『マルコウ』でも、なかなか売れ行きがよかったようだ。
ときどきならアカザラガイは有望な商材となりそうに思える。
三陸の荷主さん、熟慮のほどを。

作り方
1 よく洗い、汚れなどを落とす。
2 できるだけ強火で焼く。
3 酒と醤油で味付け、ほどよく焼けたら皿に盛る。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アカザラガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/itaya/akazaragai.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/


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築地場内『島津商店』さんで沖縄県産マガキガイを見つけた。
沖縄で「テーラージャー」なのか「テラジャ」なのか? どうにもはっきりしない。
昔、沖縄の方に聞くと、音引きがあったので「テーラージャー」ということにする。
伊豆半島で「トネリ」、高知県では「チャンバラガイ」などという。
「チャンバラガイ」というのが築地などでは定着している。

沖縄ではマガキガイの増殖に取り組んでいて、この味わいのよさから、関東などへの売り込みも盛んに行われている。
ただし、やや苦戦気味のようだ。
そこでボクが、ちょっと応援。
巻貝のなかでももっともうまい貝がマガキガイであると、宣言したい。
といっても唯一いちばんというわけではなく、いちばんうまい貝がいくつかあって、そのひとつという意味だけどね。

さて、食用巻貝でもっとも種類が多いのが、エゾボラ科だ。
後はポツリポツリ。
なじみ深いサザエだって、同じ科で知名度が高いものが見当たらない。
シッタカ(バテイラ)のニシキウズガイ科も地味だ。
そしてマガキガイのソデボラ科にあっては一般に食用となるものが、他に見当たらない。
シドロガイ、フドロガイなんて不思議な名の貝が並ぶが、そして食べたらうまいのであるが、貝を集める人のための貝であって、食用ではない。

しかもマガキガイの外見がかのイモガイに似ているのだ。
タガヤサンミナシ、アンボイナなんで危険なヤツの所属するイモガイなのだから、一見怖そうに思える。
浅い磯にいて、非常にうまい巻貝なのに、現在に生き残れたのはイモガイに似ていたからだ、とも言われている。

このイモガイ似(強面)の貝を好んで食べるのだから人間てすごい。
さて、マガキガイを買い求めたら、まずは適当に洗う。
そして酒と塩、もしくは酒と醤油で煮てしまう。
この貝の優れている点は、フタが鎌のような形になっていて、口のところから飛び出している。
こいつをひっぱると中からうまい身がするする出てくるので、まことに食べやすい。

足の部分はやや淡白。
それが奥のワタを食べると、濃厚な旨味があって、それがほどよく消える。
ボクの勝手な思い込みだが、出すのが簡単であって、味がいいのだから、酒の肴にもってこい。
まさに佳肴也と思う。

作り方
1 軽く洗い、汚れなどを落とす。
2 マガキガイを水から入れて、酒、醤油を加える。
3 鍋に蓋をして5分から7分ほど煮る。
4 そのまま鍋止めして冷ます。

最後に場内『島津商店』さん、面白いな。
今度の土曜日にも立ち寄ってみよう!

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マガキガイへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/bansokurui/sodebora/sodebora.html
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まだまだ小さいけれどヤリイカの入荷が続いている。
コウイカの小さいのを新イカというなら、こちらも新イカと呼ぶべきだ。
八王子綜合卸売センター『高野水産』社長にいただいた新ヤリイカを刺身にする。
これが秋らしくていい。

さて胴長10センチほど。
刺身にすると、1尾で2切れくらいの大きさ。
皮もすいすい剥けるので、あっという間に食卓に上る。

今回は海老名の海老さんにいただいた青ゆず。
奈良県の醤油であっさりと。
去年は酢みそ、韓国酢みそ、ピーナッツオイル・ライムに岩塩といろいろ試してみたが初手は普通に食べてみる。

大好きな「三千盛」で、アテは小ヤリ、これは癒し系であるな。
窓の外から聞こえてくるアオマツムシの孤独な鳴き声に、PPM、マリーの訃報。
ちょっと寂しい誕生月が過ぎ行く。

ヤリイカ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/yariika/yariika.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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