食べる貝・イカタコ学: 2007年1月アーカイブ

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 桑名から来た荷で「国産ハマグリを台湾で養殖」というのを見つけた。これはいったいなんだろう? 見たところハマグリであるかどうかはわからない。だいたい我が国に標準和名のハマグリが台湾で養殖するほどにとれるのだろうか? 長良川河口堰という非常に破廉恥な公共事業を行ってから伊勢湾の海はかなり生産力を失っているはずである。
 また他の産地のものも本当にハマグリなのかが疑われているのだ。その疑惑の中心にあるのがタイワンハマグリとシナハマグリである。ひょっとしたらハマグリは我が国でももっとも絶滅を危惧しなければならない種である可能性が大である。
 桑名と言えば貝を扱う業者も数知れずあったのが廃業が相次いでいるとも聞く? その原因が伊勢湾でのハマグリや貝の激減のはず。やっぱりこのラベル、どう考えていいのか理解が出来ない。
 この桑名のハマグリには国産ハマグリと言われているもののように明確な斑紋がなく、我がデータベースで見る限り台湾産養殖ハマグリそのものに見える。これを本当に標準和名ハマグリだとしていいのだろうか?

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これは一昨年「シーフードショー」で見た台湾産のハマグリ

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 洋食界のスターのくせに知名度が低いというアンバランスな料理がイカリングである。「それじゃスターじゃないだろう」と思われる方、あなたは食卓での何気ない箸の動きを見ていない。我が家の定番料理のひとつがイカリングなのだが、いたって人気が高い。最初になくなるのに落語家に例えるならトリとはおかしだろうか。まあトリをとる真打ちでは今はなき金原亭馬生、一見平凡だがなんど聞いても味が深いというか飽きないところが似ていると思うのだ。
 そんなイカリングをいざ作るとなると、これがなかなか難しい。難しいというのは材料選びから始まる。ボクとしてはコウイカ類、アオリイカなんておすすめなのだが、どれもこれも一食分で1000円前後の、いやいやもっと原材料費がかさむ。ということでは困るので普段作るなら冷凍物のアオリイカでもいいし、アカイカ(決してケンサキイカではない)をおすすめする。もしも開いていたらおいおいリングに作り直す芸当もやらかすが、これは別の機会に。
 でも、こいつらがなくてもスルメイカだってうまいのである。スルメイカというのは重宝なもので、げそもエンペラも足も、捨てるところがない。しかも刺身でもいけるのだけれど、何気ない日常のお総菜にしてすこぶるつきにうまいのである。また食育というのが叫ばれているが、世に中にあっていかに「惣菜」というのが重要か、もっと平凡なところから始めろよとお役人さんにももの申したい。

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スルメイカの胴は刺身、イカリング、炒め物などに、げそとむいた皮(これは捨ててはいけない。煮物以外にもみそ汁に入れると味が深くなる)は何と言っても煮物に、エンペラは酢みそ合えがうまいし、ワタは凍らせてルイベ、またげそなどとワタ焼き、ワタを使った鍋にもなる

 さてスルメイカの表面の皮を剥いたら、輪切りにする。輪切りにしてなんども裏表くるくるしながらよく薄皮をとる。とったらこんどは水分をこれまたよく拭き取るのだ。そしてラップをしないまま小一時間冷蔵庫で寝かせよう。こうするとより無駄な水分が飛び、揚げているときにはねない。
 今回は長年疑問に思っていたイカの身は裏側、すなわち内臓に向かっている方を内側に向ける方がいいのか? それとも生きているときとは反対に外側に裏返す方がいいのか? を試してみた。乾燥パセリの付いているのが表は表、ついていないのが裏側をくるりと表に返したもの。
 作り方は簡単、身に塩コショウ、粉をつけて、卵と少しの小麦粉でとろみをつけた衣をつける(イカのフライのときにはこのとろみが必要。卵だけよりうまく揚がる)。これにパン粉をまぶして180度くらいの油で短時間揚げる。
 出来上がったら裏も表も変わらなかった。また普通に揚げてスルメイカは確かにやや硬いものの子供にとっても気にするほどではなかった。
 また冷凍のロールイカや高級なコウイカを使うよりも味はスルメイカの方がいいのではと思ったのである。驚いたことに熱を通したときのスルメの旨さというのは高級イカを超えてしまいそうだ。シャワサワと口の中で咀嚼している内にイカの甘味が吹き出してくる。そこに香ばしーい揚げたパン粉の香り。
「父ちゃん、これじゃ足りないぞ」
 子供は無邪気なことを言うのである。今回使ったスルメイカが3ばい。これが食卓にあった時間がものの5分でもないのだ。とするとこの2倍使っても10分持たないわけでスルメイカならお財布の心配はしなくてもいいけど「父ちゃんの輝かしい青春時代はどうしてくれるんだ」、といいたい。「あんたもう青春じゃないでしょ」と言われると五十路なので返す言葉もないが、「年を取っても燃えているんだぞ、父ちゃんは」と言いたいのである。
 閑話休題。
 手間はかかるものの、その煩わしさを忘れるほどにイカリングというのはうまい。面白いのはビールにも焼酎にも、そしてもっともっとご飯にも合うのである。今週末もスルメイカでイカリングを作るぞ!


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「“あわびつ”てなんだろうね」八王子魚市場の貝担当・鈴木さんからとケータイに。
「どこから“来たの”」
「何言ってるの。ここは“北野だよ”(オヤジギャグ)。ええと福島いわき」
「そりゃモスソガイだな。うまいよ。高く売れば」
「売れないよ。べとべとだもん」
 と言うことで八王子魚市場に行くと、モスソガイが思った以上に売れている。でもキロ当たり500円は安すぎるだろ。
「オレなら1500円でも買うな」
「そお、じゃ、1500円で0.5ね」
「よろしく」
 一通り市場を見回って会計に回ると300円でいっぱい一円玉込みのおつりがきた。

 青森県では“おでんつぶ”なんて呼んでいる。大きいのは茹でて串に刺して売っているが、市場にあって見事と言うしかない。売っていたオバサンがいろいろ食い方を教えてくれたんだけど、そう言えば何を言っているんだか「わかんね」。困った困った、青森旅行だったのである。宮城でも、福島でも「うまい“つぶ”だよ」と定評がある。
 面白いのはこのモスソガイが決して北国の貝ではないということ。最初に見たのが青森駅前市場であったのでボクも最初はそう思いこんでいたのだ。でも生息域は瀬戸内海以北。だいたい三河湾での底引きにも入る。これはマボヤなんかと似た勘違いである。
 だいたいそもそも「perryi」とあり、記載が1855年というのは彼の黒船のペリー提督のこと。東京湾で空砲をドンドコリン、ドンドコリンと撃ちながら、こんなものアメリカに持ち帰っていたわけだ。(注/ペリー来航は1853年(嘉永6年)、と翌(安政1年)である)

 この関東では馴染みのない“つぶ”は似て食うとしみじみ「うまいんだ」。他には青森のおっかさんが言ったようにおでんに入れても旨い。そのときは1匹単位で串かなんか売って鍋で泳がして欲しい。

 しかし鈴木さん、キロ当たり500円はあまりに漁師さんに申し訳ない。ぼうずコンニャクは勝手に「モスソガイはもっと高く売れ」というファンクラブを立ち上げることにする。

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 八王子生まれの「スーパーイシカワ」石川榮二さんに教えてもらったのがスルメイカでジャガイモを煮るというもの。八王子や多摩地区ではお祭りの時や冠婚葬祭にイカと根菜類を使って煮物(煮染め)を作るのだという。我が家ではこれをアレンジしていろいろおかずを作る。もちろん煮染め調のものも作るが、おかずとしてよく作るのが「こってり煮」なのだ。
 材料はイカとジャガイモだけ。これを醤油、砂糖、酒、みりんでコッテコッテに煮あげる。煮汁は最小限にまでつめてしまう。今回のものは茨城県大津港からきたエゾハリイカとヒメコウイカ、ジンドウイカの小イカ三種のげそ、それに秋ジャガイモである。秋ジャガイモはややデンプン質が低く、旨味に欠ける。それをいかげその出汁で甘辛くたきあげる。
 これを作ると、困ったことに数分で売りきれとなる。そしてまたもや煮汁の取り合いとなる。そして大人には煮汁をご飯にかける権利がないのである。

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イカげそはあらかじめ湯通し

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