食べる貝・イカタコ学: 2007年4月アーカイブ

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 八王子魚市場内『源七』にはこのところ東京湾三番瀬の恵みが日々もたらされている。トリガイ、バカガイ、アサリ、ホンビノス(白はまぐり これはどうも船橋の組合で考えた呼び名)、そしてサルボウ。
 船橋や浦安ではサルボウがとれたらすぐにゆがいて、佃煮にする。もしくは茹で貝にする。でもこれが山梨にくると「小赤(こあか)」と呼ばれて刺身になるのだ。ボクはこの「小赤」が大好きである。だから『源七』で見つけると社長の吉種登さんにお願いして酒の肴分ほどをいただいてくる。(いつもありがとう!)
 これを剥いて、よく表面の汚れをとる。この剥き身が今回のはやけに膨らんでうまそうである。これを開いてザルにとり、真水の中で揺すり洗い。この水気を切ると刺身の出来上がりである。開いた身を塩水で洗うか、真水なのか、あまり変わらないようなので「塩を入れる手間」を省いている。
 これなどまさに江戸前に残った干潟、三番瀬の味であって、自然を守ることが、漁をして、それを味わうことで「できるのだ」という気がする。間違いだろうか?

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炎の中のタイラギ

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 最近、「平貝(タイラギ)」の入荷が目立つ。そのせいか値段もお安いのである。だから土曜日の酒の肴は「平貝」ということが多くなっている。
 我が家ではまず貝柱だけにして、網にのせて強い炎で炙る。これを冷水に落として、手早く切る。なぜだか、「平貝」は少し熱を通した方がうまいと思うのだ。

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 でも家人は生を好む。だから二個買ったときには生と二種類作ることにしている。それで生、炙り交互に食べると、「どっちもいいな」なんて曖昧な気分になる。面白いのは家人はこれを焼き海苔でくるんで食べるのである。これではタイラギの持つ、玄妙な苦みと微かな甘味、貝くささが味わえないだろうと思うのだが、「海苔がないと食べた気がしない」のだと譲らない。
 まあ、「食べる」ということは「自由気まま」でいいと思っているので、脇で太郎が「平貝」を海苔巻きにして、マヨネーズをてんこ盛りにして食べていても、見てみない振りを決め込んでいる。
 それにしても我が家全員食通とは無縁だなー。

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長崎磯の巻き貝

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 睡眠不足でちょっとぼんやりした状態である。画面を見ていても文字がウワフワ浮かんでしっかしした思考が続かない。最悪の状況だな。

 それからするとやや二日酔い気味だった昨日は元気だった。まあ市場にはなにもなく寂しい限りなのだが、そこに長崎からめかぶと磯の巻き貝。これ伊豆なんかでは「磯もの」というのだが、長崎ではなんというのだろう。
 普通、このような塩ゆでや煮るための巻き貝は千葉県などでは「しったか(バテイラ)」だったら一種類で、また伊豆なんかでも「しったか(バテイラ)」、ヘソアキクボガイ、クボガイなどを丁寧に選別して入荷してくる。これが九州ではまぜこぜとなって来ることが多いのである。大分しかり、そして長崎。
 今回の巻き貝が長崎のどこでとれたのか、八王子綜合卸売センター『高野水産』が箱を捨ててしまったのでわからない。それで長崎県漁連「東京直売所」の入江さんに聞いてみる。すると「たぶん五島(列島)か対馬だろう」という。
 これを証明するのがオオコシダカガンガラである。これは「しったか(バテイラ)」と非常に近縁の種であり、ほとんど日本海側、対馬海峡、東シナ海北部にしかいない。またクマノコガイがたくさん入っていて、最近では東南アジアから輸入されてもいるのだ。

 これをとりあえず、種簿ごとにより分ける。一種類だけ、外見はオオコシダカガンガラなのにへそがないのがある。それを除くと、

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ニシキウズガイ科/オオコシダカガンガラ(上のいちばん左)、コシダカガンガラ(上の中)、クマノコガイ(下の中)
サザエ科/ウラウズガイ(上のいちばん右)、スガイ(下のいちばん左)
エゾバイ科/イソニナ(下のいちばん右)

 これを塩ゆでにする。仕事前の慌ただしい昼食に爪楊枝でクルクルしながら磯の風味、ほろ苦さ、甘味を楽しむ。食べ比べてみると、どれもいい味なんだけど、意外やスガイがいちばんうまいのだ。こんないろいろ巻き貝を食べ比べられるのって楽しいものである。これが仕事のない夕べだったらなーー。

長崎県漁連
http://www.jf-net.ne.jp/nsgyoren/
長崎県漁連東京直売所
http://www.jf-net.ne.jp/nsgyoren/topix3/index.html

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