食べる貝・イカタコ学: 2007年11月アーカイブ

kakioko071101.jpg
●クリックすると拡大

 岡山県日生での昼食はお好み焼きだった。関東の方にはわかって頂けないだろうが、西日本ではお好み焼きは常に身近にある。例えば喫茶店はなくても「街のお好み焼き屋」は絶対になくてはならないものだったりする。またお好み焼きは子供にとっても大人にとっても、軽食としても主食としても欠かせないものであるのだ。
 そして日生の話に戻ると、いろいろ漁村ならではの水産物入りのお好み焼きを食べるには食べた。けれども“お好み焼き屋のおばちゃん”によると「冬でしたらね。『かきおこ(カキオコとカタカナ表記が正しいのかも)』がありましたん(関西弁です)」。ここ日生で名物というと焼き穴子に冬はマガキ、そしてマガキを使った「かきおこ」なのだという。

 さて「かきおこ」とはなんぞや? それはマガキの剥き身入りのお好み焼きのこと。食べていないので、確実なところはわからないけど、お好み焼きにマガキを入れているわけだから、だいたい再現できそうだ。

 ちょうどここに岡山県漁連の日生産の剥きガキがある。後はお好み焼きの基本的なものを揃える。水でといた小麦粉、ここにほんの少しの塩、キャベツ、青ネギ、卵。

kakioko072222.jpg
●クリックすると拡大

1 ボウルにお好み焼きの生地、キャベツ、青ネギ、卵を入れておく。この時点で決して混ぜ合わせてはいけない。
2 フライパンを熱して油をしき、かなり強火のままマガキを入れる。フライパン内で適当にお好み焼きの円状マガキを配置。
3 手早く地を一定方向に空気を閉じこめるように掻き混ぜ、配置したマガキをつなぎ止めるように丸くフライパンに流し込む。お好み焼きの裏側(フライパン側)はすぐに焼けてくる。この間、非常に短い。
4 ここでまだ表面は生のままでしかないが火を弱めてひっくり返す。これでマガキに焼いた香ばしさが出るし、熱が入りすぎない。ここからは中火。

kakioko0711.jpg
●クリックすると拡大

5 焼けたな、と思ったら表面に返し。ソースをかけて青海苔。

 このマガキを、「これでもか」と入れたお好み焼きはうまい。意外にカキの風味はなくて、感じるのは旨味が勝っている。それでもマガキの豊かな味わいは存分に楽しめるのは、お好み焼きという包容力のある料理法だからだろう。
 唯一失敗したのがソースの選択。徳島県加賀屋のものは甘口であって、これが「かきおこ」には合わない。これは課題なのだけど、醤油、ソースなどを合わせて「かきおこ」用に誂える必要がある。
 さて、次回は「アサリおこ」を作ってみるつもりだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マガキへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/kaki/magaki.html
日生のお好み焼きへは
http://uma-i.seesaa.net/article/47422158.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

tiai071111.jpg
●クリックすると拡大

 市場の仲卸二軒がホタテの稚貝を売っている。別に申し合わせたわけでもなかろうに、「ベビーホタテ」なんて呼んでいるのだ。「そうなんだ」ホタテの稚貝は今では「ベビーホタテ」と言った方が一般的らしいなんて思った。
 まあとにかく刺身にするには小さすぎるホタテも市場には入荷してくるわけで、その大きさも様々である。今回のものはなかでも極小サイズ。500円玉サイズがごっそり。
 みると小さな貝殻に、ベビーホタテよりも重そうなチシマフジツボが張り付き、もっとよくみると少ないながらアズマニシキ、もっともっとよく見るとキヌマトイガイもくっついている。
 これこそボクのもっとも大好きなフジツボつき稚貝なのである。ホタテガイは軟体類貝であって、フジツボは甲殻類。まったく動物としてかけ離れたものが、みそ汁にすると別々の旨味成分を出して相乗効果でうまいだしとなる。

 ボクがうれしそうに買い求めていると『総市』の社長が
「そういう考え方もあるんですね」
 不思議そうな顔をしている。
「次回からはフジツボつきの稚貝は“2倍うまいよ”、と売ってみてください」

 当然、買い求めた翌朝は稚貝のみそ汁にする。
 やはりフジツボつきは2倍うまいね。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ホタテガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/itaya/hotate.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

hatayaa071111.jpg
●クリックすると拡大

 宮城県の畠山重篤さんの名は水産のことに興味があれば、だれでも一度は聞いたことがあるはずだ。マガキという水産生物(当然マガキ以外にも)と山(森)との関わりをとき、植林運動を行うなど漁業者が主導する自然保護運動の魁となった人である。

 長年植林事業を継続し、きっと豊かな栄養分、また美しい水質を保っているだろう唐桑のマガキの味わいはいかがであろう。ただただ好奇心から1個85円(卸値)を3個だけ買ってきてみる。

 買ってきて貝殻の殻頂を見ると穴が開いていない。とすると垂下式の養殖ではない。どのような養殖方法をとっているのだろう。ひょっとして地撒きしたものかも知れない。
 まあ考えるより食べてみる。大急ぎで剥き、とるものもとりあえず口に放り込む。その小粒な外見からすると想像できないほどの身の膨らみだ。そして食感があって旨味が強い。
 売り場の担当者が「厚岸と比べると買い手の評価はわかれるようです」というが“身の大きさ”を鑑みると唐桑湾の勝ちかもしれない。

 さて本日も八王子魚市場には畠山さんの『水山養殖場」のマガキがあった。この入荷はいつまで続くのだろう。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マガキへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/kaki/magaki.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

magaki0711111.jpg
●クリックすると拡大

 岡山県備前市日生でお好み焼きを食べたとき、寒くなると名物の「かきおこ」があるんです。という話を聞いた。お好み焼きに剥きガキが入って、「カキ入りお好み焼き」の略が「かきおこ」。どんな味なんだろうとかねがね思っていたのだが、その日生産の剥きガキを八王子綜合卸売協同組合『やまぎし』で見つけた。
 水切りタイプで小粒とくるだけでいかにもうまそうな。これを2パック400円で購入する。

 一個は生で、もう一個は「かきおこ」を作ってみるつもりだった。それで当日は一パックをそのまま軽く洗い、生のまま海老名の海老さんにいただいた柚と粗塩で食卓にだす。出した途端に家人がやたらに食べて、気がついたらきれいに消えている。こっちはほんのイシガレイのムニエルを焼いている間のことで空になったガラス鉢を見てため息がでる。でもそんなにうまいものならボクだって食べたい。

magaki0707111222.jpg
●クリックすると拡大

 仕方なく「かきおこ」用の一パックにたっぷりの柚を振りかけて、粗塩で食う。これは確かに夢中になる味わいである。小粒であるからだろうか、非常にカキの旨味が濃い。しかも、食感がすこぶるよろしい。しかも小さなパックの割に生身はたっぷり詰まって入っているのだ。

 日生では盛んに「カキの時期にもう一度来てみてくださいね(大阪弁の抑揚で)」と言われた。このワケが判明したことになる。
 考えてみると、マガキの生産量のダントツ一位は広島、次いで宮城県、これに次ぐのが岡山県である。岡山はカキどころだったのだ。
 日生のカキを食らいながら「冬の岡山にも行かなくちゃだめだな」としみじみ思うのだった。

岡山漁連
http://www.jf-net.ne.jp/oygyoren/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マガキへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/kaki/magaki.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

magaki071111.jpg
●クリックすると拡大

 マガキがどんどん旨くなってきている。この時期、これが楽しみでならない。
 市場通いで毎日のように買っては楽しみ、そこから冬到来を思ったりする。

 生がいちばん好きなのだけど、ときどき殻付きのまま蒸してしまう。これは仲卸などでは電子レンジで数十秒チンという調理法もあって、これもいいのだけど自宅では小さめのふたつきの鍋で身が熱でふわっと膨らむ程度に蒸し上げる。このマガキの身がプクっと膨らむのは水蒸気のお陰らしい。

 この高熱で圧縮されたマガキの旨味が、そろそろ年末に近づきつつある時期の疲れを取り去ってくれる。すなわち癒しの味わいというヤツだな。

 今回のものは岩手県産のものを八王子綜合卸売協同組合『やまぎし』でばら売りしていたもの。1個90円也で3個だけ買って酒の肴に蒸し上げる。八王子綜合卸売協同組合『やまぎし』の隣が『コリアンフーズかや』、店主の成田山にもらった韓国風酢みそをはじめて使ってみたら、これもなかなかうまいのだ。

 酒はマッコリルがいいかな? それとも芋焼酎のお湯割り。どちらにしても日本酒よりも合うように思える。

八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マガキへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/kaki/magaki.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

benizara071144.jpg
●クリックすると拡大

 さて市場で意外に目立つのもに「白貝」というのがある。まっしろの漆喰のような貝殻の二枚貝である。主に北海道からの入荷が多く、「北帰貝(ウバガイ)漁」に混ざってとれる。
 これを一種類だと思っている人が多い。

 よく見てみると形から2つに分かれることはすぐにわかってもらえるだろう。ところがよくよく見ると3種類なのである。まずはむしろ三角形というか方形に近いのがサラガイ。楕円形でサラガイよりも大きいのがアラスジサラガイとベニザラガイである。
 この楕円形2種の見分け方が難しい。北海道白糠郡白老町の「宮森水産」から八王子綜合卸売協同組合『マル幸』に入荷してきていたのはベニザラガイ。表面に同心円的にある筋(成長肋)が均質であり、貝殻を開けると裏側がマゼンタ一色に近い。対するにアラスジサラガイは表面の筋が均質ではなく太い細いがあり、開けると赤藍色である。

benizara071111.jpg
●クリックすると拡大

 とにかく「白貝」では楕円形が大きくなり、方形に近いものは小振りだ。そのため「宮森水産」でも「サラガイ=小」、「アラスジサラガイ・ベニザラガイ=大」と分けているようだ。

 ボクとしては「大きいことはいいことだ」と思っているので楕円を歓迎している。
 これは白貝全般に言えることだが、酒蒸しにしても刺身にしてもクセのない素直な貝の甘味を楽しめる、優等生じみたところがある。だから寿司職人からすると「青柳と比べると落ちるね」となる。微かな渋みとアクのあるバカガイと比べると味わいというか寿司飯にのせて曲がないということだ。
 でもでも優等生の味わいは、それはそれなりに素直に楽しむべきだろう。値段の安さからしても我が家の食卓への登場回数の多い貝となっている。
 刺身、酒蒸し(ワイン蒸し)、そしてもっともよく作るのがムニエルである。

 このムニエルは簡単至極な料理だ。
 まずは貝殻の片方を外す。砂を噛んでいたら身を完全に外して砂を洗い落とす。大丈夫だったら取り去らない方の貝殻に着いた貝柱を3分の2ほど切り離して、塩コショウ。

benizara071122.jpg
●クリックすると拡大
今回は砂を噛んでいなかったので、着いている貝柱を三分の一ほど切り離しておく。こうすると食べやすい

benizara071133.jpg
●クリックすると拡大

 小麦粉にとんとんとたたきつけて、あとは強火で(グラッセ)ソテーし。表面に焦げ目がついたら、貝を取りだして白ワインとバターでデグラッセ。
 これをムニエルのソースにする。クールブイヨンや野菜のコンカッセがあるといいのだけれど、まあ家庭料理なので簡単に。ガルニチュールもほとんどなしと言うことですな。

 私、ワインは素直にシャブリが好き。当然、こんな料理には冷え冷えのシャブリが欲しいな!

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
サラガイ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/nikkougai/saragai.html
ベニザラガイ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/nikkougai/benizaragai.html
アラスジサラガイ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/nikkougai/arasujisaragai.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

月別 アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、2007年11月以降に書かれたブログ記事のうち食べる貝・イカタコ学カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは食べる貝・イカタコ学: 2007年10月です。

次のアーカイブは食べる貝・イカタコ学: 2007年12月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。