食べる貝・イカタコ学: 2006年12月アーカイブ

 エゾバイ科には膨大な種が存在する。そのなかの多くは「ぼら」とつくか「ばい」とつくかに分かれるのである。すなわちエゾボラ属は総て「ぼら」とつき、エゾバイ属は「ばい」となる。そしてそれ以外がややややこしい。今回の「つぶ学」の主役が「ぼら」なのか「ばい」なのかはっきりしてくれというネジボラ属の2種である。確かに木ネジそっくりな形であり、抜くかねじ込むかの差はわからないが「ネジなんだ」というもの。北海道では「竹の子つぶ」って言うけどむしろネジだな。そしてどうして「竹の子ばい」ではいかんのだろう?
 またなぜこれが別種なんだろうかと思うほどに2種は似ている。形が似ているだけではなく生息域もそっくり、味もそっくり。福島県相馬市原釜のおっかさんに「これは種類が違うんです」というと。「なにつまらねーこと言ってる。男のくせして、バカいうな」と返された。当地では「ほかがい」すなわちシライトマキバイ以外の貝という意味しかない。だからだろうか貝の研究者も「ぼら」でも「ばい」でもよかんべ、ということで和名をつけたようだ。
 これから底引きでずんずん水揚げされる。そして値も安いのでおでんに入れたり、刺身で食べたり、在り来たりだが煮つけて「食べてけろ」。

nejinuki.jpg

ここにもネジヌキバイとネジボラが混ざっている。わかってくれっかな、だっぺ


市場魚貝類図鑑のネジボラへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/japelion/nejibora.html
市場魚貝類図鑑のネジヌキバイへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/japelion/nejinukibai.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

yatusiro0612.jpg

 八王子魚市場の鈴木さん(貝などを扱う)が「これ珍しいよね」とフタを開けるとヤツシロガイがいっぱい。しかも安い。
「デカイね。これはデカイ。1個500(グラム)くらいある」。フタを見ると“大阪 八代”とある。そこに近所の魚屋がのぞき込んで「亜紀ちゃんね。〈雨雨ふれふれ〉よな」。すると別口のオヤジから「〈さかなはあぶったイカでいい〉だこらほい」。ボクはこういったのりが一番嫌いだ。ついでに八代亜紀も嫌い。ついでについでに「八代亜紀」は「やしろあき」であって「やつしろあき」ではない。
 ちょっと脇にそれずぎてしまった。演歌オヤジ達よ退散。

 この大阪産のヤツシロガイには詳しい産地が書かれていない。どうも大阪産とあるものにはこのような例が多い。大阪の荷主さん、早く是正して欲しい。大阪というのも広く、せめて泉佐野なのか湾奥なのかなど明記すべきだ。でも刺し網か底引きで揚がったとしたら岸和田か泉佐野だろう。大阪では何と呼ぶんだろう?
 東京湾富津などでは「ふたなし(フタがないので)」、意味不明に「すがい」とも呼ばれる。身を取りだしてそのまま切ってもほとんど生臭無がなく、また味わいにも欠ける。だから「素貝」だろうか。
 我が家ではきれいにもみ洗いして、適当に切り、辛子を利かせた酢みそであえる。貝自体に味がないので酢みそがいい。これは肴にして日本酒に合うのだ。
 また酢みそ和えという料理はクセのない貝、クセの強い貝にともにいいので市販の酢みそも家庭に常備してもいいのではないだろうか。簡単に作れるものだが、最初は手抜きしてもいい。
 さて場内ではまだ“八代亜紀現象”が続いている。八代亜紀ってヤツシロガイと違って人気があるんだなー。

yatusiro06133.jpg

市場魚貝類図鑑のヤツシロガイへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/bansokurui/yatusirogai/yatusiro.html
●ヤツシロガイの呼び名を教えていただけるとありがたい。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

月別 アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、2006年12月以降に書かれたブログ記事のうち食べる貝・イカタコ学カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは食べる貝・イカタコ学: 2006年10月です。

次のアーカイブは食べる貝・イカタコ学: 2007年1月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。