食べる貝・イカタコ学: 2006年9月アーカイブ

 千葉県外房や伊豆半島から来る「尻高(しったか)」はバテイラというニシキウズガイ科の巻き貝。これが本州をまたいで日本海側に出て「尻高(しりたか)」となると同じくニシキウズガイ科のオオコシダカガンガラなのである。築地など関東の市場ではまったく区別しないでともに「しったか」と呼ぶがまったく種類の違う巻き貝。
 非常に貝殻が高くとんがり帽子を思わせる。これは本来太平洋側にはいないはずが、なぜか三重県にぽつんと同じような形態のバテイラがいるのである。でも確かに外見はとんがり帽子なのだけどオオコシダカガンガラの特徴の裏側に刻まれた筋がない。これを見ていると、どうも波の荒いところにゴツゴツしたとんがり帽子が生まれるのだろうか? これはサザエのツノとともに気に掛かる傾向である。
 話がそれてしまったが、『佐渡の味』(浜口一夫 野島出版)に「シリタカをとりあげ『これがシタダミです。佐渡の言葉で巻き貝をそうよんでいます」という記述がある。平安期の「しただみ」は本来はキサゴ(イボキサゴ?)のことではないかとされていて、塩辛になって都に献上されていた。これが日本でももっとも歴史のある佐渡地方ではオオコシダカガンガラなど磯の巻き貝であるのも面白い。
 さて、この「尻高」は日本海産、太平洋産ともに年々価格が上昇している。しかも一昔前の築地などで「尻高」といえばバテイラだけであって、オオコシダカガンガラも多くはなかったはず。それがニシキウズガイ科のクボガイ、ヘソアキクボガイ、ヒメクボガイ、コシダカガンガラも「尻高」のひとつになり、クマノコガイは冷凍輸入までされている。すなわち磯でとるものがアワビ、これがいなくなるとサザエ、これがいなくなると「磯もの」と呼ばれていたバテイラ、オオコシダカガンガラ。浅海の無謀な開発や汚染のために、いつの間にか市場に入荷する「尻高」はどんどん種を増やしているのだ。
 さてオオコシダカガンガラの味わいはというと、まさに磯の風味を楽しむもので身の旨味や甘味が二の次なのである。とうぜんバテイラもその他大勢の巻き貝も同様。

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佐渡の「尻高」、オオコシダカガンガラ
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三重県尾鷲のバテイラ

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太平洋側の「尻高」、バテイラ
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最近輸入品を見ているクマノコガイ
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大分から来た「みーな(水鳴)」。ヒメクボガイ、コシダカガンガラ、イボニシなど


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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エゾバイ煮方談義

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「源七」のあんちゃん、若だんな、当然社長の千葉県船橋組はまことに貝の扱いに長けている。
 煮る、蒸す、貝殻をむくなど何気なくやっていることが、よくよく見ると真似の出来ないことばかりなのだ。
 そんな店先から甘辛い匂いが漂ってくる。見ると磯つぶ(エゾバイ)の醤油炊きである。一個食べてみると、少々甘めながら身は柔らかくついつい数を食べてしまう味わいである。

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「あんちゃん、うまいな」
 そのうまさに驚いて聞くと
「オレはさ、どちらかというと甘めにたいたのが好きなんだよな。だからこれ、酒・砂糖・しょうゆ」
 そこに横川町「鮨忠」さんが来合わせて
「うちは酒としょうゆだな。だけんど、これもいいな」

「これ少し買ってくよ」
 たまにはお金を払わなくてはいけないな、と思って袋に入れると、
「いいよ、持ってけよ」
 まったくさすがにあんちゃんは優しいのだ。
 ありがとうあんちゃん。
 これを「市場寿司 たか」に持ち込んで握りにしてみた。これも寿司ネタとしてなかなか捨てがたい。また明日も煮てくれないかな?

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 千葉県船橋市を本拠とする八王子魚市場内「源七」には教えられることが多い。その「源七」がこのところ続けて持ってきているのがアカニシである。
 これ船橋では単に「にし」と呼ばれている。各地で「うまい貝」という評価がある割に「売り物」としては「弱い」アカニシのだ。築地や八王子でときどき見かけるが、あまり引き取り手がないのか数日店頭に晒されたままという風情である。
「源七」では、これを茹でて貝殻から取りだして売っているのだが、火の通し加減がいいのか軟らかく、また旨味も充分感じられる。味に嫌みがないので京都の白みそで和えてみた。これが冷や酒の肴にぴったり。

 これはまったくの余談だが、「源七」のあんちゃんにもらったアカニシを切り、酢みそ和えにしていた。そこに娘が来て「夕ご飯はなに」と聞くので「●●と●●と、アカニシの酢みそ和え」と言ったら。「いやーん、じん君を酢みそ和えにしたの」と身もだえながら言うのだ。まったく変なことを言うバカな娘だと思っていて、それでもこれが謎でもあったのだが、調べてみるとタレントに「赤西仁」という若い衆がいるのである。「赤西」というとボクなどは「赤西仁」ではなく伊丹万作の「赤西蠣太」が思い浮かぶ。この主人公の名などたぶん愛媛県松山市生まれの伊丹万作が日常食べていたのがアカニシやカキだったからつけたのではないか? と勝手に思っているのだ。

市場魚貝類図鑑のアカニシへ
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