食べる貝・イカタコ学: 2009年4月アーカイブ

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 上着を羽織っていると、ときどき蒸し暑く感じるときがある。
 市場でTシャツ一枚で歩いていたら、柏餅を見つけた。
 八百屋にニガウリ(ゴーヤー)があって、すぐに買い込む。
 そして魚屋にエゾアワビ。
 これがやたらに安い。
 仲卸の社長に「どうしてこんなに安いの」って聞くと、「不況のせいだろうね。アワビ安くなってるよ。それにコレ韓国産だしね」。
 そうだったのか、ウォン安がこんなところに影響を及ぼしているんだ。

 キロ当たり4500円で、3尾買って1200円と少し。
 1個あたりの重さが80グラムから100グラムほど。
 色合いから養殖ものだとすぐにわかる。
 このアワビ、間違いなく国内の業者の脅威になっているはずだ。
 と思いながらも買ってしまっている自分が情けない。

 さて、生で握りに、持ち帰って「踊り(焼く)」に、そして今期初の「水貝」を作る。
 まずは塩水を作る。
 かなり濃いめの塩水で、とても飲めないほど。
 熱湯で塩を溶かし、そこに昆布を差し込む。
 あとは冷えるのを待つ。
 これが我が家の「水貝」の下地の作り方。
 冷えたら氷を入れて冷やす。
 アワビに塩を振り、ボウルの中で転がし、水で洗う。
 貝殻から外し、ワタはゆで、身(足)は口を外して、適当に来る。
 縁のビロビロはとっても取らなくてもよい。

 これを地に沈めるだけ。
 しょうゆも酢みそも無用。
 ただ下地の塩味とコンブのだしで楽しむ。
 下地もキンキンに冷やし、氷をたっぷり使ったら、まさに夏の味覚となる。

 材料費400円ほどだから、ペット飲料3本分。
 これでこんなに贅沢が出来る。
 
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、エゾアワビへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/kofukusoku/mimigai/ezoawabi.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 三多摩地区に住んでいると、山梨県はまことに、ほんのお隣。
 八王子市街を抜けて、高尾山を縫い、相模湖を見て、神奈川県をかすめて、ほんの数十分で山梨県到着。高速だったらなんと20分もあれば山梨県の看板を見る。
 山梨名物が「煮貝」である。「貝」はアワビのこと。駿河湾であがったアワビを、くさらないように醤油に漬け込んで運んだ、それがとてもうまかったので、甲州名物煮貝となったらしい。
 まあ、山梨に近く住んでいるので、ついつい煮貝を作ってしまうというのは牽強付会だけど、とにかく我が家は「煮貝」が好きですきで困っている。

 今回のものは福岡県だろうから来たトコブシにメガイアワビが混ざっていて、これを2個だけ買ってくる。
 キロ当たり3800円で、支払いは千円でおつりがきた。
 持ち帰り、汚れを落として、鍋に放り込む。
 酒と水半々を加え、塩と濃い口醤油で味つけ。
 鍋に蓋をして、ことことアクを取りながら煮て、また蓋をしてことことたく。
 出来上がったら蓋をしたまま、夕方まで待つのだ。
 こんな簡単な料理はないだろう。

 メガイアワビの身を貝殻から取りだして、適当に切り、また貝殻にもどす。
 煮た汁をかけ回して、見事な煮貝の出来上がりだ。

 これはあくまでもボクの酒の肴なのだけど、老若男女嫌いという人はまずいないだろう。
 だから食卓に出すのはあらかた食事の終わったとき。

 口に放り込むと、この軟らかなアワビの身からジワリと甘みがくるのだけど、その甘みが微かな渋み(旨味)と合わさって舌に口腔に引っかかる。
 アワビのうまいのがぱーっと広がって、また食感がいいので、ながながそれが噛むことで続く。

 これぞ天からさずかった美味。
 世の荒波をひととき忘れてしまうのだ。
 
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、メガイアワビへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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 最近、市場が寂しい。
 それでも盛んに入荷してくるのがホンビノスガイだ。
 安いし、見た目が立派なので、みんなが覗いていく。
 種名を聞いて、「ホンビノス」というと、なぜか買っていこうとしない。
 ようするに知らないから買わない典型的なもの。
 だいたい国内にもともといる貝ではなく、アメリカ東岸大西洋に面した地域に生息するもの。
 船のバラスト水などに幼生(プランクトン期の)が紛れ込んで東京湾に定着した。
 増えているのだから、もっと知名度が上がって、人気が出ると漁師さんも喜ぶだろうに。
 後の課題はどう食べるかだ。

 同じようにオオミゾガイだって、知名度がない。
 ホッキガイ(ウバガイ)に混ざってとれるもので、市場でも知る人は少ない。
 こっちは食べてみると、明らかにうまいのだから、そのうちなんとかなるだろう。

 ともに剥いて、開いて、軽く湯引き。
 ウルイとともに盛り合わせて、二杯酢(酢としょうゆ)をかけ回しておく。
 貝は生醤油にワサビ、ウルイはこのままで食べる。

 忙しい最中の夕食なので、簡単にやる。
 こんなざっかけないつまみが意外にうまい。
 なんといってもオオミゾガイのうまいこと。
 適度に甘く、食感もよく。
 残念なのはホンビノスガイ。
 旨味に欠ける。
 これは韓国酢みそで食べてうまかった。

 春の宵、酒は多摩自慢無加糖。
 ちょっと金欠の日々なのである。

2008年3月28日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、オオミゾガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/sonotamarusudare/oomizogai.html
ホンビノスガイ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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