ヤリイカが盛期を向かえている。それこそ連日ヤリイカのない日はない。
大きいほど高いヤリイカであるが、別に大きいからいい、ということはない。しかも小さいヤリイカにはお宝が詰まっているのだ。それが卵だ。
ヤリイカが含まれるヤリイカ科の特徴は、オスが大きいこと。だから小振りのものはメスであることがほとんどだ。そして産卵期を控えて、ほとんどの胴のなかに卵が張り付いている。
このヤリイカの卵が、この時期の風物詩とも言える味覚。冬から春にかけて市場に出回るときに、どちらかというと春を感じる味かもしれない。
小振りのを刺身にする。これはさすがに高級イカらしく甘味があり、しかも透明感のある程良い硬さの一切れは絶品としかいいようがない。
ここで卸したときの刺身の切れっ端とか、耳とかゲソとか真子とかを取り分けて置いて、翌朝煮つけにする。まあ別に刺身とともに夜に煮つけを出せばいいのだけど、朝の炊きたてのご飯に、ヤリイカの真子入りの煮つけが素晴らしいおかずとなるのだ。
このコックリした甘さをどう表現していいか、まことにこまる。確かに甘味の一種ではあるのだけど、旨味「濃く」とでもいうのだろうか、口の中で殷々と広がる。ボクはこの真子をのせたご飯が大好きである。
困ったことには、原則的には刺身に造った副産物なので、量は少なく、わずかばかり。子供達と分けっこしながら、ご飯にのせて、後は一気にかきこむというせわしないことになる。
さて、毎年ヤリイカは晩春までは楽しめている。今年もたっぷりヤリイカを食ってやるのだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヤリイカへ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/tutuika/yariika.html
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