関東の市場に、必ず、毎日ある二枚貝は何種類だろう。
アサリ、シジミ、シナハマグリにほっきがい(ウバガイ)、ホタテガイ。
それと目立たないけどムラサキイガイ。
9月19日に実際に見たら、八王子の仲卸全店共通して置かれてあったのは6種類だった。
そのムラサキイガイを来る日も来る日も食べている。
最近、ムラサキイガイに付着するフジツボに興味があって、面白いフジツボを見つけると、ついでにムラサキイガイも買い求めてくるのだ。
ムラサキイガイにつくものはアメリカフジツボ、アカフジツボと撮影した後は、当然食べることになる。
改めて思ったことだけど、ムラサキイガイはまことに美味だ。
一週間くらい毎日のように食べても飽きが来ない。
また食べたくなる。
目的のフジツボのことは、どうでもよくなって、ムラサキイガイにのめり込んでしまう。
さて、食べるだんになると、標準和名のムラサキイガイでは「うまそうに」思えない。
やはり、ここではムールガイと呼び名を変えよう。
ちなみに「Moul」だけでいいので「かい」は不要だ。
けれども、「ムール」だけでは「ルーム」の間違いであるように思えるし、その上「貝」でない気がする。
ということで「ムールガイ」と書いているので悪しからず。
よく外食でムールガイが出る。
例えば、パエリアだとか、オードブルにだとか。
そこには1個か2個のムールガイがあるだけで、いったい何の意味があるんじゃい、とボクなど憤りを感じる。
この黒っぽくて、目立たない貝は例えば女性が「私脱ぐとすごいのよ(こんなこと言われたことがない)」的な感じで「ワイン蒸しにすると、すごいのだ」。
そしてやたらに食える、食らえる、切りがない。
だから我が家では、一人前で両手の平いっぱいを目安にする。
鍋に白ワイン、少量の水を加えて、洗ったムールガイをよいこらしょと放り込む。
後は強火で蒸し上げる。
調味料はなにひとつ必要としない。
あえて加えるなら、白コショウとか香り漬けにパセリか。
ムールガイを食べるときは必ず野蛮に手で食べるべきなのだ。
二枚貝から身を取り出すと軟体から黒い髭のようなものが出ている。
これを親指と人差し指でつまんで歯で身をしごき取るように食べる。
レストランなどでは予め、この毛を取り去っている。
その作業する時間がムールガイをまずくしてしまう。
しかもお毛毛を取り去ると、無駄にジュ(エキス)がこぼれる。
「レストランでムールガイを食べるな」も鉄則だろう。
昔、大正期に国内に現れたムラサキイガイを食べた人が、「なんだか味付けしたような貝だな」と言い。
戦後でも「味の素をいれたような味だ」なんてくどくて嫌がられたようだ。
その濃厚な味わいがなんとも言えずいい。
しかも、ボクにはこの旨味がくどいなんて全然思えない。
軟らかくて、ほどよく舌の上でつぶれる軟体はまるでムースのように感じられる。
白ワインで蒸して、白ワインを飲むのが基本形で、なにやらムールガイを食卓にのせると、レストラン気分になる。
もちろん、脇で太郎なんかが「イチ、ニ、サン」なんてお笑い芸人の真似をしているのが気にくわないけどね。
今回料理にも使い、食卓で飲んだのが、モーゼルワイン。
モーゼルにも比較的辛口があるのだな、なんて今回はオマケ的な発見までしたのだ。
その辛口でうまいワインの銘柄だけど読めませーーん。
市場魚貝類図鑑のムラサキイガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/igai/murasakiigai.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/