噴火湾を臨む八雲町から、ぶつ切りにしたニジカジカが入荷してきた。
ちょっと見た目は悪いけど、黄色みを帯びた卵巣が混ざり、カジカのみそ汁の美味を知っているので、惹かれるところ大である。
ニジカジカというのは東北北海道ではもっとも多産する海産カジカで、刺身にしても煮ても、焼いても平凡だ。
が、唯一、みそ汁にすると大変身する。
恐るべき美味となる。
うまいなんてものではない。
「鍋壊し」というのはトゲカジカの別名だが、ニジカジカだって鍋が壊れるくらいにうまい。
1パック350円を買って帰り、さっそく湯引き。
玉ネギやニンジン、ジャガイモの常備野菜とみそ汁に仕立てる。
このみそ汁がおかずとなって、お父さんの寂しい昼ご飯なのである。
卵巣がほろほろと甘く、しまった身の味わいもよし。
レンジで温めたご飯と、みそ汁にはほんの少量、下ろしニンニクを落としてある。
見た目は地味だが、味は豪華絢爛。
空前絶後のうまさとは、このことなのだ。
そして週末を迎えて、腐らないように二度、三度煮返した、みそ汁を酒の肴に。
これがまたうまい。
1984年の春、函館で何気なく入った大衆食堂。
みそ汁とご飯と、とんかつという定食の、汁の実がカジカだった。
種は断定できなかったけれど、何度も何度も煮返して、見た目無残な、このどろどろしたみそ汁がうまかったのだ。
以来、私、カジカのみそ汁の身方となったのであった。
さて、この便利なぶつ切りのパック。
正式には何というのだろう。
昨日今日作られるようになったものではなく、北海道では定番的な加工品であるはず。
明日にでもト印水産(読み方がわからない)にでも聞いてみよう。
ト印水産 北海道二海郡 八雲町落部 535−3
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ニジカジカへ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/