食べる魚類学: 2010年4月アーカイブ

kajikajiru11111.jpg

噴火湾を臨む八雲町から、ぶつ切りにしたニジカジカが入荷してきた。
ちょっと見た目は悪いけど、黄色みを帯びた卵巣が混ざり、カジカのみそ汁の美味を知っているので、惹かれるところ大である。
ニジカジカというのは東北北海道ではもっとも多産する海産カジカで、刺身にしても煮ても、焼いても平凡だ。
が、唯一、みそ汁にすると大変身する。
恐るべき美味となる。
うまいなんてものではない。
「鍋壊し」というのはトゲカジカの別名だが、ニジカジカだって鍋が壊れるくらいにうまい。

1パック350円を買って帰り、さっそく湯引き。
玉ネギやニンジン、ジャガイモの常備野菜とみそ汁に仕立てる。
このみそ汁がおかずとなって、お父さんの寂しい昼ご飯なのである。
卵巣がほろほろと甘く、しまった身の味わいもよし。
レンジで温めたご飯と、みそ汁にはほんの少量、下ろしニンニクを落としてある。
見た目は地味だが、味は豪華絢爛。
空前絶後のうまさとは、このことなのだ。

そして週末を迎えて、腐らないように二度、三度煮返した、みそ汁を酒の肴に。
これがまたうまい。

kajikajiru2222.jpg

1984年の春、函館で何気なく入った大衆食堂。
みそ汁とご飯と、とんかつという定食の、汁の実がカジカだった。
種は断定できなかったけれど、何度も何度も煮返して、見た目無残な、このどろどろしたみそ汁がうまかったのだ。
以来、私、カジカのみそ汁の身方となったのであった。

さて、この便利なぶつ切りのパック。
正式には何というのだろう。

kajikajiru3333.jpg

昨日今日作られるようになったものではなく、北海道では定番的な加工品であるはず。
明日にでもト印水産(読み方がわからない)にでも聞いてみよう。

ト印水産 北海道二海郡 八雲町落部 535−3
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ニジカジカへ

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
hagatuouihta.jpg

魚類学でマグロ族といわれるのがカツオ、ハガツオ、マルソウダガツオ、ヒラソウダガツオ、スマ、ハガツオ、クロマグロ、キハダマグロ、メバチマグロなど。
この幼魚というか、ときに稚魚のようなものがうまいのである。
高知県の漁師、永野さんなどからは、「そーりゃ、当然と違いますか」なんて笑われそうだが、関東で暮らしていると、かなり通でないと、こんなことはわからない。
だから市場に来ないわけだ。
残念至極である。

そんなハガツオの子が珍しくやってきた。
荷主(産地業者)は面白い魚を出荷してくる和歌山県串本の出口水産である。

さてどうやって食べたらいいのか。
これがとても簡単、三枚に下ろして皮目をあぶるだけ。
これを切るために、「焼き切り」と呼んでいる。
小さいのに皮下に脂があり、なかなかうまいのだ。
青柚とか、ライム、スダチなど柑橘類と粗塩で食べる。
しょうゆもいい。
柚胡椒もいい。

合わせる酒は、香りのあるものがよく、静岡県の「志太泉」。
皮目の旨み、脂のわりに軽い味わいのハガツオにスダチの酸味。
山が笑っている。
これぞ春たけなわを感じる肴ではないかな。
ハガツオなどマグロ族の、新子の旬はこれからだ。

作り方
1 三枚に下ろす。血合い骨を取る。
2 皮目をガスの直火であぶる。冷水に取り、水分を拭き取っておく。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハガツオへ


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

月別 アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、2010年4月以降に書かれたブログ記事のうち食べる魚類学カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは食べる魚類学: 2010年3月です。

次のアーカイブは食べる魚類学: 2010年6月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。