食べる魚類学: 2012年10月アーカイブ

腹太はうまいなー!

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毎年秋になると思うことだが、腹太スズキを買うのには勇気がいる。

なにしろ5キロも6キロもある。

でも成熟して落ち(深場に産卵に行く)の状態にいるスズキの画像も必須だし、

だいたいじっくり味を確かめていない。

内房などを旅すると落ちのうまさはよく話に聞くけど、

話だけではなんの意味もない。

ということで小田原の定置に入った

5.5キロのの腹太を買い、料理、料理なのである。


結論から言うと、腹太には腹太の味わいがあり、

「かなり美味」だ、という結論に至る。

特にうまいのが焼き物である。

大ぶりに切り、塩焼きに幽庵焼きにと食べて、

あまりのうまさに、酒を飲むのすら忘れた。


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幽庵焼きは振り塩をして一度さっと水洗い、

水分をよく拭き取り、醤油1、みりん1、酒1を合わせた地につけ込むだけ。

約1日寝かせて、じんわり焼き上げる。

箸を差し込むと皮目がぱりっと、中がしっとり、うっとりするうまさなのであった。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スズキへ


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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魚は皮つきの方がうまい。

当然、フグだってそうだけど、多くのフグの皮に強い毒がある。

そこで登場したのがもっともたくさん水揚げされるフグであるサバフグ。

相模湾などでもお馴染みのシロサバフグだ。

こいつは皮は無毒。


皮ごと背開きにして振り塩、数時間置き、1日半干し上げる。

これを平凡な家庭用のガスコンロの間にある魚焼きで焼く。

ふっくらとふくらんで芳醇な干ものとなった。

皮も腹の部分は柔らかくうまいのだ。


シロサバフグは皮付きで干そうなんて提案したいね。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、シロサバフグへ


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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肌寒さを覚えて、一枚羽織って市場を回っていたら、

『天佑丸』さんの「ぶわたら」が入荷していた。

震災をまともに受けられて、おおいに打撃を受けただろうけど、

ボクとしてはただただ心配するしかなかった。

こうして震災前と同じ箱を使っての入荷を見ると安心する。

がんばってくださいね。

緒方清雄さん。


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さて「ぶわたら」は三枚に下ろしたマダラに塩分を浸透させた、

要するにマダラの塩蔵品。

生よりも煮崩れしにくく、

鍋などにしたとき塩味がちょうど汁に溶け込んで、

これがいいあんばいになる。

当然、持ちもいいので家庭に買い置いても便利な物。


肌寒いので、とにもかくにも買い求め、

仕事が終わった深夜に小鍋仕立ての湯豆腐を作る。

実は湯豆腐に「ぶわたら」を入れるのは、

東京ならではなのではないか、と思っている。

もしくは産地である東北でのやり方か。


さて豆腐がことこと煮えてきて、

日本酒のアテに小鍋仕立てがまことによろしいな。

窓の外、コオロギの声がして、秋深まる頃の熱燗うまし、なのだ。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マダラへ


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忙しいので、サン茶

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五十路を越えると年々歳々忙しくなるのだな。

日々息切れ状態だ。

そんなとき近所のスーパーで

サンマの刺身用冷凍フィレを見つけた。

1パック1尾分で100円しかしない。

連休最後の日の朝、これを適当に切り、醤油、

みりん少々、ショウガの絞り汁、ごまを合わせて漬け込む。


遅い晩ご飯に暖めた麦飯にのせて、熱湯をそそいですすりこむ。

ブッシュミルズを1杯やる前に、こんなおしのぎがいいのだ。

唯一の問題点はうますぎて1碗では足りないところくらい、だろうね。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サンマへ


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沖縄に旅をして魚料理に関する考え方ががらりと変わった。

日本人の常なのか、刺身第一に思ってしまっていたのが、

その上に汁が浮き上がってきたのだ。

沖縄で魚汁(みそ汁)をお願いする。

普通、主菜、ご飯にくっついているのが汁のはずが、

沖縄では実は汁こそが主菜なのである。

ようするにとんかつ定食のとんかつ、であり、

ニラレバ炒め定食のニラとレバーの炒め物にあたる。


さて秋もたけなわとなり、サンマがうまい。

塩焼きに刺身に、酒のあてのなめろうを作って、

締めのご飯の友にみそ汁を作る。

仕事のある日の夕方、スーパーで

30パーセント引きのサンマの刺身などを見つけたら、

即買いしてつましいケの夕食の主菜に作るのもみそ汁だ。


作り方は書くまでもない。

お刺身なら鍋に水と一緒に放り込み、

煮立ってきたらアクをすくう。

そこに私的おすすめがタマネギで真横の方向

5ミリ幅ほどに切り、煮えたら、

みそを溶き入れて出来上がりなのだ。


汁というのは、料理の脇に勝手についてくるもの、

という関東での位置づけは

大間違いのコンコンチキなわけで、主役と言うよりも

酒の肴としても、ご飯のおかずとしても王様なのだ。

というのが一口するるだけでわかるはず。

切り身のトロリンコとして舌触りと、

タマネギの甘さ。

これをご飯にかけてもうまいんだよな。


好みの問題だが、薬味は山椒に限る、などと思っております。

お後がよろしいようでテンテンマル(......。)


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サンマへ


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