食べる魚類学: 2012年9月アーカイブ

カマス飯は簡単飯

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近所にあるスーパー『三徳』に牧屋さんの

水カマス(ヤマトカマス)の開き干しがあった。

本カマス(アカカマス)の開き干しには季節を感じないが、

水カマスには秋を感じるのでついつい手にとってしまう。


これで「カマス飯」を作る。

初めて食べたのはたぶん、35年以上前。

江戸川区南小岩のアパートのそばにあった定食屋。

病み上がり(今で言う熱中症)でなにも食べられないときに

目の前でやり方を教わったのだ。

そのときは焼いたカマスの干物とネギだけだった。

干物をほぐして、ネギとご飯に混ぜるだけ。

これに熱いお茶をかけてもいい。


今回はミョウガ、ショウガの千切り、青じそが冷蔵庫にあったので合わせる。

カマスを焼き、冷ます。

これを手で細かくむしり、

ミョウガとショウガを水でさらして絞ったものを

合わせてご飯にざっくり混ぜる。

茶碗によそいで上に青じそを散らし、いりごまをふる。


徳島県人なのでスダチをたっぷり用意して、

しぼりかけながら食べる。

これを、お茶漬けにしたいので、もういっぱい。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヤマトカマスへ


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アオソイの芝煮

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9月なのに暑い日が続くが、このところ自宅にこもりっきりで、

たくさんのハードディスク、パソコンに囲まれているので、

常にエアコンが稼働している。

部屋は快適で涼しいのだけど、いつの間にか体が冷え冷え状態になる。


そんな冷え冷え状態には秋らしい酒の肴を作りたい。

そして頭に浮かぶのが芝煮である。

古くは芝浜(東京都内芝浦あたり)は漁師の水揚げ場であり、競りが行われ、活気のあるところだった。

まさに落語「芝浜」の舞台そのままだったのだろうねー。

新鮮な魚が豊富にあるところだから、魚そのものの持ち味を生かして薄味で煮て食べる。

それで薄味で煮たものをいつの間にか江戸の町で芝煮というようになった。


さて、芝煮を作るために冷蔵庫をのぞくと、見つかったのが

白舞茸に大根にクロメヌケ。

「クロメヌケ」は標準和名だけど、ここでは北海道でもっとも頻繁に使われる「アオソイ」でいこう。


昆布だしを取り、煮立てて、湯引きしたアオソイの身を放り込む。

当然中骨つき。

酒を加えて少々ことこと。

塩気抜きでことことやるのは汁も主役だからだ。

舞茸を加え、下ゆでした大根を加えて、薄口醤油と塩で味つけ。

またことこと煮る。

青みがまったくないのが寂しいが、青ゆずを見つけて、

これを絞り込みながら汁と具を同時に食す。


秋の夜は、このような酒の肴がよいのだよ。

なんて午前9時を過ぎても外から吹き込むのはぬるい風なのである。

しかもアオマツムシの声喧し。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑 クロメヌケへ


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9月の終わりになると、市場にサケの白子が目立つようになってきている。

生筋子がキロあたり最低でも4~5千円するのに対して、白子は十分の一くらい。

マダイの場合だと真子よりも白子が高い。

トラフグ、マダラなど白子が本体よりも主役ということもある。

なぜにサケ白子ってこんなに安いのだろうな。


この安いサケ白子は生で食べられない。

ゆでるとポクポクしてまことに味気ない。

我が家の定番は揚げ出しなのだけど、こればっかしじゃつぶしがきかない。

そんな市場でのサケ白子談義に、相模原の『味弥沢』さんが、

「白子はね、みそ漬けがいいんですよ」


素直なのが取り柄なので、作ってみた。

作り方は簡単、みその塩分濃度によって比率は変わるが、

今回はみそ1、酒1、みりん2分の1を合わた。

そして風味付けに一味唐辛子と山椒。

後は振り塩して水洗いしたサケ白子を漬けるだけ。

これを弱火でじっくり焼いて食べてみる。

1時間後、翌日、翌々日、5日目と初めてなので、みその漬け具合を見ていく。

翌々日までは平凡。

まだぽくぽくみそと白子が融和していない。

これが3日目に大変身。

白子がねっとりしてきたのだ。

そして5日目、完全に中心部はねっとり、焼き目のついた卵膜が香ばしい。

チーズと豆腐を合わせたような食感と味に、魚類の白子ならではのうまみがある。

これ、ただ出されたら、「なんだろう、この麗しき味の正体は?」。

考え込んでしまって、結局わからないに違いない。



味弥沢 相模原市緑区久保沢1の9の18



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