食べる魚類学: 2009年3月アーカイブ

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「千葉のカツオだよ、安いよ」
 総市のサブちゃんが古くさいこと言って客寄せしている。
 あまり売れないらしく、ボクをつかまえて「1本(4分の1)もってってくれよ」なんて言うので、素直に600円で買う。

 たぶん勝浦あたりであがったものだろう。
 まだ脂はのっていない。
 代わりに鮮度はいいのが取り得といったところだ。

 これを素直にたたきにする。
 まず味醂のアルコールをとばす(煮きる)。
 ここに昨年の柚、醤油を加えて加減する。
 カツオは皮付きのまま直火であぶり、氷水で一瞬あら熱をとり、平作りに。
 薬味は万能ネギ、そこにすり下ろしたショウガとニンニクをそえる。

 秋のカツオのように脂もないし、濃厚な旨味にもかける。
 そのかわり爽やかな酸味に、シコっとした食感。
 カツオの若々しい味わいに、桜はまだ三分咲き。
 春なのに、底冷えした夕べで酒はぬる燗にする。

2008年3月28日
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 静岡県沼津の底引きには様々な珍魚がはいる。
 また底引きならではの食用魚も多く、そのなかに「ノドクロ(チゴダラ)」がある。
 チゴダラはタラの仲間(タラ目)で、北にいくと、そっくりな「ドンコ(エゾイソアイナメ)」がいる。
 見た目はナマズに似ており、赤褐色でついている鰭がやけに小さい。
 身体は肥満していて、ぶよぶよしているのも特徴だろう。
 なかなか味のいい魚で、知る人ぞ知る。
 好きになったら、とことん、というそんな魚なのである。

 その「ノドクロ(チゴダラ)」の脇に選別されて、てんてんと捨てられているのがナガチゴダラである。
 明らかに「ノドクロ」よりも色が淡い。
 体つきがほっそりしてる。
 もっとも特徴的なのが醜悪な顔つきである。
 よく見ると妖怪を思わせるような不気味な雰囲気を漂わせている。

 捨てているのだから、まずいのだろうと、思っていたら、これが意外というか、思いがけずうまいのだ。
 なにより、身に脂がのっている(底曳網のシーズンには)、肝が美味。

 料理法は持ち帰ったら、まず開く、肝を取り置いて、軽く振り塩。
 開いたところに肝をもどしてもう一度、身を閉じる。
 一日置いて、ジワジワ焼くのだ。
 ビックリしたのはジュウジュウと身から脂がにじみ出てくる。
 まるで表面は唐揚げ状態ではないか。

 焼き上がったのが、またものすごくいい香り。
 身をほぐしながら、肝と和えながら食べるのだけど、これは絶品としかいいようがない。
 ナガチゴダラがいつもいつもうまいわけじゃないけど、3月24日に食べた肝入りの焼き物は素晴らしいの一語。
 仕事の立て込んでいたときで酒抜きだったのが返す返すも残念。
 人生って、うまくいかないものですなー。

2009年3月22日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ナガチゴダラへ
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 カレイ類の干物はまことにうまい。
 ただしなんだか高級な感じがする。
 でも、その高級な、というのはヤナギムシガレイ(笹がれい)なんかを思い浮かべるからだろう。
 例えば、今回のソウハチガレイには、むしろ庶民的な感じを受ける。

 さて島根県はカレイの干物で有名である。
 築地場内で見事なカレイの干物を見つけると、これがほとんど島根産なのである。
 島根県で作られるカレイの干物、その原材料は多様だ。
 思いつくままあげると、ヤナギムシガレイを筆頭に、ムシガレイ、マガレイ、ヒレグロ、そして「エテガレイ(ソウハチガレイ)」。
 酒飲みのボクが、いちばん好きなのが「エテガレイ」なのだけど、それには理由がある。
 それは独特の脂からくる風味と渋みがあって、これが好きな向きにはたまらない。
 決して万人向きの味ではないのだけど、好きとなったら、とことん好きになってしまう。
 まるで麻薬に中毒したかのごとくだ。

 春とはいえ彼岸前の日本橋界隈。
 吹きすさぶ風が強い。
 なんとなく立ち寄った、「日本橋 しまね館」でついつい買ってしまったのが『岡富商店』の「エテガレイ」。
 一仕事終えて、帰宅したら午後10時を回ってしまっている。
 寝酒に2合ほどの酒、その肴に「エテガレイ」を焼く。
 この焼きたてが堪らなくうまい。
 淡麗な酒で流しながら、微かに渋みを感じなら、それ以上に旨味の強い「エテガレイ」の白身をむしる。
 お父さん一人っきりの酒の友には、山陰島根の「エテガレイ」の干物がまさに打ってつけなのである。

岡富商店
http://www.ohdacci.com/kigyou/okatomi/index.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ソウハチガレイへ
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 疲れていると、酢をとりたくなる。
 そろそろマイワシも不安定になってくるので、「塩いり」でも作りますか。
 「塩いり」は石川県金沢周辺の郷土料理。
 食べるときひたひたに酢をかけ回し、大根おろしと生醤油で食べる。

 今回の材料は15、16センチほどのマイワシ。
 産地不明ながら鮮度は抜群、まだまだ脂ものっていそうだ。
 買い求めた仲買で頭を落としてきれいに掃除する。
 水分をよくよく切って持ち帰る。

 夕食時に我が家ではテフロンフライパンに強い塩水を張り、マイワシを入れてゆでる。
 火が通ったらゆで汁を捨てて、水分を飛ばすように煎る。
 これを皿に盛り大根おろしをたっぷり添えて食卓に出しておく。

 食べる段になるや、酢をたっぷりかける。
 マイワシがやや大きめなのでほぐしながら、大根おろしと生醤油にからめながら食らう。
 なんとも爽やかで、しかもマイワシの旨味が余すところなく堪能できる料理であることか?
 月に何度作っても何度も何度も感動新たなうまさだ。

 ついでに酒がすすむ、すすむ。
 今回は加賀の「萬歳楽 剣」。
 石川の酒にしては辛口で飲みやすい。
 アンニュイな日は「塩いり」で気分をキリリと締め付ける、という意味合いでもある。
 ただそれにしては飲み過ぎか?
 
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マイワシへ
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萬歳楽
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 毛虫はないだろう、可愛そうだと、この魚を見るたびに思うのだ。
 むしろ獅子ガシラとかイグアナに似ていないだろうか?
 そうだ死んでしまった俳優の関敬六にも似ている。
 ようするに毛虫ほどに嫌われているわけじゃなく愛嬌のある魚だといいたいのだ、ケムシカジカは!

 ケムシカジカは三陸福島などの刺し網でわんさかあがる。
 北海道では「トウベツカジカ」というのだけど当別とは津軽海峡に面した町の名前。
 ここでたっぷりとれたから「当別」というらしい。
 でも北海道ではどこでも揚がる。
 どの港でも揚がるのだけど、そんなに好かれている魚だとは思えないのだ。

 普通、顔は悪いが味がいい、なんて言うではないか。
 残念ながらケムシカジカには当てはまらない。
 確かに寒い冬に肝共々にみそ汁にぶち込んだら、なかなかうまいとは思う。
 でもケムシカジカでなければならないのか?
 例えばニジカジカ、いいじゃない!
 トゲカジカ(ナベコワシ)、いいじゃない!
 マダラ、もっともっといいじゃない!
 なんてことになる。
 安いのが取り得だから、これぐらいの評価でいいのだ。

 この醜い魚が活魚で入荷してきた。
 綿くずのように水槽に沈んでいる。
 手網ですくうと、ほとんど抵抗しない。
 長旅に疲れたのかもしれない。
 「ごめんね、ごめんね」といいながら成仏してもらい。
 血抜き、神経を抜いて持ち帰る。

 これを刺身にするのだけど、脇に湯がいた肝と胃袋を添えることだけはお忘れなく。
 ケムシカジカの身は繊維に欠けるためか、そんなにきれいに薄造りにならない。
 もしきれいなものを作るとしたらちゃんとして腕を必要とする。
 残念ながらボクにはそんな腕前はないのだ。
 すぐに白濁して軟らかくなってしまう水分の多い身が、さすがに活魚なので透明感を残している。
 口に入れるとちゃんとシコっとした歯触りがするのだ。
 旨味はどうか、というとややもの足りない。
 カサゴ目の旨味はしめてすぐに最高点に達するものもあるという。
 ケムシカジカの味の頂点はどこにあるのか?
 結局活魚でもわからず仕舞いとなりそうだ。

 ただ活魚でならケムシカジカの刺身もいける、これは間違いないのだ。
 
2009年2月28日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ケムシカジカへ
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 北海道東部根室からクロメヌケの入荷が続いている。
 珍しいことではないか?
 これほどまとまって入荷してくるのを見たのは初めてだ。
 まことに薄汚い魚で、見た目が悪い。
 だから買い手がつかないのだろうか、値段は格安だ。

 でも焼いたら、色の問題は総て解決されるというのが今回の本題。
 クロメヌケはカサゴ目フサカサゴ科メバル亜属メバル属。
 メバル、メヌケ類と同じ仲間なのだ。
 色を見なければウスメバル(沖メバル)そっくりでもある。

 ボクの大好きなクロメヌケ料理は単に塩焼きにすること。
 ソテー、フライ、煮つけなんかにも向いている。
 「刺身はどうか」というと、関東にきたものでは少々無理だと思われる。
 もしもどうしても食べてみたいなら、北海道から航空便にて取り寄せるしかない。

 今回のクロメヌケは500グラム以上。
 これだと丸で焼くのは無理だから二枚に下ろす。
 振り塩して1時間ほどおき、日本酒を塗りながら焼く。

 焼きたての香りのよさは筆舌に尽くしがたい。
 香ばしい。
 身は適度に繊維質、手でむしり取りながら、ささくれだったのを皮付きのままかぶりつく。
 甘みが最初にくるのだけど、これは錯覚であり、旨味なんだろう。
 渋いでも辛いでもなく、濃厚な旨さが舌に感じられる。
 ちょっとしっとりしているのは脂があった証拠だ。

 これくらいうまいと、酒を忘れてしまう。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、クロメヌケへ
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