スルメイカは旨い上に安い、それに用途が広いと三拍子揃った優れた海産魚貝類である。そのスルメイカが鮮魚として流通するときにふたつの方法がある。ひとつはで下に氷を敷き詰めて、その上にスルメイカを並べたもので市場では「下氷」と呼ぶ。これはやや大型船の上でスルメイカを釣り上げたら、一度氷水でしめ、それから氷の上に並べたもの。もうひとつは、小型船舶によって沿岸で釣り上げたスルメイカを氷海水に生きているまま放り込み、しめ、出来るだけ早く消費地に出荷したもの。市場に到着したときにも氷水の入った海水に入っており、到着したものを触ると吸盤が吸い付いてくる。当然生きているわけではないが、「活魚」のように新鮮という意味合いで「活けスルメイカ」と呼ぶ。
「活けスルメイカ」の産地は千葉県、静岡県、三重県など比較的関東に近い地域。その鮮度と身の活かり具合から「下氷」よりも高値となっている。
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八王子総合卸売センター『総市』に活けスルが格安で売られていた。どうやらこの日、下氷のスルメイカも「活けスル」も市場が飽和状態となるほど入荷量が多かった模様。これが見事なスルメで買わずに通り過ぎるのは無理!
ボクはこの生きのいいスルメイカをときどき買ってきて、慌ただしい日のお昼ご飯のおかずにする。活けスルメの値段はキロ当たり800円から1200円くらい。1ぱい400グラムから500グラムあるのでお昼ご飯のおかずにに400円から500円の出費。でも後はご飯だけで済むのだから簡単で、外食することから比べて安い昼飯となる。
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活けスルメはゲソと耳、ワタを取り去る。今回は八王子総合卸売センター『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんがワタの醤油漬けを造ってくれた。ゲソと耳、刺身用に切り落としたところは別に冷凍保存する。ということで活けスルメイカに捨てるところはまったくない。
胴の部分は丁寧に皮を剥いて、薄く厚みを半分に切る。これを素麺状に切ると、これが「いか素麺」の出来上がりである。薬味はネギとショウガ、タレは安直に島根の「隠岐の味覚 飛魚だし(あごだし)」を使った。
ご飯のおかずには甘味が欲しいので、この「飛魚だし」がまさに、良い加減のものだった。「いか素麺」のタレは醤油、多めの味醂、酒、それとカツオ昆布だしの旨出汁八方なのである。このやや水分の多いタレをかけてそれこそ素麺のようにすするのだ。その八方出汁を作れない時間のないときには「隠岐の味覚 飛魚だし(あごだし)」はとても便利である。
さて、忙しい日のお昼ご飯、丼の「いか素麺」にタレをぶっかけて、かき回して、ご飯に盛り上がるようにのせる。イカの旨味はアデニール酸、そこにグリセリン、グルタミン酸などが加わって甘味を追加。当然、ご飯の糖質と出合うとドエリャーうまいわけで、ご飯1杯で止められるはずもない。まあ五十路だから2杯で我慢する。これならお昼にカツ丼を食べることを鑑みると抜群のダイエット食だと言える。よく考えると3杯飯を食べてもダイエットにはなるだろう。メタボリックオヤジのお昼ご飯は「いか素麺」に限るということだ。
井ゲタ醤油
http://www.izumo-igeta.co.jp/
海士物産
http://www.tokusen.info/suisan/0017/index.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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