食べる魚類学: 2010年3月アーカイブ

スズキの煮なます

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山口県宇部市『魚かつ』さんにスズキを送っていただいた。
すばらしいとしかいいようのないもので、下ろしているとぐいぐいと魚が包丁をこばむような、いやいやするような。
ようするにまだ筋肉が生きているものだった。
土曜日の朝の競りで、夕方我が家に着く航空便で送られてくる。
宇部のスズキは素晴らしい。

洗い、刺身ともにずばぬけて美味。
名状しがたく、うまい、なんて言語が消え去ってしまう。
そしてもっとうまいものがあって、それが内臓であって、これを島根県東部中海、宍道湖周辺で作られている「煮なます」にする。

種子島で手作りされている、独特の大根けん突きが久しぶりに大活躍。
大根、ネギ、スズキの内臓で甘酸っぱく煮上げたなますの味わいに、なんと洗い、刺身以上に驚嘆す。
愕然とす、なのである。
山口県のスズキ、島根県の食の知恵に我ながら改めて頭をたれる。

而して、スズキのはらわたはうまい。
微かに苦みがあるのがなんとも言えず。
胃袋、腸のほどよく柔らかく、脂がふわふわのっており、それはまた地味豊かでいい。
飲んではいけない、日本酒をついつい飲んでしまうくらいにうまかった。
それでまた強烈しごくな肩こりに悩まされつつ。あまりのうまさにキーボードを打つ。

スズキの煮なますの作り方
1 内臓は食べたエサや、胆嚢、血液などを取り去り、熱湯をかけて臭みを取る。大根はけん突きでつく。


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鹿児島県種子島で作られている独特の大根けん突き。表面がざらざらしたけんが作れる

2 鍋に大根、酒、砂糖、はらわたを入れて、火をつける。
3 ほどよく味がなじんだら、しょうゆ、ネギを加えて火をとめてできあがり。


山口県宇部市『魚かつ』
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スズキへ






ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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八王子総合卸売組合『やまぎし』にクラカケトラギスが並んでいた。
魚の少ない時期なのでうれしい。
三河湾産だという。
まな板を借りて下ろしていたら、ヨシさんが「背開きにした方がいいだろう」。
「天ぷらにするんだ」というと、さっさと下ろしてくれる。

持ち帰って、お昼ご飯にさっさと天ぷらに。
近所の農家で作っている芹をつけ合わせて、なんだかお昼なのに豪華だ。

クラカケトラギスの旨さは、間違いなく皮目にある。
表面が香ばしく、中がフワフワっとしている。
ベリー美味だね。
天つゆの代わりにマエカワテイストのだししょうゆを使ったら、これもかなりいいのである。
お昼なのにまんぞくまんぞくしてのであーります。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、クラカケトラギスへ



ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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