食べる貝・イカタコ学: 2008年11月アーカイブ

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 東京都多摩地区に多いもの。
 それは農協の直売所と、農家の直売所。
 要するに、まだまだ農家が残っている地域なのだ。
 その日収穫したばかりの野菜が手に入るわけで、お金がなくったって季節感あふれる豊かな食生活が送れる。
 子だくさんの我が家にはありがたい限りなのだ。

 さて、11月になって増えてきたのが大根に白菜。
 急激に冷え込んできた朝、農協には白菜が大根が山のようにつまれている。
 白菜を漬物用に一つ、そして大根を選ぶ。
 残念ながら、今のところ源助も三浦も八王子ならではの高倉大根も見られない。
 でも青首の耐病総太大根だって味はいいのである。

 これを買い求めて、ちょうど買ったばかりのスルメイカ(1ぱい200円)と大ざっぱに煮あげる。
 スルメイカはワタだけ取り去り、墨や汚れを出来るだけきれいに洗う。
 適当に切って置いて、大根は半月切り。
 生米と一緒に下ゆでする。
 ゆで時間はほんの4、5分程度だ。
 冷水にさらして、よく水気を拭き取る。
 煮汁は酒、醤油、砂糖、水。
 煮立ったところに材料を残部放り込む。
 後は終始強火であっという間にたきあげる。

 天には海老名の海老さんにいただいた色づきはじめたばかりの柚。
 なんだか冬到来を思わせる甘辛いおかずとなる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカへ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/tutuika/surumeika.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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 市場にくる「しったか」には2種類ある。
 日本海側のオオコシダカガンガラと、太平洋側のバテイラである。
 オオコシダカガンガラはバテイラの亜種とされるが、2種の形は大きく違っている。
 すっきりして背の低いのがバテイラで、背が高く全体にゴツゴツしているのがオオコシダカガンガラ。

 今回のものは産地不明。
 仲卸は「外房だろ」なんて曖昧な返事をする。
「そんなわけないだろ」
 さて、もしもボクが料理屋のオヤジで2種を見つけて、同じ値段だったら、どっちを選ぶか?
 これが決まっているのだ。
 味は同じなんだけど、オオコシダカガンガラは選ばない。
 なぜなら身が取り出せない、取り出しづらいからだ。

 きっとゆで方、煮つけ方にコツがあるのだろうけど、まだ会得していない。
 さて、今回も苦労しながら、食べたけど、なかなかうまかった。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、オオコシダカガンガラへ
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 葉物野菜でもっとも美味なるものが葉唐辛子だろう。
 これほどうまいものはどこにもない。
 唐辛子といっても種類が多く。
 考えてみたらタカノツメがうまいのか、甘長唐辛子がうまいのかわからないのだけど、今回のは辛さからして前者であるに違いない。
 これを醤油、砂糖、酒で甘辛く煮る。
 タカノツメの葉には季節が進むほど、実が混ざってくる。
 当然佃煮だって、辛くなる。
 10月の葉唐辛子は名残のものだろう。
 その佃煮の辛さは、子供が間違って口に入れて泣くだすほどだ。

 さて、秋深まり、魚屋に今年出始めのヤリイカが見られるようになってきた。
 まだ胴長20センチ足らず。
 ちょっと前までは子ヤリと呼ばれていたのが、そろそろヤリイカらしくなってきた代物だ。
 これを耳、ゲソ、目の回り、胴と、総て刺身にする。
 いわゆる糸造りというもの。

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 これをボウルに入れて生醤油少々、おろし生姜で混ぜ合わせる。
 今回は海老名の海老さんにいただいたユズを風味づけに使ったが、ネギ、青じそなど薬味はお好み次第。
 これを炊きたてのご飯にのせて食らうのだ。

 そこに登場するのが葉唐辛子。
 ご飯、ヤリイカの上に葉唐辛子の佃煮を添わせて、口に放り込む。
 ヤリイカは甘味が少なく、むしろさっぱりした清々しい味わいだ。
 ご飯と合わせるとややもの足りない。
 そこの葉唐辛子の佃煮が加わって、その辛さも手伝って絶妙の味わいを形成する。
 ときどきヤリイカの刺身を葉唐辛子の佃煮で和えて食べたりもするけど、これもいい味なんである。

 お父さんの慌ただしい、お昼ご飯にこれほどふさわしい料理もないであろう。
 ヤリイカ丼をかき込み、辛さに口をヒーヒー言わせながら、いざ外出なのだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヤリイカへ
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 ホタテガイは海が荒れて魚貝類があまりないとき、いうなれば困ったときに活躍することが多い。
 例えば、これを単に刺身にする。
 軽くバターでソテーする。
 グラタンにして、フライにして、炊き込みご飯に使い、煮染めにして、中華いためにしたり、また鍋物にも使う。
 さて、そこで思案するのがヒモの使い方だ。
 ヒモと呼ばれるのは二枚貝ならでは外套膜の縁にあたる部分で、ここに点々と黒い斑紋があるが、ここで光を感じている。
 人間でいうところの目にあたることになる。
 ヒレヒレしたきしめんのような形のヒモだが、貝殻を作ったりとホタテにとっては重要な器官なのだ。

 でも食べるときはちょっとじゃまな存在でもある。
 例えば、ホタテの刺身を作る。
 そんなときヒモが余ったら、これも別盛りで刺身にする。

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 作り方は非常に、とても、最高に簡単。
 我が家の子供に作らせてみる。
 簡単に洗ったヒモをすり鉢に入れる。
 そこに塩を加えて、モミモミするのだ。
 クチュクチュする内に、ヒモは真っ白になる。
 塩やヌルを洗い落として、水分を切ると刺身の出来上がりだ。

 これはボクの、ボクだけのための一品だ。
 スダチと生醤油をほんの少し垂らして、コップ酒2杯ほどのアテなんである。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ホタテガイ
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 その昔「ばい」といえばバイのことだった。
 それなのに沿岸域の破壊や有機スズのせいで激減。
 最近では「ばい」と言えばエゾバイや灯台つぶ(ヒモマキバイグループ)、白ばい(エッチュウバイ)に取って代わられている。
 基本的に小振りの巻き貝は、関東では最初から脇役でしかない。
 例えば関東での「突き出し」の役目。
 突き出しは、まずはとりあえず出す小料理だ。
 前菜の隅に置かれたりもする。
 それでも料理屋にはなくてはならないもので、小振りの巻き貝の存在感・価値は高いのである。
 「ばい」の本家本元であるバイの影が薄くなったのはなにも量的な理由だけではない。
 それによって値が上がりすぎたこともあるが、煮方が難しいのだ。

 まずは水、しょうゆ、酒を合わせておく。
 基本的に味醂は硬くする作用があるので使わない。
 ここに適当にあらったバイを放り込む。
 そしてコトコトと10分ほども煮てしまう。
 生煮えの巻き貝ほどまずいものはない。
 一度、味見してみる。
 煮方が足りないと硬い。
 だからまたコトコトたく。

 しっかり煮た方が軟らかい。
 これを楊枝でとりだしては、日本酒のアテにするのだけど、久しぶりに食べたバイがことのほかうまい。
 身自体に甘味があり、ワタの味が濃厚である。
 このような巻き貝の煮つけは子供にも人気がある。
 高いので少な目に買ったバイはあっというまになくなってしまうのだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、バイ
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