食べる魚類学: 2012年12月アーカイブ

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一日中家にこもりっきり、なので夜くらい贅沢したい。

しかし、買い物に行く時間がないので冷凍庫から

八王寺総合卸売組合『マルコウ』で買った

気仙沼産メカジキの腹(最近大トロという)を出してきて、解凍する。


適当に切って、熱湯をかける。

ネギはトントンと切り、

朝方取って置いた鰹節だしに酒、醤油で味つけ。

一人前用の土鍋でコトコトなのだ。


植物の分類目録をぼんやりと眺めながら、酒は「浦霞」。

昔はなかなか手に入らなかったものだが、

最近は大量生産しているのか、近所のスーパーで買ったのだ。

値頃感があり、ほどほどにうまくて、忙しいときには

宮城県の「浦霞」、「一の蔵」あたりがいい。


ぶっといネギの甘さと、

脂の甘みを口の中で爆発的なメカジキの腹身。

時計を見ると、本日はクリスマスイブ。

関係ないね、ということだ。



ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、メカジキへ


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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カレイには煮てうまいものと、焼いてうまいものがある。

ミズガレイ(ムシガレイ)は明らかに後者。

「焼いてうまい」に、どうしてもかなわないライバルがいて

それがヤナギムシガレイだ。

いつも後塵を拝して、主役になれない。

カレイの一大産地である島根県にとっては、

このミズガレイの価値を高めるのが

もっかの課題のひとつとなっている。


ミズガレイの場合、取り扱い方によって

うま味成分が落ちやすいなどの欠点があって、

今回の県水産技術センターが船上での処理の指導、

うま味成分などの測定を行い、

民間業者の方が水揚げ後の処理をして、瞬間凍結した。

漁業者、民間業者、県ががっちりタッグを組んで作り出したものである。


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とどいてすぐに、室温に置き、半解凍する。

三本の切れ目を入れる。

この状態で振り塩をして8割方解凍して、

一般家庭でお馴染みのガス台の真ん中にあるグリルで焼く。

驚いたことに、市場で買い、食べるときに

生のムシガレイが放つ特有の甘い香りが室内に漂う。

そして出来上がりは、まったく冷凍ものと思えない優れものだった。

島根県の水産アドバイザーをやっているので、

ついつい島根県の産品には辛口になりがちだが、

これは手放しに「うまい」と言い切れる。

間違いなく生で流通するよりも上だろう。


市場や小売店で清水買いしたヤナギムシガレイにも、

漁の段階でうま味成分量などを測定して

セミドレスにしたミズガレイは決して負けていない。


今回のものは沖合底引きでとり

島根県浜田市浜田漁港に水揚げしたもの。

パックの仕方もよく、冷凍ものなので保存がきくなど

一般家庭でも使いやすい。

これなら通信販売などで売り出したら、欲しくなりそうだ。

ブランド水産物の新しい方向性が見いだせるかも知れない、

私、アドバイザーとしてそう思うのである。




ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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秋田の賢さん、なべ婦人から今年も見事なハタハタをいただく。

毎年ありがとうございましたとともに、

一年のまことに早く過ぎ行くのに無情を感じる。

残り少ない今年、来年とご夫妻、ご子息にも

ご健康でいられることを祈りたい。


さて、ハタハタとはなんと便利な魚であろう。

鱗はほとんどなく、クセもなく、その上、味わい深い。

しょっつるではなく、島根県水産課水産技術センターの作った、

ニギスの魚醬で、なべ仕立てにし、塩焼きにし、

また醤油につけ込んで、焼くつもりでもある。


今回、塩焼きがすこぶるつきにうまい。

檀一雄は太宰治がハタハタを手づかみで食らうのを見て、

愉快に感じるとともに、その野生を感じて、

感動を覚えたと書いていたように思うが、

ハタハタはワイルドに食らうのが一番。

太宰に習い、

静岡県清水で作っているグリーンダイダイを

たらしながら手づかみで食らう。

酒は肥満が気になるので、アイルランドのブッシュミルズして、

これもまたよしなのである。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハタハタへ


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