食べる貝・イカタコ学: 2006年6月アーカイブ

 福島県で捕れる貝は主に北方系のもの。ホタテなど南限に近いし、またチヂミエゾボラなどエゾバイ科が多いのも特徴である。今回は底引きで揚がった貝を列挙していく。

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 まず二枚貝。
●ホタテガイ/東北以北に棲息する。天然養殖と市場で見かけるものは総て稚貝を人工的に生産したもの。福島では量はまとまらないが、総て純天然ものなのではないかと思う。
市場魚貝類図鑑のホタテガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/itaya/hotate.html

●ウバガイ/ほっきがい 鹿島灘、日本海北部以北に棲息。市場では色が黒くて大きい物が高い。また寿司ネタにするときに湯引きするのだが、熱で赤くなる。この赤身が強いのがいいとされる。

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市場魚貝類図鑑のウバガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/bakagai/ubagai.html

 巻き貝は今回は総てエゾバイ科だった。
●シライトマキバイ/今回いちばん多く見かけた。銚子以北に棲息。北海道では「灯台つぶ」と呼ぶ。値の安いもので、味がいいのでお買い得。刺身にも煮物にもなる。

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市場魚貝類図鑑のシライトマキバイへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/buccinum/siraitomaki.html

●ネジボラ/銚子以北道東くらいまでの太平洋側に棲息。これも福島県では漁獲量の多いもの。刺身、煮ものになるが値は安い。
●ネジヌキバイ/銚子以北ベーリング海まで棲息。味わい、値段などはネジボラと同じ。

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市場魚貝類図鑑のネジボラへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/japelion/nejibora.html
市場魚貝類図鑑のネジヌキバイへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/japelion/nejinukibai.html

●ナガバイ/銚子以北の太平洋側、オホーツク海に棲息。大型になる割に人気がない。味はよくお買い得。

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市場魚貝類図鑑のナガバイへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/sonotaezobai/nagabai.html

●チヂミエゾボラ/日本海、鹿島灘以北の太平洋側に棲息。新潟などでは評価が高く値段もいい。またNeputuneaエゾボラの仲間としてももっとも味のいいもの。福島では新潟などと比べて値段が安い。

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市場魚貝類図鑑のチヂミエゾボラへ
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●ヒメエゾボラ/日本海、鹿島灘以北、北海道の浅い場所でとれる。北海道で単につぶというとこれ。福島から三陸、根室にかけてもっともありふれたもの。焼きつぶなどは、ほとんどこれが材料。関東などでは「焼きつぶ」をあまり作らないがもったいない話だ。
市場魚貝類図鑑のヒメエゾボラへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/ezobora/himeezobora.html

●エゾボラモドキ/鹿島灘、丹後半島以北に棲息。北海道などではBつぶとされるもの。非常に味はいいものの真つぶ(エゾボラ)よりも安い。

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市場魚貝類図鑑のエゾボラモドキへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/ezobora/ezoboramodoki.html

●モスソガイ/瀬戸内海以北に棲息する。一般的にはおでんや煮つぶにする。
市場魚貝類図鑑のモスソガイへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 倉敷市の陶芸家武内立爾さんから小振りだけれど活きのいいナミガイ(白みる)とミルクイが送られてきた。明日は旅という日でたった1杯の酒のアテとしてじっくり味わってみた。
 水管、軟体、足と総て軽く茹でて、またミルクイとナミガイを並べて食べるなんてめったに出来ないこと。
 さて、どちらがうまいか? なんてじっくり、じっくり味わってみて、おやっと気がついたら皿には一片の刺身も残っていない。
「おいしいと言えば、こっちかな」
 家人が差すのはミルクイ。
「でもこの軟らかい部分もいいね」
 これはナミガイの軟体部分。結局うまいうまいと食べてしまって「比べる」までには至っていない。
 でも、やっぱりともに「うまい」のである、とだけ再確認。倉敷市児島高洲での潮干狩りではタイラギが終了して、これからはナミガイなんだな、と心巡らすと「倉敷に行きたし」とぞ思う。
 武内さん、ありがとうございました。

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市場魚貝類図鑑のナミガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/oonogai/namigai.html
市場魚貝類図鑑のミルクイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/bakagai/mirukui.html
●倉敷市児島高洲の「からこと丸」のサイトへ
http://www.tamano.or.jp/usr/karakoto/siohigari.html


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 さて、北国でよく見かける灯台つぶに関してまとめてきたが、この仲間は銚子を回って、東京湾、相模湾、駿河湾に南下しても棲息している。「灯台つぶ」、ヒモマキバイグループの巻き貝は北はオオカラフトバイ、ヒモマキバイ、クビレバイときて太平洋を南に下がるにしたがって一番下の巻き(層)に丸みをおびてくる。この丸みをおびたのをシライトマキバイという。そして南限である銚子などに上がる、シライトマキバイなどはその典型的なもの。これが相模湾、駿河湾にくるとこの最下層の部分がもっと丸くなり、これをスルガバイというのだけれど、これを銚子にあがるシライトマキバイで丸みの強いものと区別するのは至難である。そのスルガバイにまで南下する前に忘れては行けないのが東京湾に多いサガミバイだ。
 これは東京湾、駿河湾の水深200〜300メートル前後に棲息している小振りの巻き貝。東京湾、相模湾でのエビカゴ漁などに入る。あまり多くとれるものではなく、まあどちらかというと貝収集の対象とされることが多い。
 この小振りのサガミバイ、味がよく北国の灯台つぶに決してひけをとるものではない。ほとんど望み薄だがもしもコンスタントな漁獲さえあれば、東京湾の幸がひとつ増えることになる。ただし貝マニアは珍しいと思っていた貝が、食卓に上ることになったらがっかりするだろう。

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市場魚貝類図鑑のサガミバイへ
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 晩春から初夏にかけて主に西日本でとれるのがカミナリイカ。昔は「紋甲いか」と呼ばれていたが、輸入ものの大型コウイカにこの名を使ってから、紛らわしいので標準和名で通したい。ちなみに高知県高知市浦戸湾では「真いか」と呼ぶ。
 このカミナリイカ、コウイカの仲間でも大きくなるもののひとつ。この時期の漁は産卵で岸に寄ってきたイカをとるのだが、2キロ、3キロ近いものまである。肉厚で甘味のある身は刺身にして最高にうまい。また分厚い身であるので煮る焼くも、より甘味が増してうまいものだ。
 これを永野廣さんにいただいて、湯引きにしたり、和え物にもしようか。いろいろ考えていたら子供達から「ステーキがいいな」とリクエスト。この料理法は表皮に切れ目を入れて、サラダオイルを垂らしたフライパンを強く熱して短時間でソテー、イカを取りだして、ここに酒、醤油、バターを入れてモンテ(泡立つように)する。これを焼いて置いたイカにソースとしてかけるだけ。いとも簡単な料理であるが、家族はこれがいちばんうまいという。
 さて、浦戸湾のカミナリイカ漁も終盤となる。味わってみたい方はお早めに。

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高知市「土佐の日曜市」土佐の廣丸
http://www.zukan-bouz.com/zkan/hiromaru/index.html
市場魚貝類図鑑のカミナリイカへ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/kouika/kaminariika.html


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 高知市の永野廣さんは日曜市に店舗を持っている。そこで売られているのは永野夫婦が漁師としてとった「えがに(トゲノコギリガザミ)」や浦戸湾のアサリに、また近隣の漁師仲間から仕入れた魚貝類。そんななかから、うまいものを厳選してときどき送っていただく。そして今回が仁淀川のシジミ。
 このシジミがなんとも美しい。形からマシジミに見える物もあるが、汽水域でとれたものであるならヤマトシジミであるようだ。しかし、どうしてこんなに美しいのか? それは仁淀川の水質のよさのためだろうか。かなり大きなものが混ざっていて、本来なら真っ黒で傷だらけになっていてもおかしくはない。でも仁淀川シジミは貝殻にキズひとつない、美しい。
「仁淀川のシジミはいっちょんうまいけね。食べてみてくださいよ」
 永野さんが棟を張るだけあって、味わいも「美しい」。驚いたことにシジミのクセがほとんどなく、あっさりしているのに汁に旨味がある。これは「汁のお代わりができるね」と我が家の子供も喜んだ。シジミにはときどき泥臭いのがあって、子供達はシジミというと警戒線を張ってしまうのだ。

 ヤマトシジミの棲息する汽水域は、美しい日本の国土を愛するという「愛国心」の欠片もない自民党議員や役人たちのために未だに破壊の危機にある。コヤツらが愛しているのは一時的に回る資金だけ。「愛国心」も人への優しさもない。うまいシジミを食うたびに「愛国心」のまったくない役人と自民党はダメだなと思うのだ。

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土佐の廣丸へ
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平貝には2種あり

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 知らなかったな、まさか市場での平貝(たいらがい)に2種あるなんて。考えてみれば図鑑には答えがあったわけで、それを愚かにも見落としていた。これを教えてくれたのが倉敷市児島の「からこと丸」さんのホームページ。ここには大小のタイラギの画像が載っていてよく見ると表面に筋状に棘がみえる。最初これはハボウキガイかなんかだと思っていて、それで何度も見返して。海の極道さんにも見てもらい、千葉県立中央博物館の黒住先生になんどもケータイを入れて「だいたいどの産地のタイラギにも2種あり、市場にも2種のタイラギがいるはずです」という答えを得た。
 それでデータベースを改めて見直すと貝殻の表面が滑らかで模様がないタイラギと、貝殻の表面に筋状の盛り上がりがあり、ときに棘立つリシケタイラギがちょうど半々にある。またときに混ざっているのも面白い。
 貝柱だけになるとまったく見分けがつかない。微妙な色合いの違いが出てくるが、まあだれも気にしないだろうし、味わいにはまったく違いがない。まあ、貝に興味のある方、蘊蓄好きのお父さんが知って無駄ではないだろう?

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画像は昨年、築地で撮影したもの。これはリシケタイラギ

市場魚貝類図鑑のタイラギへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/uguisugaimoku/tairagi.html
市場魚貝類図鑑のリシケタイラギへ
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●岡山県倉敷市児島「からこと丸」のホームページへ
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