食べる魚類学: 2007年7月アーカイブ

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 我が家では来る日も来る日も魚を食べるのである。今週末食べた魚貝類が12種類。サルエビ、インドエビ、スルメイカ、ハモ、めじ(クロマグロ)、新子(コノシロ)、マイワシ、タチウオ、ロシア産シジミ(タイリクシジミ)、しらも、ワカメ、木更津盤洲産海苔(スサビノリ)。これは週末としては異例の少なさであって、ときに倍することもある。これら総て市場仲間や日本各地の協力者のお陰であって、お礼の申し上げようもない。

 この魚貝類を料理しながら作るのが我が家風煮つけである。この煮つけの鍋はいつも料理するかたわらにある。やや弱火にして、とにかく出たアラは総て放り込む。炒りつきそうになったらなりふり構わず水を加える。
 今回はアラが少なく、例えばタチウオはボロボロになるので煮つけにはいれないし、小羽イワシからはほとんど出なかった。当然、アクの出る魚は湯通しするし、また煮くずれしやすいものは避ける。しかし膨大な魚貝類の料理を作りながら、しかも子供用にお肉を焼きながらだからろくに鍋の面倒もみられない。当然、出来上がりの見た目の悪さはいかんともしがたい。
 悪戦苦闘の内に今週末の煮つけは、やや、やや大人しいものとなった。めじ(クロマグロ)、スルメイカ、ハモと3種類だけの煮つけ。面白いもので魚の煮つけにイカ、貝などがはいると旨さが倍するほどになる。スルメイカの刺身などを作ったときにはエンペラやげそを冷凍保存するといい。これを魚を煮つけるときに少しだけ隠し味に加えるのだ。

 我が家風煮つけは甘めである。どうにも甘く、酒の肴には重い。でもこの甘い煮つけが子供の好みなので子だくさんのお父さんであるぼうずコンニャクは泣く泣く砂糖を加えるのだ。しかも子供達の狙いはイカのエンペラ、またマグロの骨のない部分に集中する。だからお父さんは骨だらけのハモをしゃぶり、マグロの腹の骨にへばりついた身を貧乏くさく食うのである。お父さんももっと食べやすい部分を食べたいな、わが子らよ!


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 八王子総合卸売協同組合『やまぎし水産』に「混み魚」という入相(いろんな魚が混ざって入っている)があり、そこに相模湾の定置でとれたメジナやカサゴ、シマウシノシタなどが無造作に入っている。ここからめぼしい魚を選んでいると、お隣『コリアンフーズ かや』から声がかかる。
「韓国風の焼き魚作ったから味見してよ。そこの(やまぎし水産の混み魚)のメジナって魚を使ったのよ」

 置いてあったのはムニエルでもないし、天ぷらでもない。
「メジナを切り身にして小麦粉をつけるでしょ。それに卵をからめて焼いたの。焼くのはゴマ油ね。韓国じゃ、とにかくなんでもゴマ油で焼くの、よー」
 脇にあったのは醤油、ゴマ油、唐辛子、胡麻を合わせたもの。これをのせて食べる。
 メジナの身はクセがなく、上質な白身である。淡白だから塩焼きにしただけでは所謂個性がない、旨味ももうひとつだ。そのもうひとつ旨味に欠けるメジナにゴマ油で香ばしく焼きあげるこの韓国風の調理が向いているのだ。タレは鋭角的な香辛料のきいた醤油ダレ。完全に韓国の味そのものといった雰囲気がただよう。まことにうまい。
「夏には最高だね。タレにニンニクを足してもいいね。食べ始めるとやめられなくなるなー」
「だめよ全部食べちゃ。また作ってあげるから今日はここまで」
 仕方なく3切れ目を手に持って『コリアンフーズ』を後にしたのであった。

市場魚貝類図鑑のメジナへ
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八王子の市場に関しては
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 ヒメジはフランスの高級魚「ルジェー(ルージェ)」という魚に近い種なのである。皮目に風味があり、グリル、ポワレなどにして美味だ。
 和風に作るなら刺身か、干物だと思うがフレンチだといろんな料理法が浮かんでくる。バプールしてユニバーサルソース、ポワレ、唐揚げにして酸味をつけたフュメドポワソンの中で崩しながら食べてもいい。またポワレならトマトや柑橘類のコンカッセ(もしくは潰したもの)をそのまま添えてもいい。
 と言うことで、トマトのコンカッセ(個性的にしたいなら干しトマト)、青じそ、グレープフルーツのコンカッセを皿の上で潰して、エクストラバージンオイルを回しかけ、そこにヨメヒメジのポワレを乗せてみた。
 まあ、これは料理の基本形をまったく外していないものだからうまいに決まっている。粗挽きの白コショウがときどきぴりっと刺激して、そこに甘味と風味豊かなヒメジの味わい。ちびまる子ちゃんの丸夫くんじゃあるまいし、五十路男のするこっちゃない、と曲のなさを責めたりもした。
 そして今回反省したのはトマトと青じそは不必要だったということ。むしろ皿の上でグレープフルーツを潰し、そこにピーナッツオイルと白コショウ、そして少々の粗塩という超単純なソース以前のものにヒメジのポワレを乗せただけの方がよかったかも知れない。またヒメジの上にのせたローズマリーだが、これはなくてはなりません。

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 土曜日、八王子綜合卸売センター『高野水産』で買ったヨメヒメジ。これを皮霜造りにして、武内立爾さんの板皿に盛りつけてみた。つけ合わせは、岡山県特産の「しらも」と呼ばれる海藻。皮霜造りを盛りつけるのは、柔らかさ故に直しのきかない一発勝負となる。
 あれこれ、妻の配置を考えて「えいや!」とお造りを配す。でもやっぱりどこかきまらない。武内作品の赤と青の線と溜まり、滲みを生かしながら、しかもお造り自体も映えるようにしたい。でも今回は失敗だな。
 何時になったらこの器に納得できる盛りつけができるのか、難しいものだ。
 武内作品に刺身を盛るというのがボクの今年の課題のひとつとなってしまった。ちなみに撮影時のライティングもかなり至難。

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