食べる魚類学: 2006年9月アーカイブ

●スズキ目ホタルジャコ科オオメハタ、ナガオオメ
 これにワキヤハタを含めて沼津では「でんでん」。大きいものは刺身にもなるが小さいものは利用法も限られるので安い。

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市場魚貝類図鑑のオオメハタ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/oomehata.html
市場魚貝類図鑑のナガオオメ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/nagaoome.html

●スズキ目ホタルジャコ科アカムツ
 今、流通する魚のなかにあってもっとも値段の高いもの。刺身、塩焼き、煮つけと味わいでは最上のもの。

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市場魚貝類図鑑のアカムツ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/akamutu.html

●スズキ目ムツ科ムツ
 沼津で「むつ」と呼ばれるのはムツとクロムツ。そして今日のものはムツであった。深海性の魚であるが稚魚、幼魚のときには浅い磯場などに棲息する。磯などを無軌道に開発をしているために減少がなはなはだしく、値段も上昇傾向にある。

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市場魚貝類図鑑のムツ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/mutu/mutu.html

●スズキ目ハタ科アラ
 やや深いところに棲息する。ハタの仲間であるがむしろスズキに似通って見える。これもあまりとれなくなって小さな個体ばかりになっている。大きいものは非常に高価。

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市場魚貝類図鑑のアラ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/ara.html

●スズキ目カワビシャ科ツボダイ
 沼津ではまとまってとれないために雑魚扱いとなる。非常に美味な魚であり、遠洋でとれるものはみそ漬けや干物に、また近海のものは刺身になる。この刺身のうまさはまさに例えるべくもなし!

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市場魚貝類図鑑のツボダイ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/kawabisha/tubodai.html

●スズキ目アカタチ科ソコアマダイ
 ソコアマダイモドキと区別しないで扱われている。ただしあまりとれない。個人的には沼津底引きの魚では最上の味わいであると思っている。大きければ大きいほど美味。

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市場魚貝類図鑑のソコアマダイ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/akatati/sokoamadai.html

●スズキ目トラギス科アカトラギス
 底引きでは他のトラギス科の魚と共にまざってあがる。天ぷらなどにしてうまい。そして値段は安い。

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市場魚貝類図鑑のアカトラギス
http://www.zukan-bouz.com/suzuki/toragisu/akatoragisu.html


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●ギンメダイ目ギンメダイ科ギンメダイ
 釣りではまったくの外道、当然というか漁でも見向きもされないのがギンメダイなのである。沼津ではアラギンメダイも混ざる。味わいは評価ほどには悪くなく、ときに刺身でうまい。

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一番右がギンメダイ、他にはギスやユメカサゴ

http://www.zukan-bouz.com/fish/sonota/ginmedai.html

●タラ目チゴダラ科チゴダラ
 沼津で揚がるチゴダラ科はチゴダラ、オシャレチゴダラ、ナガチゴダラ、ソコクロダラ。なかでもチゴダラがいちばん多い。沼津では「のどくろ」。

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http://www.zukan-bouz.com/taraasiro/tigodara/tigodara.html

●タラ目ソコダラ科トウジン
 沼津では「げほう」。白身でうまい魚のであるが、歩留まりが悪くて安い魚。これを握りのネタにするとうまいのだ。

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http://www.zukan-bouz.com/taraasiro/sokodara/toujin.html

●タラ目ソコダラ科テナガダラ
 沼津ではトウジンよりもまずいとされている。確かに旨味などやや落ちるものの、なかなか美味。トウジンに混ざって取り引きされる。

http://www.zukan-bouz.com/taraasiro/sokodara/tenagadara.html

●アシロ目アシロ科ヨロイイタチウオ
 市場などで「ひげだら」と呼ばれるもの。生などではうまくないが、昆布締めやみそ漬けにすると美味。大きいと高級魚、小さいと雑魚と大きさによって値段に雲泥の差がつく。

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http://www.zukan-bouz.com/taraasiro/asiro/yoroiitatiuo.html

●カサゴ目フサカサゴ科シロカサゴ
 アカカサゴとともに沼津では「赤かさご」と呼ばれる。身がやや水っぽくてカサゴなどより落ちる。値段も安い。

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http://www.zukan-bouz.com/kasago/sirokasago/sirokasago.html

●カサゴ目フサカサゴ科ユメカサゴ
 底引き網漁では単に「かさご」と呼ばれている。まとまってとれる。非常に美味な魚であり、値段も高い。

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 八王子魚市場場内に入ったらマグロ売り場に人だかりが出来ている。それに「うまいもんの気配」があるので当然の権利だと思いながら人だかりを蹴散らし前に出る。
 そこにあったのが不思議なものである。四角い発泡にのっているのは明らかに煮付けである。でもマグロ売り場だから「マグロだよね」と聞いてもみんな薄笑いを浮かべるだけ。「さあ、なんだろうね」なんて『源七』の若だんながすーっと消えていく。

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「なんなのこれ」
 マグロ売り場担当のムッシュに聞くと、
「キハダマグロをおろすだろ、そうすっと腹のあたりにうねのようになって白い肉というか軟骨というのかついているんだよね」
「でもこれ骨じゃないだろ」
 食べてみるとぷりっとしていて柔らかく、煮方が上手なのもあってすこぶるつきにうまい。ついつい手が出る旨さだ。
「骨じゃないね。面白いのはキハダにだけついているんだよね」
 これを煮たのはムッシュなのだ。この人の料理の腕は向かうところ敵なし。プロの料理人も尻をめくって逃げていくと言われている。じゃあ料理の仕方がうまいのかというと、煮たとはいえ、これはこの白い物体自体の味であるとしかいいようがない。

 これを少し分けてもらって帰宅して焼いて食べてみた。もう一度味わってやっぱりこれは絶品である。塩コショウして油で焼いただけ。それなのにどうしてこんなに味わい深いのか不思議でならない。串に刺して焼き鳥風にするともっとうまいのではないか。

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 このような新しい素材を見つけられるのもムッシュの料理の才能のお陰であると思う。「ムッシュ、ありがとう」。


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 沼津魚市場に入るトロール船は戸田と沼津市志下、静浦から出ている。なかでも大トロというのは沼津には2船しかなく、あとは戸田から出る船なのだ。解禁日に出船するほはこの大トロール船(通称大トロ)だけ。これらが駿河湾に散らばって水深400〜500メートルから200メートルを曳くのではなく、網を巻き込むように底をさらう。これを駆廻し式沖合底曳き網漁業と言う。当然、底ものから時には中層の魚まですくってしまう。そのために底をかいて引くオッタートロール船よりもむしろ魚種は豊富かも知れない。
 そこでとれる魚をランダムに取り上げていく。

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●ソトイワシ目ギス科ギス
 沼津では主に練り物に使われる。これでつくったかまぼこはうまい。また近年干物にもなる。値段は安い。
http://www.zukan-bouz.com/fish/sonota/gisu.html

●ニギス目ニギス科ニギス
 これは鮮度がよければ刺身にもなるし。天ぷら、干物ととても美味。主に加工用となるので値は安い。
http://www.zukan-bouz.com/fish/nigisu/nigisu.html

●ニギス目ニギス科カゴシマニギス
 あまり量がとれないんでニギスに混ざって取り引きされる。やや水っぽく、うまくない。
http://www.zukan-bouz.com/fish/nigisu/kagosimanigisu.html

●ウナギ目クロアナゴ科マアナゴ
 これは当然だが需要も高く、値の張る獲物である。底引きではかなり大きなものが揃う
http://www.zukan-bouz.com/unagi/anago/anago.html

●ヒメ目アオメエソ科アオメエソ
 その昔は安い魚であったものが刺身にもなるようになって値が上がっている。大型のものは高価である。
http://www.zukan-bouz.com/hime/aomeeso/aomeeso.html

●ヒメ目アオメエソ科トモメヒカリ
 アオメエソからすると味が悪く値も安い。

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http://www.zukan-bouz.com/hime/aomeeso/tomomehikari.html

●アンコウ目アンコウ科キアンコウ
 大トロではキアンコウだけがとれる。小トロにはアンコウ、キアンコウが混ざる。キアンコウは冬に向けた値の上がる魚で旬も当然冬。

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http://www.zukan-bouz.com/fish/ankou/kiankou.html

●キンメダイ目キンメダイ科フウセンキンメ
 キンメダイよりも小振りであり、色も薄い。当然値もキンメダイからすると低い。
http://www.zukan-bouz.com/kinmedai/fusenkinme.html

●キンメダイ目ヒウチダイ科ヒウチダイ
 沼津では「あぶらごそ」。年々値が上がり、今ではアカムツに次ぐ高級魚となってしまっている。
http://www.zukan-bouz.com/kinmedai/hiutidai.html

●キンメダイ目ヒウチダイ科マルヒウチダイ
 ヒウチダイと同じ。区別されない。
http://www.zukan-bouz.com/kinmedai/maruhiutidai.html

●キンメダイ目ヒウチダイ科ハシキンメ
 沼津では「ごそ」。「あぶらごそ」ほど脂も旨味もないので値は安い。

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http://www.zukan-bouz.com/kinmedai/hasikinme.html

02へ続く


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 朝方8時前、慌ただしく我が家を出た。国道16号は渋滞中、なかなか前に進まない。やっと北野で右折して、これも国道16号に入る。左手に東京工科大学。この大きな品のない建物の周りの草むらから秋の気配。そう言えば16号は八王子のあちらこちらにあるように思える。どっちが本物の16号なんだろう。
 片倉の運送屋で沼津の菊地さん(沼津の魚の達人、菊貞・山丁 菊地利雄さん)からのでっかい荷物を受け取って『市場寿司 たか』に持ち込む。出てきたのはシイラとカマスザワラ。ともに尾ビレと頭をとってしまっているが、それでも重い。

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 市場の寿司屋なので『市場寿司 たか』には魚を下処理する場所がない。流しは最小限、そこにカマスザワラの胴体を持ち込むと左右がきりぎりなのだ。「もっと小さいのを持ってきてよ」というたかさんの呟きは聞こえない振りをして、やっと出来上がった握りは「????????」だった。

 市場にはそんなことで10時過ぎまでいた。そこから帰宅、あっちこっちに連絡をとってメールの返信をすると時刻は11時近い。

 そこからめちゃくちゃ、てんやわんやに台所でカマスザワラの料理を作る。味見に塩焼きにするがうまくない。それで腹身は煮付け、背の肉はフライ、みそ漬けを作る。みそ漬けは「伸優」で買った安い信州みその甘口。ここにどぶどぶに日本酒を入れて、味を見ながら砂糖を加えて漬け地とする。出来上がったフライと煮つけでお昼ご飯にする。

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 出かける時刻まであと1時間弱。
 このフライがなんともあっさりして、しかも魚の旨味も感じられる。この旨さは、寿司の味わいからは想像ができないもの。煮付けもいいのである。どうもカマスザワラは生ではなく熱を通した方がいいみたいだ。そこから外出の支度をして1時過ぎには外出。駅まで自転車をこぐと息切れがする。
 中央快速で熟睡。お茶の水、帰りに秋葉原で買い物。ちょっと無駄歩き。帰宅は10時前。

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 みそ漬けを取りだして1つだけ焼いて味をみる。驚いたことにこれも絶品なのだ。この一切れのために新潟の「能鷹」をいっぱい。
 朝方から撮影した画像を整理して時刻は時刻は0時近い。最近起床は6時前。ボクは絶対に7時間寝ないと頭が働かない。早く布団のもぐり込むべく、烏の行水。すんなり眠りに落ちるために、「能鷹」をまたいっぱい。もういっぱい飲むべきか深く深く悩む。

●市場魚貝類図鑑のカマスザワラへ
http://www.zukan-bouz.com/saba/sawara/kamasuzawara.html


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 画像は大分県の丸昌水産からきた大きなイトヒキアジなのである。相模湾などでも小さな糸を長く引っ張っているジュディ・オング(古いな)のようなのはよく見かけるが九州や四国ではこのように1メートル近いのも珍しくない。主に黒潮のさす九州、四国、和歌山などでよく揚がるもの。これが駿河湾などでも年々増えているように思えるのは温暖化のせいだろうか?
 魚体が平たく歩留まりが悪い、しかも見慣れぬものなので市場でも「なんだなんだ」と野次馬ばかりで実際に買っていくのは勇気が必要であるらしい。でも味わいはアジの仲間でけっして悪くなく、この秋口から初冬にかけてはそれなりに脂がある。身質としてはシマアジにも似ているのだから安ければお買い得な魚である。また飲食店や魚屋で陳列ケースにスペースがあるなら、見事な飾りとなる。
●イトヒキアジの地方での呼び名を集めています

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市場魚貝類図鑑のイトヒキアジ
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