2007年10月アーカイブ

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 恵曇と言う港は島根県の県庁所在地松江から北に、日本海に面してある。その昔、鹿島町として独立してあったのが今では松江市の一部だ。
 松江の町にとっては日本海の魚貝類の供給地であった。確か恵曇の漁師の奥さんによる松江での行商が有名であったはず。すなわち食都とでも言えそうな松江の海の幸はほとんど恵曇からもたらされたものなのだ。宍道湖七珍ばかり有名になってはいるが日本海の幸もあるんだぞ! とボクなど県外の人間からすると島根の食の多様性をもっと売り出してもいいなと思う。
 大きなお世話かも知れないけど島根県水産課の「しまねおさかな図鑑」を見ると「島根日本海二十七珍」なんて作るといいな。きっとあと3つは見つかるだろうからら「三十珍」かな?

 その日本海の「えてがれい(ソウハチガレイ)」やマアジなどを素朴な作りで干物に仕立て、製造販売しているのが「丸三商店」らしい。
 この「丸三商店」の干物がうまいのだ。何というのだろう、例えばソウハチガレイはちょっと脂に個性的な苦みというかアクのようなものがある。実を言うとこのクセのある味がボクなどには堪らない魅力だ。この風味が小振りな干物なのに充分生きている。
 マアジもそうだ。日本海島根のアジの開きは頭だけはそのままに胴体を割っている。そこに食塩と飾りの胡麻だけというのがいい。えんじょうの段階で熟成しているらしく身の色合いがくすんでいるのは所謂添加物を使っていない証拠でもある。

 こんな素朴な作りの干物が日本海から直送されたらうれしいだろうな! 「えてがれい(ソウハチガレイ)」の干物で「王禄」をやりながら思う。
“えとも直送”と「王禄」本醸造の熱燗。これ、これより暮れにかけて最高にいいだろうなー。

島根県水産課
http://www.pref.shimane.lg.jp/suisan/
「しまねおさかな図鑑」
http://www2.pref.shimane.jp/suisan/suisangyo/zukan/3b.html
丸三商店 島根県松江市鹿島町古浦601-100 0852-82-0713
http://www.etomo03.com/
恵曇漁業協同組合婦人部
http://www2.pref.shimane.jp/suisan/tokusan/3k-4.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 煮つけは絶品であるけど、我が家では“なまり”にすることが多い。“なまり”はかつお節など「節製品」を作るときに下ろした魚を煮熟(しゃじゅく 茹でること)して表面の水分を乾かしたもの。かつお節工場などでは大量のカツオ類を茹でるのでここに旨味成分が溶け出し、そこでまた茹でることで「熟成」も加味されるけど、我が家のは単に茹でる工程でしかない。

 さて作り方は
1/マルソウダを三枚に卸す。皮はそのまま。
2/これをお湯(塩は入れない)で仲間で火を通す。
3/おかあげ(笊などにそのままとること)して、あら熱をとり、骨を抜き、冷蔵庫にラップをしないで一日か半日ほど寝かす。

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あら熱をとったら骨を抜く

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なまりの出来上がり

4/これをそぎ切りにして、塩コショウ。ピュアオリーブオイルで焼く。このときニンニク、鷹の爪などを好みで使ってもいい。我が家は子供中心なのでニンニクを香りづけ程度に。
5/焼き上がったら、パセリとエクストラバージンオイルをかけまわす。

 この料理はパンにも合う。当然子供たちにも人気があって市販のなまりを使っても作る。ただし市販のものは煮熟しているためか多少苦みがある。だから自家製の方が上である。

 このほかにもマヨネーズで和えたり、煮物にも使える。意外に冷凍すると悪くなるので、冷蔵保存して3,4日で食べるようにする。また天日乾燥してもいいのだけど、最近の気候のせいかなかなかいいものが出来ない。

 さて、この「なまりのオリーブオイル焼き」はワインに合うのですね。しかもシャブリがいい。変化球でリースリングもありだな。
 でも貧しいお父さんには麦焼酎が関の山ですな。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マルソウダへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 マルソウダガツオを生で食べるというのにはちょっと抵抗がある。これは伊豆半島で海釣りをしたおりに、まったく獲物がなく(これを釣り用語で「ぼうず」という、20年以上前につけたボクのペンネーム「ぼうずコンニャク」にはこんな意味もある)、帰途、網代の魚屋で買い求めたのがマルソウダだ。どうしてこんな雑魚的な魚を買ったのかというと昼過ぎの魚にあったのがマルソウダとマアジだけだった。これは防波堤釣りには格好の荒天が漁船の出漁を阻んだためだろう。ちなみにこんな好条件でねらったメジナがゼロというのはいかにボクがヘボであったかが、わかる人にはかわるだろうね。

 そのとき魚屋で言われたことが
「マルソウダは生で食べたら当たる。毒があるだからね」
 ということで若い身空で、その夜はマルソウダの煮つけと唐揚げ、近所のスーパーで買ったお総菜で酒を飲んだんだった。

 その後、伊豆半島ではなんどもマルソウダは「当たるよ」という話を聞いた。
 これをマルソウダがたっぷりとれる鹿児島の若潮君に聞くと、南さつま市笠沙ではマルソウダ自体をあまり食べない。また鹿児島では小さなマルソウダは生でも食べるが大きいものはやっぱり食べないのだという。

 じゃあ、マルソウダはまずいかというと晩秋から冬にかけてのものはビックリするほどうまい。ボクはヒスタミンに強いのか生で食べても当たったことがない。でも万人向きじゃないだろうな。
 神奈川県の雑魚を仕入れてきて、なかなか面白い店頭にしている「やまぎし」でやや小振りのマルソウダを見つけて俄然万人向きのうまい料理を作ってみることにする。それが「たたき」と「なまり節」である。

『やまぎし』で買ったのはまだ秋なのに脂がのっている。
 まずは美味なる「たたき」を作る。
 背の前の部分のウロコをすき引きし、三枚に卸したものから血合い部分を取り去る。ボクはこの血合いが当たる原因ではないかと不得要領に考えている。
 これを金ぐしに刺して強火で炙り、みりんと醤油(みりんより多め)、ニンニクで風味漬けしたタレをかけ回す。脇には名残の茗荷、生姜。
 マルソウダの身には本当に濃厚なまでの旨味がある。これを強火で思いっきり引き出したわけだからまずいわけがない。というか旨すぎるのである。

 マルソウダの旬は黄昏の10月から初冬まで。この官能的な美味をお試しくだされ。

●マルソウダを生で食べることに関しては自己責任で!

若潮君のお魚三昧生活
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/komendago
八王子の市場に関しては
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マルソウダへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 鹿児島県南さつま市笠沙の漁師・若潮君に宅配便の魚屋さんを開業させたいと思っています。若潮君は定置網漁師なのでヒラアジ(平たいシマアジのようなアジ)がたくさん揚がります。
 鹿児島からは中一日かかるのですが、市場での流通と同じ鮮度、また伊豆七島、小笠原よりも優れたものです。送る魚は若潮君がすべて標準和名で明記。また食べ方は私、ぼうずコンニャクがサポートします。
 料金は港での競り料金+送料(関東だと1500円から2000円台。着払い)+2000円。着後「競り値段+2000円」を振り込んでいただきます。お魚は下ろすなど調理は出来ません。
 すなわち若潮君の利潤は2000円でほかには利潤はありません。また徐々に宅配方法を変化させていく可能性もあります。出来るだけ漁師である若潮君に負担のないようにしたいと思っています。
 港の水揚げ値段なので思った以上の安値もあり、また鮮度抜群のシマアジなどは関東の市場よりやや安い程度ということもあります。
 この掲示板と「ぼうずコンニャクのお魚三昧日記」をご覧の方のみから宅配魚屋を開始したいと思います。未知の魚に挑戦したいと言う方、いちどお試し下さい。
 ぼうずコンニャクは地方の漁業者を支援したいと思っています。
●画像は1キロ前後のナンヨウカイワリの刺身。ナンヨウカイワリはあまり知られていないのですが温帯熱帯での美味な魚です。画像のものも脂がのっていて包丁が重く感じるものでした。

若潮君への注文は
itokeno814@yahoo.co.jp
若潮君のお魚三昧生活
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開始定置網でとれるものは
http://www3.synapse.ne.jp/umisachi/yutaka.htm


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 ボラの刺身をからすみの副産物というのも変だろうな? このところボラを見つけると、まずは真子が入っているかどうかが気になる。肝心の本体はそっちのけ。
 ある日、八王子綜合卸売協同組合『やまぎし』の混み魚のなかから大振りのボラを見つけて「どうしようかな?」と迷っていたら、お隣の「コリアンフーズかや」の成田山が「半分もらってあげるわよ」と言ってくれる。さてここは冒険だ! と下ろしてみたら小さいながら黄に微かなマゼンタの入り交じった卵巣が出てきた。
 そこで身の方は成田山に差し上げる。

 卵巣が出てきただけでボクなど舞い上がってしまった。ほったらかされた身の方は、よしさんが丁寧に三枚に卸す。そうだと思い、腹側の身を刺身にする。これを「コリアンフーズかや」に持ち込み、成田山特製の酢みそを回しかけて食べる。

 このなんだか赤い色合いの微かに辛みのある酢みそがうまい。
「本当はここにゴマ油とニンニクを足すんだけど、今日は突然だからね」
 成田山の夫であるお父ちゃんといっしょについつい一気に食べながら、
「こーれはマッコリルだしな」
 お父ちゃんが思わず漏らすのだ。
「そうだマッコリルだ」
 といきたいところだが、残念ながらクルマだし、午前9時過ぎだし。お父ちゃんとともに泣きました。

 この時期のボラはとにかくうまい。刺身だってほっぺた落ちるほどにうまい。でもこの韓国風の酢みそは、それ以上にいい。もちろんこの酢みそをいただく約束をして泣く泣く帰途に着く。

八王子の市場に関しては
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ボラへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 ディスプレイの時刻は午前3時となっている。大急ぎでシャワーを浴びて布団にもぐり込む。と、なにほどにも時間を経ぬままに6時となり目覚まし時計がなる。隣の部屋では松太郎が鳴いている。そしてふすまを開けると突然ボクの手にガブリ。「いててて」と目が覚める。松太郎偉いぞ。きっとヒモマキバイさんのところの子たちよりも賢い。

 後はとるものもとりあえず市場を目差す。メールの返信、宅急便の荷物の状況など調べていて八王子総合卸売センターには6時45分過ぎに到着する。
 南海上を北東に移動する台風20号のために風と雨の朝だ。雨は激しくなったり、小やみになったり、この朝方はしとしと降っている。やや温かい。
 カニの発泡(高知市の土佐の廣丸、永野廣さんからももの。カニに関することはのちほどご報告する)を持って『市場寿司 たか』に。
 外が薄暗いのでやけに明るく感じられる店内にはすでには海老名の海老さんが座っている。この細い体の海老さん、最近では土曜日にはなくてはならない人になってしまってますな。さすがに台風接近ということで「市場寿司 たか」も我々以外にはお客は一人っきり。それから30分ほどしてヒモマキバイさんじゃなくて、「ネオテニーさん(突然改名)」がやってくる。そしてそらひとさん(自転車乗りのそらひとさんも今日はクルマ)。

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今週『市場寿司 たか』はお見舞いのために三重県まで旅行。そのためのお休みのためにネタが揃っていなかった。それでもこれは偉いのではないか? 今回のこはだはうまい

 今回の「市場寿司 たか」、ぼうずコンニャクスペシャルはこはだ、まぐろぶつ、卵焼き、カニばらけ。これは60点かな。出来ればマイワシかサンマ、そして沢庵かキュウリの刻んだのが欲しい。その内、イトーさん夫婦がメキシコからのキュートな娘さんをつれて到着。jaminさんの「遅れます」という連絡。8時近くになると店の席は埋まり、外で空きを待つ人も。
 店を出てからカニを分ける。それぞれの家庭に「つがに(モクズガニ)」3ばい、「えがに(トゲノコギリガザミ、アミメノコギリガザミ)」1ぱい。この「えがに」が立派すぎるサイズ。

 8時過ぎなのに『高野水産』が到着している。「しまえび(モロトゲアカエビ)」、マダラ(オス)などがお勧め。
 「しまえび」を皆さんに勧めていると、八王子市横川町『鮨忠』さんから「芋ようかん作ってきたから、クルマにとりにいきなよ」と声がかかる。その内、真菌さんも登場。

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高野水産、土谷食品前にて

 大急ぎで芋ようかんを取りに行き、皆さんにも食べてみていただく。もちろん『鮨忠』さんのお寿司もうまいのだけど、「芋ようかん」は三多摩地区では最高の美味。
●「横川町 鮨忠」さんのことは
http://uma-i.seesaa.net/article/42828380.html

 水産棟の『八王子淡水』でウナギ串(1本分で600円前後。割いて串打ちしてくれる)。皆さん、このウナギ串がお気に入りのようだ。ここでネオテニーさんがお帰りになる。全員で八王子綜合卸売協同組合を回る。

 八王子総合卸売センター『高野水産』の荷を一通り見てから、八王子綜合卸売協同組合に入って「ユニオンフーズ」では小学生が揚げたてのハムカツやトンカツ、コロッケを売っている。これがなんだか可愛い。
 そして『マル幸』には見事な生のばち(メバチマグロ)。醤油を出してもらって中落ちを試食する。これが素晴らしくうまい。とくに真菌さん(ご免なさい、その内改名しましょう)が夢中になっていた。真菌さん、マグロ好きなのかな?
 さすがに生マグロでは定評のあるクマゴロウ、面目躍如ではないだろうか? ちなみに八王子の市場にも生マグロを“売り”にしている店が数軒ある。中でももっとも一般人を受け入れているのが『マル幸』である。

『清水保商店』、『やまさん』、『三恵包装』と回る。
『十一屋ジャパン』にはネオテニーさんお気に入りの美人親子がおり。今年初のヒョウタンの漬物。ヒョウタンの実には毒があり、これを若い内にとるとは言え、どうやって無毒にするのか不思議な漬物だ。イトーさんも真菌さんもこれを買い求める。
『やまぎし』で混み魚を見ているとjasminさんが到着。
 そのお隣、『コリヤンフーズかや』の成田山(コリヤンフーズかやの社長。ときどきうまい朝飯を食わしてくれるので成田山新勝寺のようにありがたい)ができたてのケジャンをパック詰めしている。当然味見、皆さんにも味見をしていただく。これもいい味だ。

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 昨日のボラの刺身にかけていた韓国風酢みそのことを聞くと、少しだけ成田山が分けてくれる(もっとくれよ!)。キュートなメキシコ娘は韓国料理が苦手だという。

  八王子総合卸売センター『高野水産』で支払を済ませ、『総市水産』でいろいろアオリイカなどを買って、『土谷食品』でパック前の竹輪麩を買い求める。アオリイカは『総市』でさばいてしまう。『高野水産』で勘定を済ましているときに真菌さんのお知り合いの一家が登場。可愛らしいマルちゃん似の女の子にタイラギのカクレエビを見せてあげる。これが大層お気に入りとなったようだ。

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 肉屋さん、『藤原商店』を見て八王子魚市場に回る。ここでムッシュから冷凍のメバチマグロを買う。やっぱり真菌さんも買ってしまっていて、マグロ好きなんだと改めて確認。ここで解散とする。

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ムッシュが冷凍マグロをもどしてくれているところ

 さてさてかなり市場で長居。皆さん、たっぷり楽しんで頂けたでしょうか? 私ぼうずコンニャクのモットーは「楽しくなければ食い物はうまくない!」というもの。皆さん、次回も市場で楽しみましょう! また土曜会は参加自由です。もちろん、ぼうずコンニャクは感謝はいただきますけど、参加費無料。お土産大歓迎です。

市場案内の掲示板は
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi
八王子の市場に関しては
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 マイワシの頭部に近いいい部分は、いり焼き、そして刺身にする。そして残った尾っぽはどう料理するか? 唐揚げしかないだろう!
 子供達は唐揚げが大好きだ。お父さんも晩酌の初っぱなのビール(本物じゃない)には唐揚げなんてあるといいな、と思っている。
 香ばしく揚げると尾ビレや、尾柄まで残すことなく食べられるので、これは無駄をなくすことからも有効だ。

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 作り方は簡単。いきなり、コーンスターチをまぶして、数十分おく。それから低温でゆっくり揚げる。これで二度揚げしなくてすむ。また片栗粉でもコーンスターチでもまぶしてから直ぐ揚げると油が傷んでしまう。資源的のもこれは避けたいので、魚の水分と粉が馴染んでから揚げる。
 からっと揚がったら塩コショウ。子供用にコショウ無しも作っておく。

 これを尾っぽを手でつまんでがさつに食べる。尾ビレがまことに香ばしい。
 肌寒い時期で家人がそろそろ今年もコタツを出しましょう、と言う。
 唐揚げでビールを4、5杯いっきに飲み干して、「確かに足元が寒々しいな」と思う。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マイワシへ
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 主に西日本の料理に「いり焼き」というのがある。これは関東の方に説明すると薄くても濃くてもいいのだけれど「すき焼きのしたじのような味つけの汁で魚を煮て食べる」というもの。
 すき焼きの下地は「酒、砂糖、醤油、水」、割合はお好みでとなる。我が家では「水4/砂糖1/酒1」をベースにして合わせ、鍋に入れて煮立たせてから水を足したり、酒、砂糖を足したりする。濃いめの下地を作っておき薄めるのが基本。
 例えば島根県、瀬戸内海などの「いり焼き」はかなり薄目で野菜も魚もどんどん放り込んで煮てしまう。対するに泉南(大阪)では、やや濃いめの下地で玉ねぎを先に放り込んだところにハモをそれこそ「ちりり」と軽く煮て食べる。今回の話題からはそれるが大阪では初夏に「鱧がとれると泉南玉ねぎがでる」ということわざがある。泉南地方はハモの産地でもあり、また玉ねぎの産地としても有名なのだ。10月末になってまだぼちぼち名残のハモがあがる。ハモのいり焼きはまだまだ楽しめそうだ。これがもの凄くうまい。また魚はハモ、アナゴ、マサバ、ゴマサバ、マグロ類、マイワシ、マダイなどいろんなものが利用できる。ときにアサリやホタテ、エビなどもいい。

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 さて今回は旬の小羽イワシを使い、やり方は大阪泉南方式でいく。そして下地は濃いめ。材料は基本的には玉ねぎと小羽イワシとする。これは我が家の朝ご飯に作ったもの。「いり焼き」はご飯にも合うのである。
 ときに酒の肴に楽しんでいても、子供が脇からどんどん箸を伸ばしてくる。まあ甘辛い味わいは老若男女すきなんだろうな。
 子供達の朝ご飯のおかずなのだからやや甘めの下地、煮立ったらまずは玉ねぎを入れる。そして玉ねぎの上にマイワシの身をのせていくのだ。のせたイワシは好みの煮え加減になったら銘々がとる。この小羽イワシが適度の脂がのっており、口の中にいれると適度にほどけてくる。このほろっとほどけるときに砂糖ではなく脂から来る甘味と、強いイワシの旨味が心地よいのだな。余韻が残る。
 ご飯にのせてふはふはと食べて、最後に玉ねぎでまたご飯をかき込む。大人には山椒を薬味としてお勧めする。

 さてこれがイワシ三題のその一である。

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小羽イワシ三題

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 小羽イワシを13本買った。八王子総合卸売センター『総市』で380円だった。ミノルちゃんが税金をオマケしてくれて、ちょっとえらいとほめてあげた。
 当日、我が家には他にもたっぷりの魚貝類がある。それでまずはイワシの処理を市場(『総市』)から始める。市場で頭を落とし、内臓を捨てる。
 これを持ち帰り、手開きにする。

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 そして刺身、唐揚げ、いり焼き用に下ごしらえ。

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 この料理三題を語っていく。

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 最近「塩鮭」を食べているだろうか? 多くの方が「食べている」もしくは「頻繁に食べている」と答えるだろう。でもそれは「塩鮭」であって「塩サケ」ではないというのをご存じだろうか?
 コンビニなどで材料に「塩鮭」と表示している。これは困ったもので、あえて言うと適切ではない。この表記では養殖ものか天然ものかもわからず、ましてや食べている魚の種類がわからない。
「塩鮭」といったら我が国古来よりの「白鮭」すなわち標準和名のサケと思いがちだ。ところがコンビニやお弁当の材料に標準和名のサケが使われていることはそんなに多くない。最近の傾向で言うとチリからの養殖ギンザケ、養殖サーモントラウト(もしくはトラウトサーモン。種としてはニジマス)が多く、ベニザケ、サケがそれに次ぐ。面白いのは個人営業の魚屋でもサケ離れが進んでいるのだ。
 知り合いの魚屋をつかまえて「店に置いている塩鮭を見せてくれ」と今春数名の店先を見て回った。すると総ての店舗にあったのはギンザケ、サーモントラウトであり、少ないながらベニザケとカラフトマス(三多摩地区と山梨は昔からカラフトマスを好む地域なのだ)があった。そしてそこにはサケはなかったのだ。これはサケ離れというよりも「脂嗜好」がますます進んでいるために違いない。

 我が家では養殖ものを日常に食べるのに少々躊躇するものがある。そこで市場で「時鮭(サケ 天然)」、「秋鮭(サケ 天然)」、「紅鮭(ベニザケ 天然)」を買っている。サケとベニザケの共通点は未だ養殖されていないということ。ただし「秋鮭」、「時鮭」は山漬けだが、ベニザケは塩水に漬けたものという違いがある。この違いがどうして生まれるのか不明である。ボクはどちらかというと塩水で立て塩にするよりも塩の中に埋め込んで熟成したものを好む。きっとベニザケにも塩漬けのものがあるんだろうけど、探す余裕がない。

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 さて今回買ったのはアラスカ州ブリストル湾で刺し網でとったもの。アラスカ産でも産卵回遊で集まったものを巻き網でとるもの。刺し網でとるもの。群の小さい時期に小型船で刺し網でとるものなど、丹念に調べると良し悪し、値段の高下がある。残念ながら我が家で買うものはメーカーで選んでいるだけ、しかも狭い八王子の市場で置いてある中での選択なので、きっともっといいベニザケの塩鮭があるんだろうね。ちなみに「時鮭」の値段はキロ当たり(頭つき1匹単位で買う)1300円前後、「秋鮭」(頭つき1匹単位で買う)が700円〜850円ほどである。
 ベニザケは半身売りでキロ当たり1300円、これが1.26キロだから1625円となる。ベニザケを選ぶかサケを選ぶかというのはそのときの冷凍庫の空く具合で決める。サケはなんといっても1匹単位なのでかさばるのだ。
 持ち帰ったら厚さ2センチほどに切り分ける。スーパーなどよりも厚めだろう。ベニザケの片身で端切れを出しても12〜13切れはとれる。だから1切れ150円くらいだろうか? このクラスだとスーパーではもっと薄目で1切れ250円くらいするから市場で買う方が品質的にも価格的にも得だ。

 ベニザケの味わいは脂はそこそこで、そこからくる甘味は薄く、むしろ魚本来の旨味成分が堪能できる。塩水仕立てなので熟成による複雑な旨味に欠けるが、我が家の子供などにはむしろ好評である。

 市場の活用法としても、また天然もの志向からもこの半身1本買いというのは賢いやり方ではないだろうか? これも市場愛好者ぼうずコンニャクの慎ましやかな提案である。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ベニザケ
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エドノフーズ
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 築地場内長崎漁連直売所に「やいと(スマ」が並んでいた。さすがに長崎県漁連は地元魚をよく知っているな、と感心する。築地など関東の流通の場には少ないがスマはこれから飛びきり旨くなってくる。
 例えばカツオは秋口から晩秋までが下りの時期、この時期いちばん脂がのっている。それなら同じサバ科の魚にも脂がのっているのは当然のことだ。サバ科の魚にもいろいろあり、一般に和名の後に「かつお」のつくものがうまくなってくる。ヒラソウダ(がつお)、マルソウダ(がつお)、ハガツオ、そしてスマ(がつお)。そのスマが冷蔵ケースに並んでいる。そこから1本選んで持ち帰る。

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 話は変わるが、長崎県漁連直売所でこの時期お勧めなものは数々ある。数々あれど特にお勧めと言ったらオキアジ、スマ、ウスバハギだという。この長崎県漁連直営の店、ますます楽しくなってくる。お店の入江さんほか皆さん、気さくに対応していただけますので、お立ち寄り願いたい。

 閑話休題。
 やや小振りながら、このスマの刺身が絶品なのである。まだまだ脂ののりはイマイチ。やはり後1か月待ちたいところであるが、とても旨味に満ちている。「寒い時期のスマはカツオよりうまい」という人が多いのもうなずける。カツオと似て、カツオとまったく違う味わいなのだ。

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 このスマの刺身にのめり込んだのが我が家の姫、ほとんど一人で平らげてしまった。しかもいつもカツオをマヨネーズ醤油で食べるのに、スマは生醤油を選ぶ。
 我が家の姫も魚のわかる娘になったものだと、父ちゃん喜ぶのときであった。

長崎県漁連東京直売所
http://www.jf-net.ne.jp/nsgyoren/tokyo/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
スマ
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 マグロ屋は深夜ともいえそうな早朝からマグロの解体に忙しい。それで普通に朝がきて一段落、一休みして、こんどは廃棄する頭部、また尾の部分から利用できそうなところを外していく。本当に大変な仕事なのである。
 その頭部にあるのが「八の身」である。ちょうど魚の先端部分から背にかけて八の字を描くように頭蓋骨に埋まっている。たぶんこの筋肉が体からすると小さすぎる脳みそを保護しているのだろうね。暑さ寒さを断絶する目的でたっぷり脂がのっている。

 この八の身に「大トロに匹敵する」という意見あり、「いやいや、やはり下手は下手」という意見ありだけど、ボクは好きなんだね、この部分。やや細かく切り、寿司飯の上に散らすと、まさに濃厚な旨さが光るし、これをマグロぶつにしても味わいが光る。なんてうまいんだろうね。八の身は光に満ち満ちている。

 そんなことを思ってマグロ屋の前までくると、これを掘りとっている店長の頭まで「ピッカリ」光っている。さすがマグロ屋だ、偉い。この光に「きっとマグロの八の身もうまいだろうな」と思わせる何かがある。

 八王子総合卸売センター『マルミ』にて。

八王子の市場に関しては
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 築地場内でも八王子総合卸売センター『高野水産』にも様々なフグが入荷してくるようになった。その代表がトラフグであるけど、これはお高いね。「あがり」すなわち活けで入荷したものが売りにだされる以前にとん死したのや、少々キズありのものならキロ当たり2500円(1本あたりも2500円前後)という破格のものもあるけど、やはり味わいからすると養殖でもキロ当たり3500円以上、天然ならキロ当たり1万円くらいのがざら。とするとやはりお手軽に夕食でとはとてもいかない。
 そんなフグ界の主役がトラフグなら、ここに名脇役がいて、その名がショウサイフグなのである。別名「名古屋」。すなわり「終わり名古屋は城で持つ」の「終わり」に「終わり=死」をかけての呼び名だ。こっちはキロ当たり1000円前後しかしない。しかも総て天然物だ。

 ショウサイフグの毒性は、肝臓、卵巣は猛毒(10グラム以下で致死的)、皮、腸、その他内臓は強毒(10グラム以下では致死てきではない)、筋肉は弱毒(100グラム以下では致死てきではない)。ということにもとづいて厚生省ではショウサイフグの可食部は筋肉のみとしている。
 どうして弱毒のある筋肉を食べていいかというと、かなり飽食しても生命に問題はないということに他ならない。

 ショウサイフグはまず、毒の除去をする。ようするに筋肉だにするということ。頭部にもワタ(毒がある)があるので捨ててしまい。皮を剥くとかなり歩留まりが悪くなる。これをペーパータオルに包み一日寝かせる。こうすると余分な水分が抜け、旨味が増す。
 一日置いたら、ぶつ切りにして軽く湯引きにして「ふぐちり」にする。「ちり鍋」の原則はフグ刺しにしてあまったアラの部分を昆布だしだけで、あっさりと煮ながら食べる。だから本来身自体を使うことはない。すなわち高価なトラフグを骨までしゃぶる料理法だったのだろう。(……ところが最近でも養殖フグの出回っていることから身自体を食べるように変わってきている。……)そこへいくとショウサイフグの場合、庶民的な身がそのままゴロンと入った食べでのある鍋の材料だった。これは江戸時代、そして明治大正、そして現在でも変わらないものだ。
 庶民の味だったわけだから天然トラフグの上物にはかなわない。でも天然トラフグが1本2万円なんてことになると身まで含めた河豚ちりを堪能するのは難しい。そうすると廉価なトラフグのちりはやはり養殖ものとなってしまう。それでもみがき(毒を除去した身)にして晒しに包んで寝かせてくれればいいものを「活けをすぐに」鍋に使うのが当世流行ときている。バカなタレントが旅番組で「まだ身が動いてますね」なんてのを鍋に放り込んで感激する芝居をうっているが、それじゃあね。

 賢い庶民はこんな大バカ野郎は放って置いて、ショウサイフグをひと晩ねかせて鉄刺(てっさ 刺身)でも河豚ちりにでもして堪能するべし。
 ちり鍋の中からボリューム満点の身をつかみだして紅葉おろしでいただく。これそんじょそこいらの河豚屋には絶対に負けるもんじゃない。ずば抜けた旨味、しっかりした身、そして旨味充分の出汁。我が家の姫などは河豚の身を器にとり、出汁とポン酢を合わせて、なかでほぐしながら食べているが、これもうまいねー。鍋を管理するお父さんとしては野菜や最後の雑炊のためにだし汁を残しておきたい。でも結局自らがそんな食い方におつき合いして最後の最後に悔しい思いをする。

 この市民的かつうまいショウサイフグ、なかなかスーパーなどでは手に入らない。八王子総合卸売センター『高野水産』のようにフグ調理師がふたりもいる店はほとんどないのだ。そこに東京湾、外房などで釣りで手に入れるという迂遠だけど楽しい方法がある。道具も簡単だし、釣り上げたものは船宿で毒の除去をしてくれる。これについてはボクも連載人のひとりとなっている『つり丸』などを参考にしてもらいたい。
 また東京湾でも昔からたっぷりショウサイフグはとれていた。当然昔ながらのフグ屋では「名古屋のちり鍋」が楽しめる。下町散策のついでに「ふぐちり」というのもいいだろうな。

 河豚ちりを思うと、早く冬になってしまえと思うのである。ちなみに「ひれざけ」はショウサイフグでは出来ません。熱燗で我慢、我慢。
●ショウサイフグを一般人が料理するときには自己責任においてやっていただきたい。また商用に利用するときにはフグ調理師免許が必要となる。

『つり丸』へ
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八王子の市場のことは
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 八王子綜合卸売協同組合『マル幸』に産地不明のアカマテガイが入荷してきていて、その翌日に築地を回ったら、ここにも大量に出回っていた。産地はなんと岡山県である。築地でこの「岡山本マテ貝」の文字を見て、今初夏の岡山県倉敷市児島高洲での潮干狩りがまざまざと思い出された。

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築地場内。

 その日は快晴。アマモの茂る浅瀬を歩く、ボクたちの手が届きそうな青い空。そこを歩けど、探せど目的の貝が見つからない。やっと見つかったら小指くらいのハボウキガイだった。
 そんなボクを尻目に地元組の竹内立爾さん、飯田さんのバケツにはアカマテをはじめたっぷりいろいろ入っていたのだ。

 岡山県というのはわかったけど、その先が判然としない。こんな大量なアカマテが岡山県のどのあたりでとれたのだろう。

 当然、すぐに10本ほど買い込んで『市場寿司 たか』で湯引きにして握りに、我が家に持ち帰って焼きアカマテにする。握りもうまいものであったが強火で焼いて、酒醤油をかけ回した焼きものの美味は文字に書きようがないほどだった。

 また高洲に行きたいものだし、竹内さんや飯田さんにもお会いしたなー。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アカマテガイへ
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 その昔の五十路と言ったら「そろそろ隠居でもしようじゃないか」とか、「老後のことでも考えようか」とかどちらかというと静謐なときに沈み込む年頃のはずではなかったか? それがどうだろう、ボクの場合、どんどん忙しくなり、やりたいこともワンサカあるし、毎日毎日疲労困憊、息切れする日々なのだ。

 そんなときに食うのが栄養学的にも優れているだろうな? と感じる豚肉とマガキの鍋である。
 主役は当然、軽く湯引きしたマガキと豚肉なのだけど、だし汁もシンプルに昆布だしに、酒塩。そこに大量のニラをぶち込み、神奈川県秦野市の『ジバサンズ』というところで買った「あしなが」という天然キノコも白菜もぶち込む。
 コツは酒を惜しみなく使うこと。煮えてきたら、熱いウチに豚もカキもキノコも野菜もグアシっと箸ですくって、出汁も適宜すくいとる。だし汁がもの足りなかったら醤油とか柑橘類とかを振り入れ、とにかく具茶混ぜに口に放り込む。面白いことに、ウハフハ食っているとなかなかいい汗をかいてくるのだ。
 食ったら即、風呂にどぼんと飛び込もう。そしてまた暖まる。こんな鍋のときには酒があまり進まないので、その意味合いでも気分爽快だ。

 なぜかは知らねど、豚肉とマガキは出合いの食材であるようだ。そしてこの共通点がジワットうまみのエキスが鍋汁に染み出してくること。加うるにキノコだニラだ白菜だのの旨味や甘味が加わると出汁の味わいがもうたまらんということになり、このたまらんなかに元気の素が詰まっているのだろうね。豚牡蠣鍋は汁まで飲み尽くせー。

 さあ、今日も明日も明後日もがんばるぞー。

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「やっぱり小泉内閣の政策は失敗だったのかな?」と思うのはその辺の街角とか、八王子総合卸売センター、八王子綜合卸売協同組合、八王子魚市場などの地方市場を見ると切々と感じることだ。この内閣の目差すところは行政の無駄を省き、それを庶民に還元するものだと思っていたのだ。それなのにどうだろう? 現在でも独立行政法人は膨大な数残るし、相変わらず役人は不正や不道徳なことをやらかしている。しかも一般人よりも過大な福祉、年金に守られている。当然代議士なんて存在自体悪そのものに思える。

 この政治にいちばん苦しめられている人たちの中に市場人もいる。地方公務員の不正な休暇が取りざたされている。むしろそれをやらない方が少数派だという。そこへいくと市場人の仕事始めは午前2時、3時なのである。そして午後2時になっても仕事は終わらない。公務員なんてヤカラにはきっと耐えられないのだろうけど、市場の運営自体が危機を迎えているときに市場人は耐えるしかない。

 この現状を『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんと、よく語り合う今日この頃である。

「しかしこの市場の面白さ、一般の方にわからないのかね。肉だって魚だって、食材だって、スーパーよりも数段上だろ。だいたい市場というのは下町人情溢れる場所だろうしね。育児ノイローゼの主婦なんかここにくると一発でなおっちゃうよ」(なんで育児ノイローゼが出てくるのかわからん)
「そうそう、こんなに人に優しい場所はないよね。コトヤさんそうだよね」

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コトヤさんちは市場から数十秒

 午前1時から働いているのでコトヤさん、『市場寿司 たか』の脇で一人酒盛りの最中。これがいちばんお金のかからないというのもあるが、たかさんのそばで飲みたいというのも大きな理由であるようだ。このところ午後2時近くなると『市場寿司 たか』は市場人が集まってくる。

 そこに顔を出したのが総市商事部(醤油や味噌、飲料水、ジュースなどを扱う)のカクジロウ君。
 そしてビックリするものが、登場する。
「なんだこれ! たかさーん、こんな丼あったっけ」
「あるよ。うまいもん全部のっけ、次いでに寿司飯は三人前。カクジロウスペシャルかな」
「まさか600円じゃないよね」
「600円だよ。コイツは年間契約で600円に決まったの」
「たかさん、ボクも契約したいんだけど」
「だめー」

 しかし悔しいな。ボクがどんなにお願いしても、このスペシャルはダメなのだ。だいたい普通に考えるとこれって2000円以上しないだろうか? カクジロウのバカ野郎。ボクよりうまそうなもん食うなんて100年早いよ。

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 さみしく八王子総合卸売センターの通路を通り、『カワベ』、『大商ミート』、『藤原商店』の前までくると、午後二時なのにまだ働いている。コマちゃんなんて忙しそうに肉を切っている。本当に市場での仕事は大変である。でもこの大変さを補ってあまりあるのが市場独特の人情味である。本当に市場人は優しいのだ。みんな市場においでよ! きっとささくれだった気持ちも一瞬で癒されます。これはぼうずコンニャクが保証しまーす。

市場寿司 たか
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八王子の市場に関しては
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 八王子綜合卸売協同組合『マル幸』の店頭、しまえび4000円というのが目に吸い付いてくる。モロトゲアカエビは値段の乱高下があり、築地などでは大きいと1万円(キロ当たり)の大台を超える。大きいと23グラムから25グラムあるので1匹250円前後することになる。せめて3本は食べたいと思って、750円原価というのを飲食店で食べるといかほどになるのだろうね。『マル幸』の店頭のものはあまり大きくはない。でも八王子で4000円というのは凄い値段なのだ。
 クマゴロウに重さを量ってもらったら1本あたり70円になるという。ということは20グラムに欠けるもので、「どうしてこんなに高いんだ」と箱の中をよくみるとそのワケは直ぐに判明した。まだ生きているのだ。
 モロトゲアカエビの漁場は日本海。特に北海道西部が最大の漁場だ。そこでエビカゴで狙うのは主に、ぼたんえび(トヤマエビ)である。モロトゲアカエビは言うなれば漁の脇役なのだけど、ぼたんえび(トヤマエビ)よりうまいという評価もあるほど。
 カゴ漁であがったエビは港まで生きたまま持ち帰る。それを氷でしめて各地へ送る。この送り方に陸送と空輸があり、断然ジェット機で輸送する方が高く、そしてほとんど生きたまま関東まで来るようだ。この辺の輸送方などボクはもっと調べる必要性を感じている。例えば築地でも値の張る魚貝類はほぼ総て空輸されたものだ。

 小銭入れの中を見ると150円ある。「クマゴロウ、消費税まけろ」と会計に140円を置いて2本持ち帰る。驚いたのは撮影中にも動く、動く。シャッタースピード20分の1だとかなりぶれる。結局エビ2匹撮影するのに30回もシャッターを切ることになった。

 生きている甘エビ類(刺身用のタラバエビ科という意味合い)の入荷が最近とみに増えている。無理だと思われていた甘えび(ホッコクアカエビ)すら活けが珍しくない。でもこの活けの難点は皮が向きづらいこと。それとエビの旨味成分アデノシンモノリン酸のイノシンへの変化は、魚類などよりも早いといっても旨味成分量からすると締め(死んだもの)での入荷よりも少ないに違いない。

 まあ、活けがうまいかどうかは今年一年見つけるたびに食ってみればわかることだ。撮影後すぐに食ってみる。やはり殻は剥きづらい。剥いて取り外した足がまだ動いている。それを揚げ油に放り込んで、頭と共に素揚げにする。それを刺身、ワタ、卵とともに武内立爾さんのまな板皿に盛る。

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 やはり生での旨味は薄いようだ。ただしアミノ酸類の粘質がもたらす甘味は充分だし、食感のよさは魅力的。その上、ワタ(肝膵臓)、生殖巣の甘さにはまったく苦みがない。たった2本のモロトゲアカエビでこれほどに楽しみが得られるとは恐るべし。また、高くてもいいものなら仕入れる、クマゴロウの勇気にも称賛を与えたい。

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八王子の市場に関しては
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 魚貝類の調理道具にはいろいろある。その中でも主役級は包丁であろうし、脇役は数知れずある。なかでも脇役というよりも通行人程度の役柄でしかないのが「貝むき」である。
 いかに目立たない道具であるかというに、これといった呼び名がわからないのであるから驚く。我が家では「貝むき」。柴田書店の『刺身と活造り・姿造り』には「貝割」、旭屋書店『すし技術教科書』には「むき棒」。ちょっと我が家の本を開いても3つも出てくる。これに一日かけたらもっと見つけられそうだ。

 この「貝むき」、貝が好きならぜひとも持っていた方がいい。特にアカガイとマガキにはぜったいに「貝むき」が便利だし、あけやすい。この「貝むき」、安くて450円、高くても800円くらいで売っている。またもっと小型のアサリやハマグリ専用のものもあって、この2種類が揃えば万全だ。
 買い頃はマガキの出始めの、この10月、12月だと思われる。これでマガキもやすやす開けられる。


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 予め、書いておきたいのは、ボクが炊き込みご飯が嫌いであることだ。食べてみるとうまいもんだな、という気もするけど、白いご飯を前にしたときほどには興奮しない。
 でも家族の好みは真逆なのだから不思議なものだなー。鶏肉、キノコ、カニ、そしてエビと四季折々に炊き込みご飯を作る。まあ作るのはいつもボクなんだけど。

 その炊き込みご飯でもっとも簡単に出来上がるのが「えび飯」である。
 今回は沼津に揚がった本えび(ヒゲナガエビ)を使う。この炊き込みご飯のエビはなんでもいい。ただし淡水のスジエビやテナガエビは工夫が必要となる。こちらは後日説明することに。

 まずは材料。今回はたった1合だからエビとしては中くらいの大きさがある本えび(ヒゲナガエビ)は5、6本。あとは薬味用の香辛野菜。酒、醤油、塩。
1/まずは1合に合わせて水加減。ここに酒、塩、醤油(しょうゆ)で味つけする。エビには独特のクセがあるので醤油は多めでいい。
2/本えびを汚れを落として、水分をよくきり、米の上にのせる。後は炊く。

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炊きあがり。エビは丸のまま入っている。これを取り出す

3/炊きあがったら蒸らし。エビを取り出す。
4/エビの殻を剥き、適度に手で潰しながら切り、ご飯の上にもどし、混ぜ込む。

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エビは包丁ではなく手で潰しながら適度にちぎり切る

5/薬味は今回は生姜(しょうが)、茗荷(みょうが)、青じそのせん切り。これを混ぜ込むのもよし、銘々で上にのせるもよしだ。もちろん薬味はお好みで。

 我が家では「えび飯」はあまりに簡単なので手抜き料理のひとつだ。例えばお弁当を作るとき、なんにも料理が浮かばなかったら冷凍のエビを使って作ることもある。これをおむすびにして胡麻(ごま)をまぶせばなかなかキレイなのだ。

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シロサバフグの鍋

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鍋を食べている状態での撮影は難しいな。ということで材料を仕立てたところでの一景

 鍋は我が家では手抜き料理のひとつと見なされている。すなわち子供達には不評なのだ。子供達は煮物にしてもハンバーグにしても予め調理するものは料理であるが、鍋は時間がないときにパッパッパと仕立てるので料理ではないと認識する。オマケに鍋だけつつくのがつまらないようだ。だからお父さんは鍋料理のときには、これと平行してハンバーグや唐揚げを作ることになり、普段の倍は忙しいことになる。野菜も鍋以外にサラダを用意するので、鍋の材料も少々いびつに不揃いだ。

 さて今回は鹿児島県南さつま市笠沙のわかしおさんからいただいたシロサバフグ。その昔、サバフグの仲間であるシロサバフグとクロサバフグは無毒であるとされていた。ボク自身、過去に釣り上げたシロサバフグは肝とともに鍋にして毎週のように食べていたこともある。現在でも南シナ海や南シナ海を除けば無毒ではないかと思っているのだけど、我が「市場魚貝類図鑑」は現行の情報に忠実に従うこととする。
 またここにドクサバフグという存在があり、これには身にも強い毒性があり、注意にも注意が必要とされる。この南シナ海、東シナ海に棲息するはずのフグが駿河湾でも希にとれることがある。

 シロサバフグは皮を剥き、適当に切って湯引きする。ここに野菜を加えて材料は揃う。注意したいのは白菜など水分の多いものは予め湯通ししておきたいということ。ただし慌ただしい日々なのだから、そんなことはどんどん手抜きの対象として省いてしまうべし。材料のなかには必ず柑橘類。今回は郷里徳島からきたスダチと海老名の海老さんにいただいた柚。
 我が家の鍋の汁は基本的に昆布だし、酒、塩のみ。酒はかなりたっぷり使う。

 ここにフグの身を入れて、あとは具が煮えすぎないように注意して、最後の雑炊まで楽しむのだ。また我が家では子供と大人が別々の料理を食べて、子供達は鍋をつつく程度となる。すると最後の雑炊を省くこととなる。その場合、残った汁は漉して、翌朝のみそ汁のだしとして利用する。

 さてさて五十路になったせいなのか秋になると毎日でも鍋でいい。これにぬる燗の日本酒を用意して、結構毛だらけ、猫灰だらけなのだ。(どうして“ネコ灰だらけ”なんだろう? ネコ研究家の幸福の王子様に聞きたいなー)

●フグなどを自宅で調理することはお勧めしない。その場合には自己責任とすること
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 ときどきウナギ屋で出てくるのが骨せんべいというもの。要するにウナギの骨を素揚げにしたもの。簡単至極な料理に思える。それでは簡単で手間いらずかといえば、これがなかなか面倒くさい料理なのだ。
 このウナギの骨せんべいの作り方をここで一席。

 まずは、ウナギ屋でウナギの骨をもらってくる。どこの市場にも一軒くらい淡水魚・ウナギを扱う店はあるもので、たぶん無料でくれるはず。

1/これを持ち帰ったら、よーく洗う。ウナギの骨には腎臓をはじめ苦みの素となる血液がいっぱいついている。血液を洗い流すのは水の中に漬けるのがいちばん手っ取り早い。

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最初は骨に腎臓、血液などもろもろの汚れがついている

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なんども水をかえていると、血液がの骨から抜けて白っぽくなる

2/なんども水をかえながらよく洗ってワタを取り去った骨を、新聞などに広げて水分をきる。そして料理ばさみで適当に切る。

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新聞などに広げて水分を切る

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これを適当に切る

3/冷蔵庫にラップをしないで半日ほども入れておくのだ。これで余分な水分が抜ける。後はやや低めの油でゆっくりと揚げる。

 この骨せんべい、うまいというよりも香ばしい。しかもなんだか、なんだか、アンニュイにつまんではポリポリ。面白いのはみな食べながら目があらぬ方向を向いてしまうようだ。どうやら物思いにふけるときウナギの骨せんべいというのは最適な食い物らしい。
 幸福な王子様もポリポリやりながらネコと人生を語らったりしたのだろうかねー?

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ウナギへ
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 なんだか恒例化しつつあるのが八王子での市場巡り、買い物案内。これを八王子土曜会と呼ぶことにあるのだけど、市場巡りはグループで行うと、なかなか楽しいのだ、というのに気づいた。なにしろ各人見るところは違っているし、男女間でも食べ物に関する思い入れには違いが出てくる。これはもっともっと参加者を募ってもいいのではないか? と勝手に考えている次第だ。

 さて13日の朝、目覚めたのは5時過ぎなのだけど、腰痛がひどくて起きあがったのは6時過ぎだった。姫を伴い市場を目差す。
 八王子魚市場をくるっと回り、八王子総合卸売センターには7時ちょうどに到着。手には鹿児島県南さつま市笠沙の魚がある。『市場寿司 たか』の店の前まで来ると2人ほど待っている人がいる。混んでいるのかなと思ったら、2人とも寿司を食べ終わったばかりだという。中にはjasminさんと海老名の海老さん。jasminさんはフランス、デンマークから帰ったばかり。買ってきていただいた図鑑が面白い。
 持参の寿司ネタをたかさんにわたす。ここで「寿司図鑑」の撮影と共にお二人には鹿児島の魚を寿司にして食べて頂く。
 やや遅れてヒモマキバイさん(別名幸福な王子様)が登場。ここでソウシハギ、シロサバフグ、モンハナシャコの握りを撮影。朝食はマイワシ、マグロのぶつぶつ丼。

『総市』から『土谷食品』へ。女将さんは竹輪麩の梱包で大忙し、オジサンは配達中。それで八王子綜合卸売協同組合『マル幸』、『河村青果』にまわる。ここで青い秋にとれる竹の子を買い込み。隣にある『恒川』で秋の果物を見る。この店、バナナの熟成蔵を持つことで有名。ここでブドウ、柿、リンゴを買う。

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●クリックすると拡大。八王子綜合卸売協同組合『マル幸』の前は大混雑

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果物が大量に並ぶ『恒川』

 いろいろ見て回ろうと思っていたのだけどjasminさんは11時までに品川に帰り着きたいという。それで『高野水産』の到着と共に大急ぎで魚を買い込む。jasminさんはアカハタ、マイワシ、しまえび(モロトゲアカエビ)、マガキ、小やり(ヤリイカ)。9時には市場を後にしたけど間に合ったろうか?
 海老名の海老さん、ヒモマキバイさんとでそらひとさん来ないねー、と探すがなにしろまだあったことがない方なのでどうしようもない。「そらひとさん、次回はお気軽に声をかけてくださいね」。
 ヒモマキバイさんは同居者はネコだけだというのに大きなオスのマダラを買い込み。海老名の海老さんも明日から家族が留守なので一人っきりだといいながら『総市』で小振りのめじまぐろ(クロマグロの幼魚)を買う。

 ここから『十一屋ジャパン』でキムチ、ぬか漬け沢庵、すぐきを買う。『大商ミート』でロースしゃぶしゃぶ肉。『カワベ』のコマちゃんのところで手羽中を買う。

 肉屋から八王子魚市場に行きましょうか? というときにヒモマキバイさんがウナギを買いたいというので『八王子淡水』へ。そう言えばこの八王子総合卸売センター水産棟は年々寂しくなる。
 ここで松本ちゃんに国産ウナギをあっという間に割いて、串を打ってもらう。値段はいくらだったのだろう。買った当人のヒモマキバイさん共々ウナギの骨のお土産をもらう。

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サウスポーのウナギ職人は非常に珍しい

 そしてそして、たかさんに別れを告げて、またまた八王子魚市場に引き返す。

 八王子魚市場の惣菜でピザ2枚。『源七』にくると海老名の海老さんとヒモマキバイさんが待っている。ボクはここでバチの頭部の肉とオマケの尾の肉で500円、あんちゃん作のこはだ700円を買う。ヒモマキバイさんと海老さんは韓国産タイラギの貝柱。かなり格安なのにビックリする。

 八王子魚市場を後に姫と八王子大和田の『ふれあい市場』で野菜と卵。横山町の『岩本製麺』で地粉うどん、ラーメンの麺、『神山豆腐店』で木綿豆腐を買う。この岩本製麺、神山豆腐店ともに非常に優れた店であって、ボクとしてはもっともっと名が知れてもいいと思っている。

 帰宅は11時過ぎ。パソコンに向かって3時間ほど同定。疲れ果ててシャワーを浴びて1時間ほど居眠り。6時過ぎまで画像の整理・保存、「市場魚貝類図鑑」の改訂。

 夕食はシロサバフグの鍋、生ガキ、バチの頭部の肉と尾の肉の刺身、こはだ、ツバメコノシロの塩焼き、ウナギの骨煎餅。マガキは20入りの大粒のもの。さすがにこのサイズはうまいね。久しぶりに食べるツバメコノシロの塩焼きはやっぱりいい味だ。
 酒は宮城県の「一ノ蔵 無鑑査辛口」。9時過ぎに「アドマチック天国 田端」を見ている間に眠くなる。その後1時間だけ画像の整理。11時過ぎにダウン。

●みなさん、市場に来て遊びませんか? ボク、ぼうずコンニャクが気軽に御案内しまーす。
八王子の市場に関しては
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鹿児島県の魚貝類

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鹿児島県南さつま市笠沙の魚貝類が13日に我が家に送られてきた。送り主は笠沙在住のわかしおさん。これが非常に面白いものばかり。整理に2日間を要してしまったが、ここに一覧を載せる。

魚類/アオヤガラ、イケガツオ、ウスバハギ、オキザヨリ、オニアジ、ギンガメアジ、シロフチトビウオ(初見)、マルヒラアジ(初見)、ミナミハタンポ、ミナミヒメジ(初見)、ヒメコトヒキ、ニセタカサゴ、ソウシハギ、ウミテング(初見)、ナミダフグ(初見)、シロサバフグ
甲殻類/モンハナシャコ(初見)
軟体類/ヌノメアカガイ

わかしおさんには感謝いたします。

わかしおさんの「お魚三昧生活」へ
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/komendago


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秋のサヨリ

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 市場でサヨリを買おうとすると、きっと誰かが「吉永サヨリちゃん」と言う。まあ年齢は50歳以上に限られるが吉永小百合の根強い人気を感じると共に、「小百合世代」ではないボクには着いていけない。ちなみに吉永小百合の全盛期は昭和30年代(1960年代)であり、しかも映画が主要だったはずだ。ボクがこのようなドラマや映画に興味をもったのは1970年前後からであり、絶対に「小百合世代」もしくは「小百合スト」ではない。
 そして今回は続けて「秋なのにサヨリちゃんかえ?」とくる。サヨリの旬は冬から晩春までと思いこんでいる人が多いのだ。まあボク自身もそうではある。でも魚貝類を調べている限り、年中旬にかかわらず魚は食べてみる。

 まあまあ、閑話休題。
 今回のサヨリは八王子総合卸売センター『ケン水産』で見つけたもの。産地不明だがとにかく魚体の美しさから、5、6本買い込んだ。買い込んだとき表面がざらつき、やや硬くしまっている感じを受けて、これは脂はないに違いないと確信する。サヨリに脂というのも変だが、適度な柔らかさには当然脂の存在が関わっている。脂がある方が柔らかい。もともと脂の少ないサヨリでも旬の春には微かに脂から来る柔らかさがあり、それは手に取ると感じられるものである。

 その脂のないサヨリを単に刺身にする。これがうまかったのだ。しかも小振りであり、脂もほとんど無いに等しいに関わらず。そのときサヨリのうまさはその微かな苦みと、上品ではあるが血合いからくる酸味にあるのではないかと思った。この血合いからは旨味すら感じられるのだ。

 ううううーん、吉永サヨリ恐るべし。

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 居酒屋の主人がうれしそうに「これくらいのがいいね」と発泡をのぞき込んで、「1キロくらいくれる」と買い込んでいく。目の前にあるのが山口県萩から入荷してきている白ばい(エッチュウバイ)である。そこへ、もう一人来て、「まだまだ大きさが揃っていない」と自分で大きさを揃えて小さいのばかり500グラムくらい買い込んだ。

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これを大中小に分けると、もっともっと売れると思う。値段も上がるだろう

 白ばい(エッチュウバイ)は山口県、島根県、鳥取県から毎日のように入荷してくる。多くは殻長4、5センチ、ときに7、8センチほどのものばかり。関東の多くの飲食店ではこれを酒蒸しにしたり、煮たりする。
 その味つけは千差万別であるが、料理の先付け、もしくは関東での「突き出し」用に3個、もしくは5個で一人前できるサイズをもっともよしとする。すなわちエッチュウバイは煮るための巻き貝なのだ。これが間違いであることはなんども書いてきたのでここではおく。でも市場で見る限り仕入れ人がもっとも好むサイズがあり、しかも大きさが揃っているほどいいとしているのは間違いない。

 これを100グラム買う。「100じゃ、なんにも出来ないだろう」。『マル幸』のクマゴロウが老眼鏡をずらして言い捨てる。これが税込みで126円。

 帰宅して撮影を済ませて、料理にかかる。少ない量なので普通に煮てはうまくいきそうにない。『源七』のあんちゃんに教わった甘辛煮にする。これは甘辛い地(醤油、砂糖、酒)を煮立てて、ここで転がしながら火を通す。エッチュウバイはこの煮汁のなかで熱を冷ます。

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 見た目は悪いし、食べるときにべたべたする。こまったもんだけど、うまいのだ。しかもエチュウバイは煮ても硬くならない。これをハッサクの酎ハイで流し込む。これは合わないねー。むしろ麦焼酎のほうがいい。もっといいのは島根の「王禄」だけど、昨日飲みきってしまっている。残念だー。

市場魚貝類図鑑のエッチュウバイへ
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2007年10月12日の日記

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 深夜帰りの朝方6時過ぎ。睡眠時間は5時間弱だろうか。最近ではこのくらいの睡眠時間の日が続くととたんに疲れがたまってくる。気分は最悪だ。家族は朝ご飯をとっている。この香りからするとベーコンエッグにみそ汁だなー、と思うだけで気持ちが悪い。下腹を押さえると、ジクジク痛む。

 結局、布団から即、パソコンに向かい。8時過ぎまで画像の整理・保存、メールの返事や掲示板のいたずら書き込みを消す。
 クルマで宅急便の営業所に寄り、鹿児島県南さつま市、わかしおさんからの魚貝類を受け取る。
 そのまま市場へ。疲れ気味なので肌寒く感じる。

 八王子魚市場には今日も生シシャモが入荷してきている。その隣に網走産の大きなニシン。このニシンが素晴らしいものだし、キロ当たり1300円は安い。いつもなら買っているところだが、今日は鹿児島の魚がある。

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『源七』には三番瀬の「さるぼ(サルボウ)」。相変わらずあんちゃん、こはだをせっせと下ろしている。この日のこはだは素晴らしいものだ。

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八王子総合卸売センター『高野水産』。日本でももっとも魚の安い店だ

 八王子総合卸売センター『高野水産』に寄ると、いきなり社長から「これなんだっけ、ゴジラ、ゴジラ」と声がかかる。見ると増毛産イバラモエビ。増毛、樽前あたりではイバラモエビを「ゴジラエビ」というのだ。小型ではあるが、値段もキロ当たり1500円と激安。またその横には「しまえび(モロトゲアカエビ)」、これもキロ当たり1800円と安いなー。

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横川町と元本郷の『鮨忠』さん

 そこに八王子の居酒屋「やっちゃん」が通りかかって「今日も安いですね」と、これは言うなれば挨拶だろうか?

 八王子綜合卸売協同組合『マル幸』にも生シシャモ。このあたりクマゴロウは凄い。
『小澤商会』で小銭入れ650円を買う。
 八王子綜合卸売協同組合に戻り、『フレッシュフーズ福泉』でピザを3つ。フクさんに「小銭入れを買ったよ」というと「持ってなかったの」と言われる。

『市場寿司 たか』でお茶。隣の『さくら』で味噌タンメン750円で朝食。やはりこの店、高い気がする。市場人にはこの値段は無理だろうな。

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 また味噌タンメンにも甘味が感じられる。うまいことはうまいが、この店ではつけそばが好みかな。と、そこに相模原橋本の『多子作』さんが現れて、次に八王子横川町「鮨忠』さんも顔を出す。このお二人はボクに「よく朝っぱらからこんなもの食えるな」と同じようなことを言って直ぐに消える。
 ちなみに『多子作』さんは「さくら」の中華そばが気に入ったようだ。

 帰宅後、大急ぎで鹿児島の魚貝類を撮影。1時半に一度中断。

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わかしおさんからの魚貝類は凄いものだった。わかしおさんの「お魚三昧生活」へ
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/komendago

 八王子総合卸売センター『市場寿司 たか』に一部を持ち込んで「寿司図鑑」の撮影。ここにコトヤさんと、『総市』のミノルちゃんが来る。二人とも深夜から働いているので、この時間帯が一般人の夕方にあたる。みな店内で早々に宴会。鹿児島県の魚貝類も食べてもらい感想をいただくが、それ以上に盛り上がって盛り上がって手に負えない。その内、お隣の「さくら」から餃子の差し入れ。

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総市のカクカクジロウ君の豪海マグロ中落ち丼・超大盛りバージョン。カクジロウ君はまだ仕事が残っているので食ったら早々に退散

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コトヤさんは近々、八王子狭間町のスーパーに出向になる。ちょいと寂しいな

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総市のミノルちゃん。無精髭が水戸黄門のように見える。おぬし老けたなーー。

 3時過ぎに帰宅。撮影を再開。これが6時を回っても終わらない。仕方なく、夕食は念のために買い込んで置いたピザ。ボクが一段落ついたのは7時過ぎであって、とにかく酎ハイをいっぱい。ハッサクのあまり甘くない味が疲れ果てた体にしみてくる。

 この間に建築家の黒川紀章が逝去したという緊急ニュースを見た。この人、東京湾全体を埋め立てて人口島と水路の都市を造れといったはずである。またその作り出す建物は斬新だが人間的な暖かみは薄いものだ。そして都心JRと私鉄の自動改札機が壊れて朝から大混乱なんてニュースも流れてくる。

 8時過ぎに画像の整理を始めて、同定。
 9時に中断して、コトヤさんにもらったインド(ミナミマグロ)の中落ちで日本酒をグイグイやる。この中落ちにニンニク、青じそを和えたのがうまい。

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 さて、その後の記憶はなく、ボクはいつの間にか布団の中。気がつくと13日の6時前だった。


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秋のシロギス

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 シロギスの産卵期は初夏から秋である。でも相模湾での産卵は7〜8月が最盛期。当然、秋のキスは痩せている。痩せているけれど、不思議なことに秋のシロギスも刺身にしてなかなかいけるのだ。でもこのとき注意点が1つだけある。それは皮を生かした造り方にすることだ。

 今回のシロギスは相模湾産。鎌倉小坪→川崎北部→八王子綜合卸売協同組合『やまぎし』がもってきた入相に入っていたもの。体長20センチを超えて立派ではあるが触ってみるとザラザラする。これは脂がないということに他ならない。例えばこれが5月のシロギスなら体表がぬめ皮のようだ。

 持ち帰ったシロギスは三枚に卸して、血合い骨を抜く。これに軽く振り塩、焼き串を刺して皮目を焼き、冷水にとる。焼き霜造りの出来上がりだ。これが深夜の酒の肴になる。
 一切れ、二切れ、口に放り込むと、やはりシロギスの身に脂は少なく、そこから派生する甘味も薄い。それを補ってあまりあるのが皮の香ばしさと旨味である。スダチをたらした醤油との相性も抜群。空腹感のない深夜の酒の肴としてはうますぎる一品だ。
 酒は福井の『常山 超辛口冷やおろし』。やはりシロギスには辛口の酒が合うのだな、と改めて思うのだよ。

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 昨日は疲労困憊。朝はやっと7時になって布団から抜け出した。そしてまったく食欲がない。この睡眠時間が少ない朝、腹がジクジクするのは年のせいだろうか?
 このままズルズルしていても致し方ないので、市場まで。八王子魚市場などいろいろ見て回る。

 八王子魚市場の棟を出て『源七』のあんちゃんが開いているのは「なかずみ(コノシロの14〜15センチほどのもの)」、ああもう秋なんだなと、こんなことに感じてしまう。
 家庭も仕事も最低の状態にあるので、秋深まるにしたがい寂しさがつのる。その他、八王子魚市場では見るものなし。

 八王子総合卸売センターにまわる。『大商ミート』の店長と八王子の食堂『いち川』さんが立ち話しているのに出くわす。もとプラカロ、現『ジャック』の冷凍部店長が心臓で緊急入院したという。心配だ。

 市場を回るが今日は本当に魚が少ない。八王子総合卸売センター「総市」のミノルちゃんがマガキを剥いている。「これくれー」というと「300円でどうだ」というのでヘタクソな剥き方で気に入らなかったが、いやいや300円払う。次回はもっとまけろー。

 大急ぎで八王子綜合卸売協同組合『河村青果』、お姉さんの朝ご飯を中断させてスダチ2個を買い(お姉さん最近朝ご飯のときにばっかり行き合わせてご免)、『市場寿司 たか』に持ち込んで、たかさんと食べる。

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「たかさん、疲れたときはカキだよな」
「うーん、そうなだ。オレは疲れてないけど。しかしこのカキ剥いたの誰だ。ヘタクソ」
「ミノルちゃんだよ。部長のバカ野郎」
 しかし岩手県山田湾産の生ガキはうまいね。これが11月、12月になるともっと身がふっくらしてくる。楽しみだなー。

 午後9時半過ぎとなってやっと空腹感がわいてきた。ネタケースなかのサンマ、こはだ、キュウリ、野沢菜、それとマガキ1個分で「豪海ぶつぶつ丼」を作ってもらう。ボクの場合「ぶつぶつ丼」は親戚価格で600円、普通は1000円。
 このサンマを青じそ、穴子をキュウリ、こはだをガリで和えたのを、びっちり丼に敷き詰めたのがうまい。このうまさは表現しようがない。名作だ!

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刻んだキュウリの下にはつめのかかった煮立て穴子。これって贅沢かな?

 ここにマグロ屋のコトヤさんが来て、
「今日は暇だな。コマちゃんが寿司食べたいってさ。ええと玉子焼きと、穴子とオレの持ってきた中トロ」
『カワベ』のコマちゃんには歯がない。まるで80歳の爺様みたいだからこんな注文となる。
「たかさん、そこにいかげそでも入れてやれ、オレのおごりだから」
「面白い、いかげそ入れようかな」

「コトヤさん、中トロって何?」
「中トロさ」
「だからなんの中トロ」
「生ばち(メバチマグロ)のだよ。オレはこの時期のばちの中トロがいちばん好きだな」

「たかさん、ばち中トロ1かんね」
 味見に握ってもらったら、これがどえりゃうまい。トロっと舌の上でとろけたときに、チンと旨味がくる。そしてそして後に心地よいうまさの余韻が続くのだ。
「コトヤさん、あんたは偉い」

 ほどなくコマちゃんスペシャルが出来上がり。これは市場人価格で●●円である。

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「たかさん、一カ所開いてるよ。どうして?」、「ガリのせようと思ったんだけど、ヤツはガリがかめない」。自家製玉子焼き、煮立て穴子、生ばち中トロ。

 このとき午前10時過ぎ。朝方の強烈な頭痛も解消。お隣に出来た『さくら』のことなどを3人で話す。どうもこの『さくら』という店、市場人には人気薄であるようだ。この店、材料から作り方からいろいろこだわっている。それが店のあちこちに見えている。でも市場人というのは作り手のこだわりにはまったく興味を示さない。むしろ嫌悪感を抱きすらする。(そう言えば、ボクも最近、店のこだわりを自慢されるのはイヤだな。これ市場人からの影響?)。結局彼らは出てくるものを自分好みかどうかで判断するし、あえて言うと肉体労働だからたっぷり安く食べたいという欲求がある。とするとお隣は難しい。ボク自体は『さくら』が好きであるだけに、がんばって欲しいな。

 コトヤさんを八王子総合卸売センター内『伸優』に案内する。ここでコトヤさんは焼酎を買う。市場人にとって、これから正午過ぎになると一般人の夕方といった時間帯になる。本格焼酎が好きなコトヤさん、酒のつまみは生ばちということだ。
 たかさん、コトヤさんと分かれて市場を後にする。帰途、日野にわずかばかり残った田んぼが黄金色になっているのを見た。その隣では柿がたわわに実っている。しみじみ思うのは市場というのは人情溢れるところだな、ということ。この市場が無ければ生きていけない人のなんと多いことか?
 また市場に興味のある方はボクに、また『市場寿司 たか』に気軽に声をかけてくだされ!

『市場寿司 たか』
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八王子市場案内
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我が八王子総合卸売センター『市場寿司 たか』のページを新しくしました。
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八王子の市場に関しては
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 福岡など九州北部ではブリの若魚のことを「ヤズ」と呼ぶ。関西では「ハマチ」、関東では「いなだ」のブリの若魚である。が最近は「ヤズ」だったら九州ものだろうとわかる仲買も少なくなっていないだろうか? 最低限八王子ではその感を強くしている。
 産地表示や魚名のことで標準和名での流通が叫ばれているが、実を言うとボクは大反対である。標準和名は最低限でいい。例えば、アマダイと言うよりも「ぐじ」だろうし、別に千葉県産のケンサキイカが「赤いか」と呼ばれてもいいではないか。
 国産魚に関する限り地方名を大いに尊重して標準和名を排除すべし。そこに登場して頂きたいのがプロの方達なのだ。例えば、ボクが思うのは仲買というのは掛けかえのない職種だと思っている。この魚を選んで仕入れて、卸売りをする人たちに、この「ヤズ」を理解するようなプロが多いのだと思う。またその前段階にいる荷受けもかくあるべし。

 そんな玄人の世界があるからこそ、食文化が深くて、奥行きがあるのである。近年、この食文化の玄妙さ、奥深さの大切なことがわからぬ人が多すぎる。そんな唐変木が安易に豊海移転だなんて短絡的なことを言い始めるのだ。例えば築地には底知れぬ食文化の深淵がある。それを壊してはならない。それと同次元で魚貝類の地方名もなくしてはならないのである。

 まさかと思うけど京都で「ぐじ」がアマダイになったら最低だろう。また関東で「赤いか」がケンサキイカというのも変だ。例えば関西では「ぐれ」であってメジナであっていいはずがない。

 さてさてたくさんの「ヤズ」を前にしてブリの若魚の低価格を寂しいな、と思う。これは今時の大バカ野郎の必要以上のグルメ嗜好と、魚貝類のような自然界にあるものに、工業製品に求めるべき画一性を要求する唐変木が増えているからだ。「おい唐変木ども、もっと深みのわかる大人になりなー」。

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 北海道でよく食べられるものに「焼きつぶ」というものがる。居酒屋などでは定番的な料理だ。
 かれこれ20年くらい前、ボクは「北海道へ行ったら焼きつぶ」を食わなければと思いこんで、開通したばかりの青函トンネルをくぐり函館に行った。

 北海道の食に関する本は数々あれど名著の誉れ高いのが『北の魚歳時記』(達本外喜治 北海道新聞社)だ。ここにある文章が魅力的。ちょっと引用すると「ツブ焼きは、イカ焼きやトウモロコシにもまさる、縁日の味である。夏の夜の、庶民の味でもある。たそがれの街角の屋台から、いまもってパタパタとうちわの音がすると、ツブを焼く正油のこげるにおいが、やわらかい夜風に運ばれてくる」。
 この文章中の「焼きつぶ」の主な原料がヒメエゾボラなのだ。ヒメエゾボラは味のいいつぶなのだがやや小振り、歩留まりも悪いことから刺身よりもワタまで食べられる「焼きつぶ」のような料理に向いている。

 予めこの文章を読んで北海道に渡ったので、てっきり「焼きつぶ」は街角でうら寂しく焼かれているものだと思いこんでいた。しかし函館の飲食店街、繁華街を歩けどそんなものは見つからない。仕方なくうまそうな居酒屋を見つけて、とりあえず入ってみて、品書きに「焼きつぶ」を見つけたときはうれしかったなー。でもたて込んでいた居酒屋でやっと目の前に来た「焼きつぶ」には残念ながらがっかり。あまりうまいもんじゃない、その店のまずい日本酒ともあいまって初対面の印象は最悪だった。

 では自分で作ってみようと、帰途、青森駅前市場でヒメエゾボラを買い込んで作ってみることにした。それは現在も変わらないもので、手順をしるす。
 まずは貝をよく洗って、数分茹でる。あまり短時間だと身が出てこない。これを冷水にとり、中身を取り出す。足の部分にある唾液腺を外して、また貝殻に詰め込んで網の上にのせて焼くのだ。貝殻が熱くなったところに酒と醤油を合わせたものをそそぐ、ほどなくそれが沸いてきてあふれ出てくる。じゅーっという音と共に貝の旨味と香りが浮き上がってきたら出来上がりである。火力は最初から最後まで強火。
 焼きたてを大急ぎで食らうのも、この料理の秘訣だろう。あれほど函館でまずいと思った「焼きつぶ」がやけにうまいのはどうしてだろう。
考えてみるに、函館の大衆居酒屋では焼き置いていたのではないだろうか? まさかね? とは思うが、記憶をたどると、どうもそんな味であった。

 自宅で「焼きつぶ」を作るときにも出来れば卓上の飛騨コンロなどを用意して、焦げた醤油の香りと、焼きたてのヒメエゾボラを「あちち」といいながら食べて欲しい。まさかこれがキロ当たり800円とか600円とかの貝だとはだれも思うまいよ。

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 さて土曜日に買い込んだスルメイカはその場を借りて開いてしまう。ワタは酒飲みの海老名の海老さんにお渡しして、ゲソと胴を持ち帰ったら、いきなり一塩、ほんの少しの酒でビニール袋で密閉。半日ほど寝かして、今の季節なら冷蔵庫にラップ無しで、もっと季節が進むと外に干してしまう。風干しの方が早く干し揚がる上に香ばしさが増すようだが、10月初旬も終わろうとしているのに外にはハエがブンブン飛んでいる。

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 冷蔵庫での乾き具合を見ながら、なんと日曜の夜には食べ頃の乾き加減となった。

 ここで話は変わって、「一夜干し」の定義を述べると。干物でひと晩以上陽に当てず干すものを一夜干し、例えばある晴れた日に、朝から夕方まで天日で干したものは単に干物となる。どっちも干すという行為にはかわりないが「一夜干し」の方がうまそうに感じるのは不思議である。

 さて日曜日の夕食時になって太郎が騒いでいる。どうしたのかというと、「父ちゃん、どうして最初から干したイカを焼かないの」と聞くのである。これは当たり前のことでボクの晩酌は最初はビール(本物ではない。たまには本物が飲みたいよー)であって、そのあとに日本酒となる。日本酒になってからイカを焼いて食いたい。これが人生行き詰まりお父さんのせめてもの願いであった。

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 それを無残にも太郎が焼き網に一夜干しをのせてしまった。「何をする、太郎」。「だって食べたいんだもん。お母さん、マヨネーズ出しておいてよ」。これで3枚作りおいた一夜干しの2枚がマヨネーズと共に子供達のお腹の中に消えてしまう。しかも最後の一枚も耳の部分しか残っていなかった。その耳がやたらにうまい。うまいだけに胴の部分も食べてみたかったのだ。

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海老名の海老さん、いただいた柚をたっぷり使わせていただいた。ありがとうございました。

 慌ただしい日々があって週末となった。それでは熱燗でも飲むぞ! となったときの幸せを呼ぶ秋の刺身三点盛りはウルメイワシの酢締め、スルメイカの湯引き造り、サンマの刺身となった。今週は珍しい魚がなく平凡だが肌寒の夜にしみじみうまいな! と感じるところ無類であった。

 この三点盛り、世のお父さんにもすぐに真似が出来るし、もっともっとうまい三点盛りで素晴らしい秋を感じている人も多いだろうな。こんな贅沢ではないが、普通に一般的な、ありきたりなうまい刺身をボクは喜びと感じているのだけどね。わかるかなー?


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「スルメイカは偉い」と何度も取り上げてきた。生でよし、煮てよし、焼いてよし。でも毎日スルメイカの刺身ってのも飽きてくる。飽きてくるけど、それでも「生っぽい」一品が欲しいとなったら一工夫する。それが湯引き造りである。
 スルメイカの皮などを剥き、細かく切れ目を入れる。氷水を用意して置いて、熱湯にほんの一瞬とおしたらできるだけ急速に冷やす。とにかく大急ぎであら熱を取り去るのがコツ。

 表面が白くなっているものの中は生というもので、これはやはり刺身の一種。面白いものでスルメイカは熱を通してやると甘味も旨味も増すのである。そして真ん中の生の部分にはねっとりした食感が感じられる。寿司屋ならこれに煮きりを一刷毛すると見事な握りになる。

 肌寒の頃の刺身三点盛りのひとつとしてスルメイカの湯引き造りを加える。

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 八王子総合卸売センターで最近がんばっているのが「総市」である。そこで一山(7匹)350円也で売られていたのが立派なウルメイワシである。箱を見ていないので産地不明ながら手で持っただけで脂がのっているのがわかる。ウルメイワシの旬は冬なのでまだ“走り”ではあるが安いので即買い。

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下ろしていて、脂ののりを感じた

 大急ぎで三枚に卸し、「総市」で一塩して持ち帰る。これをミツカンの山吹と海老名の海老さんの柚(ゆず)で酢締めにして週末の刺身三点盛りに加える。これがなかなかうまいものであった。さすがに巻き網ものだろうし、季節からしても刺身には向かないものの酢締めの味わいは上々。

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子供にも意外に人気がある。酢締めウルメイワシ

 ウルメイワシは30センチくらいになるニシン目では大型の魚、これを刺身で味わえるようになる冬が待ち遠しくなる。

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 土曜日の朝飯は『市場寿司 たか』で“豪海ぶつぶつ丼”と決めている。これはその日のネタから背の青い魚を中心にとにかく小さく刻んで、すし飯にのせるというもの。毎回ネタが違うのは当然だけど、うまいのやら、もの足りないのやら、いろいろ。いろいろだから飽きが来ないわけで、わがままなヤツラばかりの市場人にはつとに人気が高い。

 そして、そして先の土曜日の“ぶうぶつ丼”が素晴らしいものだった。
 その日のネタから旬のサンマに東北は福島からきた「目光(マルアオメエソ)」。どっちも「握りにしても最高だ!」というもので赤の他人ながら仲良く丼に入って頂く。そこに来るのがタクワンではなくて野沢菜というのがちょいと気にくわない。「どうしてタクワンじゃないの」と文句を言うと、
「だって野沢菜好きなんだよ。野沢菜巻ってのもうまいんだぞ」
 たかさん、子供っぽい言い方は止めようね。孫がいるのに年甲斐もない。

 その内、「しかたないねー」なんて長屋のご隠居みたいなことを言いながら、とにかくサンマと目光(マルアオメエソ)、野沢菜を刻んで「豪海他人丼“サンマ、目光、野沢菜”」の出来上がりだ。

 意外なことにサンマと目光(マルアオメエソ)の脂からくる甘味が野沢菜に合う。サンマと目光の味わいは、方や〈回遊魚の持つ酸味を帯びたもの〉と、〈深海魚のコクがあるものの単一な味わい〉という違いがあるものの「脂を伴った甘さ」という点では共通する。そこに曲をもたらすのが青臭い辛みを伴った野沢菜の存在である。サンマ、野沢菜、目光、野沢菜と食って、とても激しくうまいのはどうしてだろうね。困った困った箸が止まらないと思う間もなく丼は底が見えてくる。コレじゃもの足りないなー、今日は“サンマ、サーモン、こはだ、野沢菜”でもう一杯いきたいなーと店の外を見ると席の空くのを待つ人がいる。
“豪海ぶつぶつ丼”の唯一の欠点は店がたて込んでくるとお願いできないことだ。わがままな市場人の中には「それでも、どうしても、お願い、たかさん」と注文するヤカラがいるが、ボクはそんな非常識な人間ではない。ちょいと後ろ髪を引かれながら店を後にするのだ。

市場寿司 たか
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八王子の市場に関しては
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 関東の市場を回っていて不思議でならないのがエゾバイ科エゾバイ属の巻き貝の利用法だ。
 エゾバイ属にはエゾバイ、ツバイ、クシロエゾバイなどの大きく育たない種もあるが、エチュウバイ、オオエッチュウバイ、アニワバイ、カガバイなどの大きくなる種もあるのだ。小振りなものを分類の世界ではエゾバイグループ、大きくなるものをアニワバイグループと分けている。ボクなど食べる側からするとグループよりも上の属に格上げした方がいいのではないかと思うくらいに両グループは形態が違う。
 この大型のアニワバイグループ、せっかく大きく育つのに関東での評価が低すぎる。驚くべきはときに大きくなるほど評価が下がることだ。すなわち関東の市場人、料理人、一般人はエゾバイ属は総て「煮つぶ」としてしか利用せず、刺身には出来ないものと思いこんでいるのではないか? だから市場などで立派なエッチュウバイが売れ残ってしまって「あんこ椿は恋の花」なんて仲買の店員が歌ってしまっている。その意味は「三日遅れの(三日間店ざらし)」ということ。

 このエッチュウバイ(アニワバイグループ)の刺身がいかにうまいものかは、食べてみればわかるはず。これを珍重する新潟県や日本海側の人たちには、関東人の硬直した嗜好が愚かしく思えるのではないだろうか?
 そんな関東人の代表選手であったのが『市場寿司 たか』の渡辺隆之さん、初めてエッチュウバイを店に持ち込んだときには「これ生で食べられるの」なんて驚いていた。それがどうだろう、今や大型のエッチュウバイやアニワバイを見るとすぐに仕入れるほどにファンと化している。そして今回の『和江の浜づくり エチュウバイむき身』、これに一番惹かれたのもたかさんその人である。
 その『市場寿司 たか』に二袋持ち込み、まず刺身として食べて、その甘味、美味さに驚く。当然、たかさん、寿司ネタとしても最上級の賛辞をくれた。持っていったボクも、ちょっとうれしい気分になるほどに解凍後も「剥き立て」に近い。
 このエッチュウバイが関東で刺身にならない理由はその身の柔らかさにある。サザエ、エゾボラ(真つぶ)のコリコリっとした食感を巻き貝の刺身に求めるが故に、貝自体の旨味を楽しむことが出来ないでいる。まったくこれほど優れた刺身素材なのにもったいない。

 巻き貝の刺身を作るのは生臭みをとるために滑りを揉み出したり、よく水洗いするなどいろいろ面倒である。それが簡便な冷凍パックで楽しめるのだから便利極まりない。エッチュウバイの刺身を食べてみたいなら、最初は『和江の浜づくり エチュウバイむき身』を買ってみたらどうだろう。きっとエッチュウバイの刺身に夢中になるはずだ。ボクはその確率100パーセントだと確信する。
●注/島根県産のエチュウバイとあるが、カガバイである可能性もある。この2種は非常に紛らわしい。

島根県大田市和江漁協協同組合 海の特産加工センター
http://www2.ocn.ne.jp/~waefu/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、エチュウバイ
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カサゴ目フサカサゴ科を改訂
ミナミアフリカユメカサゴ(仮称)のページを作成
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サツオミシマのページを作成
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掲載種 1956


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 レストランでオマールエビを食べるとなると大変である。1本丸ごとではなく、当然半分に縦割りにしたのがポシェ(茹で)されてドレッシングやソースがかかると3000円から6000千円くらいする。原価計算するとオマール半身が仲卸で1000円から2000円くらいなのでちょうど材料費の3倍くらいとられる。
 これを仲卸で1本かってまるまる食べても安いときには2000円、高くても4000円ほどなのでオマールは河岸で買うに限る。

 その上、レストランではコライユ(ワタ)を使ったアメリケーヌソースとか、手の込んだドレッシングとか無駄な一手間がかかっている。オマールは蒸すか茹でるか、単純に食うのがいちばんなのにモッタイナイ。

 久々にオマールを丸ごと茹でて、熱いウチに縦割りにして、子供とあっという間にむさぼり食う。ミソがまた上品で旨味がある。身はホワっと柔らかく繊維質で、口の中でほどよくほぐれる。
 それこそ2,3本が跡形もなくなるのに数分とかからない。それほどオマールエビはうまいのである。

 最後にオマールエビには2種類あり、ともに大西洋側に棲息する。大西洋のアメリカ大陸にいるものと、ヨーロッパからアフリカ大陸西岸にいるもので日本名は便宜的に「アメリカウミザリガニ」と「ヨーロッパウミザリガニ」と呼び分ける。そして市場で見かけるほとんどは「アメリカ」であり、「ヨーロッパ」は長い間見ていない。もし入荷しても「アメリカ」の2、3倍の値がつくに違いない。
 またオマールエビというのはヨーロッパでの名であり、アメリカではロブスターとなる。

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カツオの揚げたたき

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 我が家には子供が多く、日々困窮して暮らしている。と言うことで安い素材をうまく食べたいと言うのが、これまた日々の願望となっている。
 そしてカツオなのだが、今年、飛び抜けていいものは高いが、ほどほどのものは、とてもお安くなっている。と言うことは節約のために毎日でもうまいカツオを食べればいいと言えそうだ。でもここで我が家には大きな障壁が立ちはだかる。それは子供である。刺身だろうが、たたきだろうが、毎日となるとてんで食べようとしない。でもそんなときに考えたのが、コレ。

 普通、たたき、漬けは、強火で炙る、熱湯をかけ回すという方法はあるが、ともに加減醤油(酒や味醂で味付けた醤油)をかけ回しても、しっかり生臭みは残っているのだ。当然、高い魚を買うほど、そんなことは回避できるとしても我が家は子だくさんで貧乏所帯なのでとてもそんな贅沢は言っていられない。
 そこで焼くのも、熱湯をかけるのもダメなら揚げてみたのが、「ぼうずコンニャク流揚げたたき」である。油を高温にまで熱して、火傷しないよう気をつけてカツオの身を滑り込ませる。それで表面をカリっと揚げたなら、味醂と醤油、下ろしニンニク少々の冷やしたタレに漬け込む。これを冷蔵庫で半日寝かして食べる。

 子供ならずとも揚げた香ばしさには弱いものだ。そこにやや甘口のタレがきて、旨味と脂がたっぷりのった秋のカツオ。カツオの4分の1である腹身があっという間になくなってしまう。これがまたビールのアテにいいのである。

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今回は皮を引いてしまった腹身であるが「揚げたたき」だったら皮つきのほうがいい

 今年の秋はカツオとサンマがたまらなく旨く感じる。これはボクだけの思い込みだろうか? 食っても食っても、また食いたくなる。そして共に安いのだからうれしい。
 考えてみるとサンマにしてもカツオにしても複雑な料理法は無用。単純で明解に料理して美味。
 さてカツオの料理法を書いてきたら明日はサンマが食べたくなった。この秋はカツオの次の日にはサンマと日替わりでいこうかな。明日のサンマは『市場寿司 たか』で「豪海投げ込みサンマブツブツ丼」に決めたのだ。

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 さて、市場などで「しったか」という貝を見かける。漢字で書くと「尻高」である。この言葉がなんだかわかりづらい。でも磯などの海中を見ると、岩などにたくさんの巻き貝がついている。そのなかでいちばん貝殻の高いのが「尻高」なのではないかと思われてくる。これが千葉県外房などではバテイラにあたる。でも日本全国を見回すと、ニシキウズガイ、オオコシダカガンガラ、ギンタカハマ、クボガイ、クマノコガイ、バテイラ、ベニシリダカなどがともに「しったか」と呼ばれているのがわかる。
 ちなみにこの「しったか」の総てがニシキウズガイ科の巻き貝である。その特徴は黒くて、三角錐型であり、磯に棲息するもの。だから磯の食用巻き貝の多くが「しったか」と呼ばれていることになる。
 また大分県、長崎県などで「みな」「みーな」と呼ばれるのは磯でとれる食用巻き貝総てをさう。「みな」は築地をはじめ関東の市場にも入荷してくるのだが、ヒメクボガイ、クボガイ、コシダカガンガラ、クマノコガイなどのニシキウズガイ科にアッキガイ科のイボニシ、エゾバイガイ科のイソニナなどが混ざっている。ちなみに「みな」とは巻き貝自体をさす言葉、もしくは古語である。このような磯でとれる巻き貝を各地で「磯もの」ともいう。千葉県外房でバテイラを「しったか」と呼ぶときには、当然、同じ場所にいる「磯もの」のクボガイやヒメクボガイよりも背が高い(貝殻が高い)がための呼び名であることがはっきりする。
 では市場ではどうだろう? 例えば築地などでは「しったか」の代表選手は太平洋側のバテイラと日本海側のオオコシダカガンガラ2種である。そこにときどきヘソアキクボガイ、クボガイ、クマノコガイが「しったか」の末席に座っている。仲買でも詳しい人のなかにバテイラ、オオコシダカガンガラに「本」をつけて呼ぶ人がいる。これは明らかに本来「しったか」は関東近県太平洋側からくるバテイラであり、交通網の発達から日本海のオオコシダカガンガラが加わったというのを知っているのだと思われる。
 いろいろ磯の貝のことを説明してきて改めて感じたのは「しったか」を丁寧に説明するほどわかりづらくなるということ。そこで我がサイトでは「つぶ」のときに使うA、Bというランク分けを採用する。すなわちバテイラ、オオコシダカガンガラを「Aしったか」、その他のクボガイなどを「Bしったか」、そのもろもろを「磯もの」と呼ぶ。これらを季節季節、目にしたら説明していくことにする。

 10月2日のこと、八王子総合卸売センター『高野水産』の社長に呼び止められて、いきなり「尻高(しったか)」をもらったのである。この方、突然、思わぬときに魚などをボクにくれる。
「これ大島産(伊豆七島の)だから食べてみて」
 手渡されたのは太平洋側でとれたまさしく「Aしったか」であるバテイラである。市場では本種がいちばん高く、味がいいとされる。見た目は同じく「Aしったか」であるオオコシダカガンガラの方がいいのだが、これは殻長(貝殻の高さ)があり身をとりだし難いために価値が下がる。
「しったか」を買うのは年に数度、めったに買わないもののひとつだ。だからこんな風にいただけるとうれしい。高野社長ありがとう! これを醤油と酒でさらっと煮る。いちばん気をつけたいのが煮すぎである。

 昼間に煮て、味見。やっぱりうまいね、と感激。今夜の寝酒の友はコイツだな、とほくそ笑み冷蔵庫にしまった。面白いもので磯ものは関東では「突き出し」に使われることが多い。「突き出し」というのは呑み客が席についてとりあえず出てくる「ちょっとした肴」である。すなわち磯ものはもっぱら酒の肴(関西ではアテ)となるものなのだ。
 そして外出、都心でいろいろ仕事などして帰宅は0時過ぎとなる。慌ただしい一日で風呂を浴びても気が落ち着かない。それで九州の「繁升」純米酒をぬる燗に、冷蔵庫から「尻高」を出そうとしたら、ない。どこを探してもない。ということは犯人は姫たちであるのは明白だ。なぜだろう、子供達は酒の肴が大好きなのである。
 仕方なくメールの返信をしながら空酒となる。

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 八王子綜合卸売協同組合『マル幸水産』のクマゴロウが、老眼ながらもなにかをせっせと切ってパック詰めしている。
「クマゴロウ、何切っているの?」
「びんちょうの腹も。見りゃわかるだろ」
 この言い方が気にくわない。いかにも忙しいから「あっちへ行け」とでも言わんばかりだ。こういう態度は嫌いだな。ちょっと嫌がらせに「一本売ってくれよ」と攻撃する。市場では、このパック詰めの慌ただしいとき邪魔されるのがいちばん困るのだ。しかも切り身にして儲けようと企てているのに、煩わしいだろうな? と思っていると、案の定。
「だーめ、欲しかったら一袋買えよ。5キロ入りだけどな。ハハハ」
「そう言う意地悪を言うからクマゴロウは嫌われるんだろ」
 さんざん粘ったら、一本よこした。これ「税金負けろ」といったらぴったり200円なり。

 話は大幅にそれるが、スズキ目サバ亜目サバ科マグロ属というのは市場では花形なのだ。特にクロマグロなんて、昔でいうところの美空ひばり(ボクは大嫌い)とか今で言うとSMAP(未だにこのグループが認識できない)のごとくだろうか? またまた古い表現ではあるがその他にもドル箱スターは数知れず。そのマグロ類が標準和名で呼ばれることが皆無だというのもテレビスターと似ていないだろうか? 例えばクロマグロは「本鮪(ほんま)」、メバチマグロは「ばち」、ミナミマグロは「いんど」、コシナガマグロは「ばけ」、ビンナガマグロが「びんちょう」。唯一、キハダマグロだけが「きはだ」で例外である。

 閑話休題。
 この200円の腹もは回転寿司などで「ビントロ」と呼ばれる、キハダマグロのいちばん脂ののった時期の副産物。ひとつで200グラム以上あり、煮ても焼いてもうまい。だから市場で見つけるとつい買ってしまうのだ。
 市場から持ち帰ると、とにかく塩コショウしてムニエルとオリーブオイル焼きにする。日々慌ただしく、面倒な料理を作るわけにはいかないので、とにかく簡単に。

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ムニエル

 ムニエルは粉をつけて高温で素早く表面を焦がす。こうすると表面はカリっと中は脂がのっているので柔らかい。思わず昼間からビールが欲しくなる。そして仕事から帰り、深夜に焼いたオリーブオイルでマリネー、これも予想外に美味。オーブンレンジのグリルで焼き上げて、海老名の海老さんにもらった柚を振りかけて食べたら初めての味わいで新鮮だった。

 八王子綜合卸売協同組合『マル幸水産』では「びんちょうの腹も」をかなり仕入れているのではないか? とすると今日もクマゴロウが老眼の目でせっせと切り身にしている可能性大。今日は3本くらいせしめてやるのだ。
●八王子綜合卸売協同組合『マル幸水産』は“わかる人”にはすごい店である。しかも一般客にも優しい。

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八王子の市場に関しては
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「スルメイカというのは捨てるところがない」と、なんども繰り返し、くどいほど書いていきたい。なかでも重宝なのが下足(げそ)である。げそは足なのか手なのかというと、イカの場合、「手」だと言うのが正しいだろう。なぜならばイカはタコのように歩くのではなく、泳ぐのだから。
「手」である証拠にスルメイカは触手(獲物を絡め取る長く伸びる手)で獲物をつかまえると、残り8本の手でそれを確保して、締め付けて頭部を口に持ってくる。魚にとって頭は急所だから、そこをカラストンビでぐさりと一撃してトドメをさす。すなわちヘッドロックをかけるプロレスラーといった感じだろうか。とうぜん、この手はすこぶるつきに筋肉質。そしてその筋肉の動きをささえるのがアデニール酸であって、その旨味もここにたっぷりあるということに他ならない。

 我が家では、これを出汁が代わりにして里芋やジャガイモを煮る。このスルメイカで根菜類を煮るというのは東京都西部、昔の三多摩地区での郷土料理のひとつだ。例えば、これが山間部秋山村などに行くと祭のときのご馳走ともなるのだ。

 今回は昆布だしをとり、やや控えめにかつお節を入れて出汁をとる。これに砂糖、酒、醤油で味をつけて、げそ、竹輪麩(ちくわぶ)、里芋、大根をたく。残念ながら彩りのニンジンを冷蔵庫で探したが見つからなかった。色気に欠けるのは、お総菜なのでお許し願いたい。
 まっさきに無くなるのはスルメイカの旨味をたっぷり含んだ竹輪麩(ちくわぶ)である。これは八王子総合卸売センター『土谷食品』のお父さんとお母さんが作ったばかりの未包装のもの。我が家には竹輪麩が大好きな姫がいるので、おでん以外にもいろんな料理に登場する。そしてもっとも姫が愛しているのがゲソとの煮物なのである。

 この「ゲソ、根菜類、竹輪麩の煮物」これから寒くなるに従い、食卓への登場頻度が増してくる。そして姫があっという間に竹輪麩(ちくわぶ)、げそを食べ尽くして、最後にお父さんは里芋と大根でやや旨くちのぬる燗酒を飲むことになる。
 そう言えば、外から聞こえてくる虫の音が、外来種であるアオマツムシからエンマコオロギやカネタタキに代わってきたのをお気づきだろうか? やっとこの国本来の秋の風情となってきたのだ。

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 八王子綜合卸売協同組合『やまぎし』は川崎北部市場を仕入れ先としている。すなわち八王子からすると、ほんの目と鼻の先とはいえ神奈川県の荷を持ってきているわけで、その中には相模湾の地物がある。そんななかに「こみざかな」という呼び名で入相(何種類かの魚貝類が入っている箱)があり、それがなかなか楽しいのである。

 この「こみざかな」というのは漢字で書くと「込み魚」と言うことだろうか? この言葉が神奈川県固有のものなのか、横須賀東部漁協、また佐島漁港で聞いても知らないという答えが返ってくる。また平塚でも使われていない。いったい本当に「こみざかな」が使われている地域はどこなんだろう?

 さて昨日は、その「こみざかな」のなかに形のいいボラが混ざっていたのだ。(そう言えば平塚市相模川河口周辺でのボラの刺し網も始まっているのだろうか? そろそろ相模湾の漁に関してもいろいろ気にかけていなければならない)
 10月になって大型のボラだから、とにかく気をつけて頭を落とす。頭は背の部分から半分ほど腹側に切り込みを入れて、手で引きちぎるように落とす。腹腔には泥が往々にして詰まっているので、けっして腹まで切り下げてはいけない。頭を落としてみると、やはり卵巣の派手な黄土色が見えてきた。

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 内臓の泥をよく洗い流し、久しぶりの唐墨(からすみ)原料を傷つけないように、満を持して肛門付近を大きく切り取り、ゆっくりと取り出す。卵巣の長さは12センチ。まだまだ小さいが大量の粗塩に埋め込む。

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 今回のボラは鮮度もよく、唐墨の副産物の身も刺身に造る。そして当然、へそも軽く湯がいて刺身に添える。久しぶりのボラの刺身が意外なくらいうまい。へそを湯がいたのは、ちょっと失敗であった。やっぱりへそは塩焼きに限るのだ。

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 さて、ボラの卵巣でもこの小振りのものなら塩漬け10日弱、一週間くらいだろうか? ボクは不器用なので血管や血液を洗い流すのは、塩抜きするときに「出来る限り」やるもの。そして11月初冬には一本目の唐墨(からすみ)が出来上がるのだ。

 ああ、っと書き忘れるところだった。ボクは未だかつて満足のいく唐墨を作ったことはない。今年は相模川のボラを誰かと共同購入して、唐墨作りの会でもやろうかな?

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イカワタの醤油漬け

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 スルメイカというのは捨てるところがない。あえて考えても足にある吸盤の角質のリングとカラストンビくらいだろうな。とにかくスルメイカは丸ごとボクたちの胃袋に納まるわけで、その部分部分でいろんな料理に生まれ変わる。

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 さて、先週の活けスルメイカを卸していた『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんがちょちょいと作ってくれたのが「ワタの醤油漬け」。スルメイカのワタというのは肝臓であって、イカの場合には吸収も栄養分の蓄積も行う重要な器官。呈味(味を感じさせる)成分がたっぷり含まれている。

 たかさんが活けイカの大きなワタに「これを捨てちゃーいけないな」と言いながらくれた醤油漬けだけど、作り方はいたって簡単。ワタを醤油と酒を合わせたものに漬け込むだけ。丈夫なビニール袋にホイっと放り込んで「明後日か中二日おいて明々後日に食べな」と持たせてくれた。

 週末になって、晩酌のアテにビニール袋からワタを取り出す。醤油の塩分のためにやや硬くしまったワタを2切れ、3切れと手塩皿に盛るとトロっととろけてくる。この口に含んだときに感じる味わいの複雑さは表現のしようがない。醤油と少しだけの酒だから、そんなに甘いわけがないのに甘い、そこに何種類かの渋みと、濃厚な旨味が舌のざらっとへばりついてくる。これを酒で洗う。

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 カツオの塩辛を酒盗というがごとく、イカワタの醤油漬けも酒が進む。週末だから一升瓶は軽く空になってしまった。当然である。

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