朝は思った以上に気温が低く、「寒い」と感じるほどだ。
それで市場に出かけると、フグをあちこちで見かける。
八王子の市場にはフグ調理師の資格を持つ仲卸が何店舗かあり、気温が下がると、途端にたくさんのフグが集まってくる。
ただし、ボクが目をとめるのは間違ってもトラフグじゃない。
八王子綜合卸売協同組合『マルコウ』の前にあったのはショウサイフグに「あかめふぐ(ヒガンフグ)」、そしてマフグだ。
この3種だと、どうしてもヒガンフグ、まぎらわしいことに市場では「あかめふぐ」を選ぶことになる。
クマゴロウに毒の除去をお願いして、ていねいに青い紙にくるんで持ち帰る。
市場からの帰り道、中央線の土手に彼岸花が満開となっている、明日は秋分の日。
ヒガンフグは布巾にくるんで冷蔵庫に仕舞い込み、仕事に出かける。
さて、火曜日の休日はありがたいような、ありがたくないような。
どことて行く当てもなく、また我が家のご先祖の眠る墓は遙かに遠い。
お彼岸らしいこともしないで、その夜はヒガンフグでいっぱい。
三枚に卸して、適度に薄皮を取り、皮目を直火であぶる。
すぐに氷水に落として、後は簡単、ほどよい厚さに切りつける。
今年の「初ヒガン」は、思ったよりもうまい。
まだまだ旬とは言えず、やや旨味に欠けるが、シコっとしっかりした身質に甘味と焼いた香ばしさを感じる。
ヒガンフグは十月、十一月、そして師走となり、どんどんうまくなってくるはずだ。
そして来年春のお彼岸には時期が終わる。
ちょっと深酒になってしまって、若くして彼岸に渡ってしまった兄や、またボクがまだ幼い頃に死んでしまった母のことを思う。
彼岸にヒガンフグを食うと寂しくなるものなのだ。
9月24日のメモから
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヒガンフグへ
http://www.zukan-bouz.com/fygu/fugu/torafugu/higanfugu.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/