サケの王者であったベニザケのサケ界での凋落は養殖サケの台頭によるのだ、というのを何度か書いてきた。その昔はもっとも味のいい、またもっとも高価なサケ科の魚であったわけで、戦後北洋でのスターといえばまさに本種をさしていたのである。
それが今ではときに標準和名のサケとあまり変わらず、またときに養殖ギンザケよりも価格的に低いという現象が起きてきているのだ。
例えば2006年度の冷凍輸入ベニザケの平均は481円、ギンザケ461円、サーモントラウト519円である。ここでは養殖のサーモントラウトより低く、またギンザケとの差がほとんどない。ちなみに2005年度はベニザケ524円、ギンザケ411円だった。このギンザケ、サーモントラウトとの価格差はベニザケの好漁不漁によっては、まや変わってくるだろう。またますます脂嗜好が進むと、天然物で脂ののりにバラツキがあると、価格がもっと下がる可能性もある。
そのベニザケには釣りもの、刺し網、巻き網など天然であるゆえの3種類のランクが存在する。釣りものが最上級であるのは当然であるが、刺し網は未成熟のもの、巻き網は成熟しつつある・産卵を控えたものである。塩鮭を専門に扱う業者や魚屋にとってはベニザケというのは良し悪しがあって扱いにくい。それに反してギンザケのほうが品質が一定でいいのだという。
「それではベニザケも養殖すればいいのに」、と素朴な疑問を大都魚類のサケの専門家に聞くと、なかなか難しいのだという。ということで今回のam/pm「紅鮭」の原材料「紅鮭」も間違いなく天然なのである。すなわち天然を差す原材料名は「鮭」「鱒」「紅鮭」となる。ここで間違って欲しくないのは「ますの寿司」にある「鱒類」、「鮭類」という非常にいかがわしい曖昧な原材料をのぞくということ。
この「紅鮭」という商品名の“たっぷりしっかり具がおいしい手巻きおにぎり”。なかなか原材料もたまたまベニザケだったのでわかりやすい。しかもご飯、海苔などが香ばしく美味である。とくに中に入っていたベニザケがフレークではなくほぐし身だったのもいい感じだ。この味わいからするとなかなかベニザケも厳選されている。
ここで原材料表記をもう一歩すすめて原産国を入れてはいかがだろう? おにぎりの価格も138円と高めであるし、ベニザケもなかなかいいものだと思われる。それなら胸をはって「ロシアなのか、アメリカなのか、カナダなのか?」明記してほしいな!
am/pm
http://www.ampm.co.jp/home.html
シノブフーズ
http://www.shinobufoods.co.jp/
●参考/日刊シーフーズ・ニュース
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/